ep.62
『腹ごしらえも終わったし、次に行くとしよう』
「次はターサンか。その前にボス戦だな」
果たしてどんなモンスターがでてくるのやら。
ガタガタ揺られながら、セトルから貰った戦術ノートを読む。
レルナとリルナも横から覗いてくるので、見やすいように膝の上に広げる。
ここらは少人数で動く場合か。
そのうち活用する日が来るかもしれないな。
トランプの兵士も最大で10人出せるわけだし。
「まもなく〜ターサン、ターサン。お降りの方はボスモンスターをとっととしばいちゃってくださーい」
クランがそう言ってから少しして馬車は止まった。
幌馬車の外へでると、そこにいたのは普通サイズの
「……ゴリラ?」
「ムキムキなのです」
「ゴリマッチョです」
「「あのポーズはなんですか、お父様?」」
「俺にもわからん」
サイドチェスト……だっけか。
そんな感じのポーズで筋肉を見せつけて、キラッと歯を光らせるゴリラ。
というか夕焼けも相まって汗が無駄にひかっていやがる。
とりあえず図鑑で確認だな。
【マッチョゴリラ】
〘筋肉を極限にまで鍛え上げたゴリラ。鍛え上げられた肉体はまさに至高の1品とも言える。謎のポーズを取ることで、自身のやる気を底上げし、掛け声を掛けるとポーズが変わる〙
「……よく分からんな」
「掛け声……ですか?」
「その筋肉凄いですー」
レルナがマッチョゴリラに向かってそう言うと、ゴリラの筋肉がピクっと動いた。
動いただけで何も変わらなかったが。
「足りないのか?」
「筋肉、キレてますよー」
「まるで大木みたいですー」
ピクピク。
……あまり見たくない光景だな。
「筋肉がミッチミチで破裂しそうですー」
「肩にロクトが乗ってるみたいですー」
ピク。
ちょっと減ったな。
「筋肉のお宝みたいですー!」
「王城に飾り付けしたいですー!」
ピクピクピク。
こんなのを飾られた王城とか見たくねぇよ……
「「はい、そこでズドーンと違うポージング!!」」
ニカッ! と笑って別のポーズをとるゴリラ。
今度は背中を見せてきたな……
「もういいのです」
「筋肉は見飽きました」
「「なのでとっとと萎れてください」」
子どもって時に残酷よな……
ガビーンみたいな顔してゴリラが驚いてるし。
見ろよ、ゴリラの筋肉がどんどん萎んで……萎んで?
「よし、2人とももっと言っていいぞ」
「その見せかけの筋肉なんて怖くないのですー!」
「お父様の方がもっとすごいのです!」
「……レルナ、あなたお父様の身体を見たのです?」
「……ないのです……」
頼まれても見せられないかな、うん。
というかゴリラが地面に座り込んで項垂れてるし。
「ウジウジしてて恥ずかしくないのですかー?」
「筋肉がただの見せかけとか恥ずかしくないのですかー?」
「「そんなんだからあなたはただのゴリラなのです」」
ただのゴリラ……ゴリラはゴリラだろ?
え、違うのか?
「お父様、見てください。ゴリラが泣いてますよ」
「お父様、見てください。ゴリラが走っていきますよ」
「「私たちの勝利なのです!!」」
嬉しそうに近寄ってくる2人の頬を撫でながら、ゴリラが走り去った方を見る。
……強く生きろよ。
「というかこれでいいのか?」
「いいんじゃなーい? あのマッチョゴリラは心折れちゃったみたいだし」
クランがニヤニヤしながら近づいてきた。
ゴリラよ……
「はい、これ」
「なんだこれ?」
「ゴリラが居た場所に落ちてたよ」
【ゴリラパワーバンド】
〘これを身につけるとあなたもゴリラのような力を手にできる! ただし、自信をなくすとマイナス効果となるため注意
筋力+150〙
見た目は黒いバンドだが効果がな……まぁいつかな、いつか。
「気を取り直して、ターサンに行くぞ。火山まであと少しだ」
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
書いてて楽しかったマッチョゴリラ。
彼は恐らくジャングルの奥地で修行に励むことでしょう……多分。
Q.こんな勝ち方でええんか……?
A.一部のボスは特殊勝利があります。なおリベットはそれを知りません




