ep.46
「冗談だよ、じょーだん! というか荷台を扱ってる店で買えるよ〜。そのお金でプレゼントしようと思っただけだよ〜!」
「お前……そんなに金がなかったのか……俺もあまりないが、少しなら」
「ち、違うよ! 持ってる持ってるから! だからそんな顔をしないでよ!」
まぁそんなことだろうなとは思っていたが……もしかしたらということもあるからな。
『……うん、惜しかったね』
とりあえずプラプラさせてる剣はしまっておこうな、ミウロゥ。
街の外ならまだいいが。
そうこうしているうちに巨大な門が見えてきた。
その向こう側にチラッと見えるのは城だろう。
……デカイな。
「一般人は立ち入り禁止だぞ」
門の前で門番がこっちを見かけてそう言ってくる。
「あー、庭が一般開放されているという話を聞いたんだが?」
「庭ならそっちに少し進んだところから入れる。ここは正門だから立ち入り禁止なのだ」
「そうか、助かるよ」
門番が指さす方を少し歩くと確かにチラホラと門から人が出入りしているのが見えてきた。
そこから入れるみたいだな。
にしてもミウロゥが気づかれなかったのはなんでなんだ?
「もしかして勇者様が気づかれなかったのが気になってる?」
「お、おお、よく分かったな?」
「まぁね〜。何しろボクが隠蔽の魔法を掛けてるからね! こう見えて勇者様はかつては超がつくほどの有名人だったんだよ? 今でこそ冒険者とか王城の兵士が知ってる程度だけど、見る人が見れば一発でわかっちゃう。ということで、ボクが! このボクが、軽ーい隠蔽の魔法をかけていたのでした〜!」
パチパチパチと自分で拍手するクラン。
そりゃ凄いんだが……
『……そんな無駄なことに気を使う必要があるなら他のことに気を回せばいいのに』
「おんやぁ〜? 自分だけじゃ魔法を使えない誰かさんがそんなこと言っていいのかなぁ〜? このボクが、わざわざ掛けてあげたというのに〜? お礼の1つもないなんて〜? 勇者様は薄情だなぁ〜?」
『背中から刺してくるような人に言われたくない』
喧嘩するなよ……
しかも隠蔽の魔法がかかってるということは1人芝居してる感じに見えるんだろ?
恥ずかしくないのか?
「「2人ともそこまでです。私たちのお父様に迷惑をかけるのであれば、私たちはジョーカーとして、切りたくない札を切らざるをえませんので」」
リルナとレルナがいつの間にか二人の間に挟まってそれぞれの顎にステッキを突きつけていた。
「おやまぁ、創造主に抗うとか……それも素敵だね、ステッキだげぇ!」
「うるさい口ですね」
「いい加減閉じなさい」
思いっきり突き上げられたな。
『ごめんね、2人とも。あとでコレを粉微塵にしておいてあげるから』
「勇者も勇者です。コレが軽すぎる口を叩くのは昔からでしょう」
「以前の恨みを忘れるなとは言いません。が、お父様に迷惑をかけるのはやめなさい」
「「ではお父様。私たち頑張ったのでご褒美が欲しいのです」」
言いたいことを言って2人が戻ってきたのでとりあえず頭を撫でておく。
まぁ、さっきのはそこの2人が悪いしな。
色々人の視線が気になるが、無視して庭へと入っていく。
夕暮れ時も相まって非常に綺麗な景色だ。
左は……木でできた迷路か?
俺よりも高いな。
右には少し高台になっている所にベンチがあるっぽいな。
座って景色を見るのに良さそうだ。
で、真ん中は花畑。
ここから見るのも悪くない。
「どうする? ボクとしてはここでサッ回れ後ろをするのがいいと思うけど?」
「お父様、迷路があります!」
「お父様、迷路に行きましょう!」
「「私たちと一緒に迷うのです!」」
『少し疲れたし、少し座ってから店に行ってもいいと思うよ?』
はてさてどうするか。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
ラストはゲームによくありそうな選択肢っぽくしてみましたが、如何でしょう?
リベットがどのルートを選んだかは次回。




