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仮想現実の世界で自由な旅を 【完結】  作者: からくり
chapter1

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ep.58

声をかけると急に影ができた。

ふと上を見上げると、花がこっち向かって倒れてきていた。


「危ねぇ!」

「え」


リンナに向かって跳んだところで、横からエスタが影の外から飛び込んでリンナと一緒に影の外へ滑って行った。

あー、つまり?


「まぁそのためにボクたちがいるわけで」

『怪我は無い?』


気づけばミウロゥに右肩を、クランに左肩を掴まれて、影の外にいた。

花がゆっくりと倒れていくのを見ながら、


「助かったよ、2人とも。ありがとな」

『なんてことはない』

「大丈夫だよ。リベットには怪我一つさせないから!」


ならこれからも頼りにさせてもらおう。

……自分で出来ることは自分でやるつもりだが。


「にしてもデカイ花だな」

「そうでしょ〜? 偶然見つけたんだけど、その時もとんでもない大きさだったなぁ」


地面に下ろしてもらいながら、クランがそう言う。

偶然……ねぇ。


「さてさて、頑張ったリベットくんにはご褒美をあげましょう!」

「これは……図鑑?」

「そう! リベットがこれまでに出会ったモンスターや植物、つまりアレとかだね! そういったものが自動で書き込まれる図鑑だよ! 自分で見ないといけないのが難点だけど」


【図鑑】

〘出会ったモンスターや植物などを自動記載する図鑑。人や建物は対象外であり、自分自身の目で直接みたものだけを記載する〙


ほー……話を聞いただけじゃダメって訳だ。

旅をする中で色々見るだろうし、楽しみがまた増えたな。

とりあえず中を見てみるか。


【ヒュージスライム】

〘突然変異により巨大化したスライム。動きは大変鈍く、反撃もしない。弱点は体内に生成されるコア〙


【パラサルフラワー】

〘生物に寄生し、体内の水分を養分として花を咲かせる。咲いた花から種が自然に排出され、鳥に運ばれ落とされるか種を食べない限り寄生できない。太古の時代に海を枯らしたという伝説が残っている


心を奪われたのであなたを決して離さない〙


……あの花、そんなにヤベェやつだったのか……


「なぁクラン……なにしてんだ?」

「種を採取してるだけだけど?」

「……ヤベェ花なのに?」

「ヤベェ花だからさ」


花の中心に手をズボッと突っ込んで……うわぁ……肩の根元近くまで入ったぞ……

引っこ抜いた時に持っていたのは渡された時と同じサイズの種。


「ちなみにこれ、鳥とかが運んだりするんだけど、高いところから地面に落としただけでアウトだからね?」

「図鑑に書いてあったな」

「地面に落ちた場合ね、辺り一面が花畑になるんだけど、そこに入った生物はもれなく寄生されるから。だから禁忌の種って言われてて、許可がないと持ち運べないの」

「……俺、大丈夫か?」

「ボクがいるからね! それに放置してたら誰かが取っちゃうかもだし、1度種を引っこ抜いたらあとは枯れるだけだから」


片手で種を持ちながらそう言うクラン。

いや、よく持てるな……

なんて思っている内に花は萎んでいき、ついには塵となって消えていった。


「これにておしまい! おつかれ、リベット!」

「俺はほとんど何もしてなかったと思うけどな」


種がなかったらもっと苦戦してただろうし、クランがいなければどうなっていたことか。


「ありがとな、クラン」

「どうしたのさ、いきなり」

「いや、お前がいなければここを突破することも出来なかっただろうし、今後もどうなるか分からなかったからな」

「き、急なデレ……これが愛ってやつだね!」


それは違うと思うが……


「ボスも倒したことだし、出発するか。リンナとエスタはどうする? ツワイトまで送るが?」

「ううん、あたし達は王都に1度戻ろうと思うの」

「そりゃまたなんでだ?」

「ツワイト方面以外にもルートはあるし、1度リニダーまで戻って他の街に行ってもいいし……まぁ、とにかく修行よ!」


まぁ本人たちがそう希望してるならそれでいいんだろう。


「そうか。頑張れよ」

「もちろんよ! 絶対にいつかあんたらに勝ってやるんだから!」

「なら俺ももっと強くならないとな」


植物魔法も色々使えそうな予感はしてるし。


「ふふん! その時にはあんたなんてコテンパンにぶっ飛ばしてあげるんだから! 行くわよ、エスタ!」

「ちょ、待ってよ! リンナー!」


猛ダッシュで王都へ走っていくリンナと追いかけていくエスタ。

まぁあれはあれでいい関係なんだろう。


「さて、俺達も行くか」


次の街はツワイト。

何が待ってるのやら。

今回もお読みいただきましてありがとうございます。

危うく潰されそうになったリベットでした。

まぁ軽やかにクランたちが助けた訳ですが……それもまた愛ですよ、愛。

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