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看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


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フランの誓い

 フランの目の前には血がついた小刀を手にしているメアリーが立っていた。

 フランが手渡された小刀をメアリーが奪い、男の手首目掛けて振り下ろしたのだった。

 メアリー自身の顔やドレスにも飛び散った血が付いている。


 メアリーはうずくまっている男に目を落とし不気味に笑う。

「そこいっぱい血が出るから早く手当てしないと死んじゃうよ」


 男は手首を押さえながら青ざめてその場を逃げ出した。


「終わったか?」

ジェームスの声がしたのでそちらを向くと他の男たちが倒れているのが見えた。

 ジェームスは木にもたれかかりこちらを見ている。


「こんなに強いなら守られる必要はないよな……ハハ」

フランが思ったことを先にジェームスに言われる。


 ジェームスが近付いてきて二人の頭を撫でる。

「フランの力を試したかったんだけどな〜……」


 メアリーがフランの方を申し訳なさそうに見る。

「フランが傷付けられると思ったら身体が勝手に……」


「強いんだね……」

フランが驚きの声を漏らす。


 ジェームスはフランを優しく見る。

「この姫は、自分で自分の命を守れるようになりたいと、物心ついた頃から剣術を学んでいるんだよ。

それに刺激されてうちの息子も剣術をやってはいるが、メアリー様にはまだまだ勝てんのだ」


「私が強くなれば私のために命を落とす人はいなくなるし、逆にみんなを守れるようになるでしょ」

フランと目を合わせ、力強く続ける。

「フランのことも私が守るからね」


「いや! 僕が守る!! 僕が強くなる!!

君が剣を使わなくていいように!!

君の手が汚れなくていいように!!」


 フランはメアリーが泣きそうな顔で斬っていたのを見て、

なぜかとても胸が苦しくなった。


 驚いて言葉も出ないメアリーの肩に両手を乗せる。

「僕はこの国で一番強い人になる!!

 そしたら結婚しよう!!」


「は……?」

メアリーがぽかんと口を開けている。


「シスターが言ってた。

一番近くにいたいと思った人と結婚するんだって。

一番近くにいたらどんな時も君を守ることが出来るでしょ?

 僕が守れるくらい強くなったら結婚しよう!」


「え、でも、あの……」

メアリーはさっきまでの勢いがなくなり、おどおどした様子を見せる。


 ジェームスが声を上げて笑い出す。

「ハハ……! シスターは女の子を困らせてはダメだとは教えてくれなかったようだな!

 だが、目標を持つことはいいことだ。

将来が楽しみだ!

 それより……」


 チラとメアリーに目をやる。

「こりゃまた派手にやってくれたな〜

こんな血だらけの顔やドレス見られたら、今度こそ国王様に騎士団長クビにされるかもしれんな〜

まいったまいった〜!」


 全然困ってなさそうに笑うんだなとフランは思った。それにつられて顔がほころんでしまう。


「よし、急いで城に戻るぞ!!

国王様に見つかる前に、二人とも侍女たちに綺麗にしてもらわんとな!!」


 ジェームスは二人を抱きかかえ足早に城へと戻って行く。メアリーとフランは抱えられたまま目を合わせ笑顔で揺られている。




 この時の宣言通り、十年後フランは国一番の騎士となる。



――――――



 メアリーを初めて見た時、あまりのみすぼらしさに驚いた。これが王女だと聞いても信じられなかった。

 だが、話を聞いてわかった。


 ああ、これが人の上に立つ人間なんだと。

やっぱり別世界の人があの城には棲んでいたんだと。


 修道院の生活は不便だと思わなかった。

その世界しか知らないから。

 外で暮らしている子供たちに比べれば全然マシだ。

でも悪いことをすれば外へ出されるし、木の棒で殴る男の人もいる。だから、いい子にしてないといけない。

 ご飯も食べさせてもらえる。でもお腹がすく。

大きくなっても食べる量は増えないからみんな痩せていく。でもそれが普通だった。


 子供が欲しい人に連れて行かれる子もいた。

でも、良い人と悪い人がいるって知らない大人が教えてくれた。


 良い人は大切に育ててくれる。でも悪い人は他の人に売るんだって。売られたら恐ろしいことが待ってるらしい。どう恐ろしいかは教えてくれなかったからわからない。


 ある日、お城から大人が来て一人一人の魔力を調べていた。

 僕の番になったから、魔力がわかる石に触れた。

お城の人が大きな声を上げたからびっくりして泣きそうになった。

その後も他のお城の人と騒いでいたから怖かった。

何か悪いことをしてしまったんだと思った。


 そしたらお城の人が僕を連れて行くって。

この人はいい人? 悪い人?

わからなかったけど、ついていくしかなかった。

僕は選んではいけないから。

言われたとおりに動かないと怒られるから。


 馬車に揺られるのも初めてで気持ち悪くなった。

揺れすぎたからだと思う。

今まで生きててこんなに揺らされることはなかったもの。


 しばらくして大きなお城に着いた。



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