表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
看護師が異世界の令嬢に転生しスキルを使って無双する話だったハズなのに!?  作者: VANRI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/96

フラン幼少時

「フラン!! 大丈夫か!?」


 すぐそばの草むらからガサガサと音がして灯りと共に人影が現れた。


「ジェームスさん……」

フランはか細い声で呟いた。


 ジェームスはフランを強く抱き締める。

「怖かったろう。早く見つけてやれなくてごめんな」


 フランは呆気にとられた。

「……おこらないの?」


「怒らないよ。何か考えてのことだろう」

ジェームスは自分の上着をフランにかけてやる。


「お前と話をしたいって人も連れて来た」

そう言って暗闇の方を見たのでフランは視線を追った。


 闇の中から小さな人影が出てきて、灯りに近づくにつれてその身体がよく見えるようになってくる。

 雨に濡れた金の髪を手で振りはらい、泥で汚れたドレスの裾を引きずりながら少女が現れた。

 

 これがメアリーとの初対面となる。


 フランより小さなメアリーはお構いなしにフランの目の前まで来てフランと同じようにしゃがみ込んだ。

 フランはドレスが汚れるのが気になってメアリーの顔よりドレスの裾に目がいってしまう。


「ごめんなさい」


 メアリーの声にハッとして顔を上げる。

目の前には悲しみに歪んだ顔があった。


「え?」

なぜ謝られたのかわからなかった。

勝手に逃げ出したのは自分の方なのに、と思った。


「私を守るためにあなたは連れてこられたの」


 それからメアリーは自分の魔力があまりに強大でそれを抑え込むために数人の子供たちが集められたこと、自分のことを生涯守ることが出来るよう、同じ位の年齢の者が選ばれていることなどをわかりやすく話した。


 それまで自分の役目がわからなかったフランは合点がいった。メアリーは続ける。


「でもね、あなたが嫌なら帰っていいよ」

「え? いいの?」


 メアリーは、にっこり微笑んだ。

「ここに来る時に何も聞かされてなかったんでしょ?

 城の人は私を守るためにあなたを帰さないかもしれないけど、このジェームスは助けてくれるから」


 フランは沈黙し考える様子を見せる。

メアリーは気になり優しく声を掛ける。

「何か不安や心配なことがある?」


 フランは頷きながら複雑そうな顔を浮かべる。

「守ってくれるひとがへってもいいの?」


「ああ! そんなこと!

それは大丈夫! 気にしなくていいから!」

すぐさま笑顔で返答が返って来たが、メアリーの肩に手を置きながらジェームスが口を開く。


「メアリー様はそういう方だ。

自分の命を守ってもらうより、お前の幸せを願っておられる。今だってお前と話したいと言って、止めるのも全然聞かずにこんなみすぼらしい姿に」

「もうジェームス!! 変なこと言わなくていいから!」


 メアリーを改めて見ると、髪の乱れどころか顔にも泥がついている。ドレスは破れている個所も複数見受けられた。


 ジェームスは目を細めながら話を続ける。

「お前が選んでいい。城に住んで帰りたい時に帰ってもいい」


「わかった……」


「だが!!」

ジェームスは突然フランとメアリーを抱えて立ち上がった。


「ちょっと今は話を聞いてやる暇はなさそうだな」



 暗闇から草木が踏み潰される音と男たちの話し声が聞こえてきて騒がしくなってきた。

 ジェームスは二人を草むらの中へ隠す。

二人を動揺させないよう、落ち着いた口調で話しかける。

「ちょっとここで待っていてくれ。

そしてフラン、今だけ姫を守る騎士になってくれ」

そう言って小刀を渡す。

フランは怯えた顔でそれを受け取り、ゆっくり頷いた。



「おいおい、城の兵士がこんなところで何やってんだよ」

いかつい男が数人の男たちと顔を出した。


「今日は大して稼ぎがなかったんでな、悪いがここから帰してはやれないな……」

言いながらそれぞれがナイフを取り出し始める。


 ジェームスがフッと笑う。

「盗賊か……

悪いと思ってんなら最初からやるんじゃねえよ」


 剣を抜き瞬時に斬りかかる。

真正面の男を右上から左下へ斬り、そのままの勢いで右の男の胴を左から右へと薙ぎ払う。


「動くな!!」

背後から声がしたのでそちらを振り返ると、草むらから出されたメアリーとフランがナイフを向けられていた。


「こいつらを守りたかったようだが残念だな。

その剣を捨てろ」


 ジェームスはニッと笑う。

「捨てるわけないだろ」


「あ!? こいつらがどうなってもいいのか!?」


「ハッハッハ……その二人は俺の命よりも大切な子供たちだ。だから剣は捨てれない」


「はぁ!?」


 ジェームスは剣を構えたまま続ける。

「俺が剣を捨てたらどうなる? 

俺は殺され、その二人も殺されるか、売られるかだろう。どっちみち助からんという訳だ」


「余裕ぶりやがって!! 一人で全員やれると思ってるのか!」


 背後を振り返り、目を細める。

「お前をやるのは俺じゃない」

言い終わる前にその男が「うわあ!」と叫び手首を押さえながらその場に倒れた。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ