最終目的地へ
アストラは深夜まで皆と話をして、皆が寝る頃には出て行った。
翌朝、出発前にも姿を現さなかった。
また会うと約束をしたのだから会える。
必ず会える、そう思った。
――――――
とうとう目的地の国に入る。
身構えて行ったが、特に調べられたりもせず国の中へ入ることができた。兵士は立っているが飾りのようにそこにいるだけ。
王都に入り違和感を感じる。
今まで訪れた国は、統一した色や材料で建物が建てられていたが、この国には統一性がない。
様々な色で材料もバラバラである。
石で造られた建物もあれば木で造られた物もある。
また、通り過ぎる人の装飾品や服装も統一性がない。
「いろいろな国が混ざり合っているみたいだな……」
トニーが周りを見渡しながら言ってきた。
「こんな国、見たことも聞いたこともないよ」
アーシュも驚きを隠せない様子。
ミアも御者も周りを熱心に観察している。
市場で売っている物を見ても同じだった。
国に入れば入る程、どんな国なのかわからなくなった。
「そうか……!
いろんな国が混ざっているのなら……」
トニーがそう言ったかと思うと、
「ちょっと行ってくる」と追加し、どこかへ消えて行った。
私たちは市場を見て回りながらトニーの帰りを待った。
昼過ぎ位に息を切らし、興奮した様子でトニーが戻って来た。
手には新しい剣が握られている。
「あった! あったんだ!」
笑顔でそう叫び、剣を皆にかざす。
「何? 新しい剣?」
剣を見るが今までの剣との違いがわからない。
「これは魔剣だ!」
「魔剣……?」
トニーが私にもわかるよう丁寧に説明を始めてくれた。
この世界には魔剣があり、魔力を込め使うことが出来るが、なかなか市場に出回らないため、それを長年探していたらしい。
この国は様々な国の物があるようだったので探してきたと言う。
「自分の魔力と共鳴するんだ!
こうやって使うことが出来る」
トニーが剣を頭上へ上げ魔力を込める。
すると、剣の周りをトニーの手から発せられた水流が勢いよく水しぶきを上げ取り囲んだ。
「この剣で威力を増大できるんだ!
しかも少量の魔力を増幅することもできる!」
「すごい!!」
アーシュが食いつく。
「俺も欲しい!!」
「店に案内するよ!
人それぞれ魔力が違うから実際に触れて、合う物を手に入れた方がいいから!」
「私も行きたい!」
魔力が使えない私でも、共鳴することがあるのかは疑問だが気になるので着いていく。
歩きながら後ろを時々振り返り、トニーが口を開く。
「ずっと武器屋ばっかり探していたんだけど、
魔力関係だから魔道具屋だったんだよ!」
その店は市場の端にあった。
店の窓際にもたくさんの品が置いてあり、外からは店内の様子が見えない。入る前から怪しそうな雰囲気が漂う。
よくこんな店に入ったなと、トニーに感心してしまう。
トニーは一度入っていることもあり、躊躇せず戸を開ける。埃っぽい店内、所狭しと置かれている杖や本や壺。何に使うのか、どう使うのかわからないような様々な商品が置いてある。
トニーが早々に店の奥に進んで行く。私もアーシュも自然と足早になる。
外見からは想像もつかなかったが、入ってみると店内が広かったことに気付かされる。
奥に奥にと部屋が繋がっている。
二部屋ほど通り過ぎるとトニーがやっと足を止めた。
「ここだ」
最後の部屋に入ると、部屋の隅に木箱が置いてあるのが見えた。
トニーがその前に立つ。
その木箱の蓋の埃をふうっと息を吹きかけ祓い、
蓋を開けた。すると、何十本もの剣が現れる。
「見せて!」
アーシュが身を乗り出したので、トニーが場所を譲ってやる。
アーシュの後ろからトニーが声をかける。
「水を出さない程度に、薄く魔力を手に集めて剣を触ってみて」
「わかった……」
アーシュは集中しながら無言で剣を触っていく。
数本触ったところで、
「これだ!!」
と、一本の剣を掲げた。
目を輝かせ振り返り、話し出した。
「凄いよ!! 剣の方から手に吸い付いてくる感覚だよ!!」
一つ疑問が浮かんでくる。
「これで剣で戦う時に有利になるとして、敵も同じように使ってきたら?
持ってない同士で戦っていた時と同じになる?」
「いや、一概にそうとは言い切れない」
トニーが続ける。
「俺たちの魔力は戦いにも使えるから剣と併用出来るけど、防御や飛行の魔力の場合は併用出来ないだろうね」
「そっか……」
アーシュは剣をじっくり見たまま私に声を掛ける。
「メアリーも探してみる?」
「え……どうしようかな……。
今は魔力使えないから共鳴するかわからないし、
使えないなら意味がないんじゃないかな……」
「そう? 剣は鍛錬して多少使えるようになったし、他の剣より魔力コントロールしやすいから何か役に立つかもしれないよ」




