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私は皇帝  作者: 破魔矢タカヒロ
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19/21

その19


 このシェルターには全員で三十二名が籠っている。


 内、皇帝家が十一名、そして様々な従者が二十一名なのだが、その全員が鳴り響く警報音を聴いて、それぞれの寝室から飛び出してきた。


 そして、今は、食堂に集合している。


 「何かあったら食堂に集合する」、それがシェルター内の決まり事なのだ。


 シェルター内の長は、もちろん、皇帝たる私なのだが、実務上のリーダーは侍従長だ。


 その侍従長がまずしたこと、それは、緊急時に速報が表示されることになっている食堂の100インチのテレビに表示された情報のチェックだ。


 侍従長がまず口を開いた。


「キタコウライから太陽国に向けてミサイルが発射されたようですな。着弾地点は予測不能とありますね。常識的に考えると、やはり、この首都に着弾するのでしょうかね?」


 侍従長のこの疑問には誰も答えられない。


 シェルター内に軍人は誰もいないからだ。


 武器を扱う人間と言えば、皇帝警察の署長以下の警察官なのだが、彼らも戦略や戦術には暗い。


 それでも、妃のコチミが侍従長の疑問に答えた。


「着弾地点は、この首都ではありませんわ。警報音が鳴りだしてから、既に五分以上が経過しているでしょ。着弾するなら、既に着弾したはずですわ」


 コチミの観測に侍従長は納得した表情で応えた。


 すると、北宮が当然の疑問を口にした。


「既に着弾したとすれば、そして、この首都ではないとすれば、どこに落ちたのでしょうね?」


 北宮の疑問には私が応じた。


「速報画面には、まだ何も表示されないね。そもそも、着弾したのかな? 海に落ちたのではないかな?」


 一同は、それから数分間、速報画面を見守った。


 すると ・・・


「お、カミガタ市に着弾したようですね。テレビに切り替えてみましょうか?」


 これを提案したのは侍従長だ。


「そうしなさい。THKがいいね」


 私は、侍従長の提案を是認した。


 侍従長がリモコンでTHKに切り替えると、緊急報道番組になっていた。


「東京のスタジオしか映りませんね。現地の画像が出てきませんよ」


 これはハルノ宮の感想だ。


 それから、私を含むその場の一同が口々に感想を述べた。


「地上の定点カメラの映像すらないね」


「核爆発で定点カメラが破壊されたのでは?」


「あり得るけど、本当に核弾頭だったのかな?」


「通常弾頭なら、生きているカメラぐらい、どこかにあるだろう」


「それは、そうですね。アナウンサーも核弾頭と思われると言っていますしね」


「おや、不鮮明だけど、映像が出ましたよ」


「本当だ。どこのカメラだろう?」


「高槻ケーブルカメラの定点カメラだと言っていますね」


「そうだね、THKが高槻ケーブルテレビからの映像を使用しているようだね」


「高槻って、どこ?」


「カミガタ府のどこかですよ」


「あ、僕、知っています。カミガタ府の出身ですから」


 声の主は、皇宮警察の例の長身警察官だ。


「高槻市は、カミガタ市の中心部から25キロ東にある衛星都市です」


「25キロか、遠いね」


「お、爆発時の録画が再生されるようですね」


「つまり、それは、25キロ離れたところから撮影されたものか」


「そうなりますね」


 その高槻の定点カメラは爆発を目撃していた。


 テレビには、かなり大きな光の玉が映し出された。


 それを見た、その場の全員がたいそう驚き、そして大きなショックを受けた。


「大きな光の球だったですね」


「大きかったね。でも、光の玉の後にキノコ雲が見られなかったね」


「まだ未明だからでしょ。陽の光がないから、見えなかったのですよ」


「あ、ニュース速報のスーパーインポーズだ。核弾頭による核爆発と断定されたね」


「爆心地はどこだったのだろう?」


「梅田付近と言っていますよ」


「梅田って、どこだ?」


 これにも、例の長身警察官が答えた。


「カミガタ駅があるところですよ。つまり、カミガタ市の正にど真ん中です」


「そんな繁華街に落ちたのか。それなら、どれだけの犠牲者が出たのだろう?」


「不幸中の幸いというか、あのエリアの未明の人口は最小限です。ホテルの宿泊客以外は、ごく僅かしかいないはずです」


「とにかく、次の情報を待つしかないね」


 ここで、私は、当然の疑問を口にした。


「未明の人口は少なくても、大惨事には違いないはずだよ。それにしても、妙だね。どうしてカミガタ市なのだ? 標的にするなら、まずは首都だろうに」


 私の疑問に対し、その場の一同が「そらそうだよね」といった表情になった。


 その場に、しばらく、沈黙が流れた。


 そして、五分ほどの時間が経過したとき ・・・


「あ、ニュース速報よ」


 声の主は孫娘のコカだった。


 そのニュース速報を見た私は最大限に驚いた。


「な ・・・ なんなんだ、これは! どうして、チュンコクの首都で核爆発が生じる?」


 その報を見て、その場の皆が絶句した。


 チュンコクはキタコウライの同盟国だ。


 戦争当事者はハメリカとキタコウライなのに、どうしてチュンコクが核攻撃を受ける?


=続く=


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