ep.61
店の外にでると、クランがロクトに対して怒っていた。
「いつまでもいつまでも人の頭を齧る馬がどこにいるのさ!」
ロクトは関係ないと言わんばかりに堂々としていたが……
「こ、この……!」
「やめとけって。機嫌損ねたらこの先が大変になるだろう?」
「でもさぁ! ヨダレでベッタベタなんだよ! どうしてくれるのさ!」
『魔法で綺麗にできる癖に』
ボソッとミウロゥがそう言うも、未だにプリプリしているクラン。
どうしたものか……ん?
何やらいい匂いがしてくる。
匂いがしてくる方を見ると、屋台が出ていた。
とりあえずこっそりクランたちから離れて、屋台で売られているものを人数分購入。
財布はさらに軽くなったが、必要経費だ。
「まぁこれでも食って元気だせよ」
屋台で売っていたのは串肉だった。
何の肉かは知らないが……美味そうだからいいだろう。
「むぐ、こんなので、むぐむぐ、絆される、むぐむぐむぐ、ボクじゃ、むぐ、ないんですけど!」
「食べるか喋るかどっちかにしろ」
クランに注意しつつ、リルナ、レルナ、ミウロゥにそれぞれ1本ずつ差し出す。
で、俺も1口。
うん、美味い。
「ロクトはどうするかね……これはさすがに味が濃いだろ」
じっとこっちを見つめるロクト。
まぁ待て、何かあるはずだ。
持ち物一覧を確認すると……あったが……これでいいのか?
「食うか? プロテージャーの肉」
「ぶっ! な、なんてものあげるんだい! プロテージャーの肉なんてグラムだけでも軽くウン十万は下らないのに!」
アイツそんなに凄いやつだったのか……
クランが急いで振り返るが、もう遅い。
既に口の中だ。
「おー、美味そうに食うなぁ」
「あ、あぁ……あぁぁぁぁ……勿体ない……」
「……まだあるぞ?」
数kg単位で入ってるんだが……よく腐らないな?
「か、神はここにいた……ッ!」
「なんなら熊の手? もあるぞ」
「おぉ、我らが創造主よ。今日この時に感謝を。これからも敬虔な信徒であります……」
大袈裟な……
両手を組んで天を仰ぐ姿はどうにも嘘くさい……
「お父様……こちらの肉串……とても……美味しい……れす」
「噛んでも……噛みきれない……のが……とても……良い、れすっ!」
「ゆっくり食べなさい」
あーもう、口にタレがついてるじゃないか。
燕尾服の胸ポケットにハンカチーフが付いていたからそれで軽く拭く。
「むががが」
「ほらじっとしなって」
「プププ、リルナはあわてんぼうなのです、ウプププ」
「レルナは鼻についてますよ」
「ウソっ!?」
残念ながらしっかりとついていたので拭いておいた。
ハンカチーフはそのうちクリーニングだな。
……あるのか、クリーニング屋?
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
実は高級な肉だった熊さん。




