ep.63
ターサンの前に着いた時点で既に夜だった。
宿屋も考えたが、ここはせっかくなので野宿を選択。
【キャンプセット】
〘どんな悪路でも安定して設置できるテント! 焚き火も付いてお得!〙
水晶玉から出したはいいが……これ収納できないんだよな……
どうしようか……
「そういう時こそトランプの兵士の出番だよ!」
「えーと……あぁ、ダイヤか」
ダイヤだと商人がでてくるんだったな。
とりあえず後でなんとか出してみるとして、
「今は飯の時間だ」
「よっ、待ってましたー! もちろんお肉だよね、ね?」
「ここに草があるんだが、どうだ?」
「雑草じゃないか! 嫌だよ、そんな得体の知れない草なんて!!」
冗談だ、冗談。
鍋と一緒にフライパンも買っておいたが……まな板も必要だったか。
『切るだけなら私、できるよ?』
「なら頼めるか? ターサンで道具を揃えないとな……」
……ところでどうやって切るつもりだ?
『軽く投げてくれればいいから』
「こ、こうか?」
鞄から肉を取りだし軽く空中へと放り投げる。
気づけばフライパンの中に1口大のサイコロ肉が……え?
『ふふん』
「す、すげぇ……」
「流石は勇者なのです」
「そこの行者より役に立つのです」
「「私たちも練習するのです」」
「ちょっとちょっとー? 聞き捨てならないなぁ? ボクだってちょちょいのちょいだよ!」
フライパンを手に取ると何やら粉をまぶし始め、焚き火の上で肉を焼き始めるクラン。
大丈夫か、その粉……?
「さぁ、どうぞ!」
「……なら」
ご丁寧なことに肉の1つ1つに串が刺してあった。
1つ手に取って口に入れると、
「……美味い。とても美味い……」
「でしょ〜! 流石はボク! 完璧な味付け!」
「……悔しいですが、美味しいのです」
「……とても悔しいですが、美味しい……」
『……こういうのだけは昔から上手なんだよね……』
気づけばフライパンから肉は消えていた。
い、いつのまに……
「次は俺がやってみよう」
「ほぉ〜? このボクより上手く焼くことが出来るかなぁ〜?」
「そのための準備だろ?」
ということでトランプの兵士よ、きてくれ!
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
美味しくて高級な肉の熊さんでした。
雑草先輩、出番ありましたね。




