何作ろう?
ゼノンさん、なかなか、ラブラブなことで。
そう思いながら、ひょっこり部屋に顔を出す。
「・・・・、ココロさーん。私、キッチンに戻りますね」
「え!!あ、うん!分かったわ!」
ルウを抱いた状態で顔を真っ赤にしたココロさん。
若干アワアワと挙動不審になってしまっているのは、仕方ないよね。
なかなか初々しい・・・・。ラブラブなことで。
そう、にやけ思いながら、シェナはキッチンに戻って来た。
「おっと、そろそろ、いいかな?」
水に浸していたコメを見ると、いい具合に浸水され、扱いやすくなっていた。
「よし」
水に浸したコメを二分割する。
片方は、厚手の鍋に入れ、分量を測った水を注ぎ入れる。
しっかりと蓋をして弱火の火にかけ放置。
火にかけた鍋が沸々と湯気が上がっていく。
もう片方のコメは、
「風よ、火よ、『ドライ』」
魔法で風の球の中に火の魔法を合わせ、一気に乾燥させる。
コメがカラカラに乾いたら、火の魔法を止めて、また『ミキサー』で粉々に粉砕する。
粒が残らないように念入りに。
コメを粉砕している間に、次にはカココの実の黒い粉末をボールに入れる。
計量した砂糖を加えよく混ぜる。
辺りにカココの実の香がふんわり広がる。
砂糖とカココの実が混ざったら今度は牛山羊のミルクを、今度は脂肪分が多い物を使う。
沸騰寸前まで温めたミルクを少しずつカココの実の粉が入ったボールに注ぎ、手早く混ぜる。
ミルクの白がカココの実の黒と混ざり、暗い焦茶色になり、トロトロとトロミのある液体になった。
味見をすると、カココの風味が口の中で広がる。
砂糖と脂肪分の多い牛山羊のミルクを混ぜたから、カココの強い苦味が抑えられて、甘くてほろ苦く、口当たり滑らかに仕上がっている。
その頃には、コメも粉砕され粉になっていた。
出来上がったコメ粉を手で掬い上げると、きめ細かいコメの粉がふんわり宙を舞った。
「下準備はこれでよし。さて・・・・・、何作ろうかな?」
ブラウニーに振る舞うお菓子の下準備をしたのはいいが、実はノープランなシェナだった。
「焼き菓子にブラウニーってお菓子があるけど、今日、パウンドケーキ作っちゃったしなぁ」
なんとなく、気分では無いので、似た焼き菓子じゃ無く、別のお菓子を作ることにした。
コメの粉に液体状になったカココ。
さて、何を作ろう。
熱いお菓子?冷たいお菓子?
コメの良さを引き立てて、モチモチとした食感のお菓子を作るか。
それとも、カココの風味を生かした、口の中で溶けるような滑らかなお菓子にするか。
握り拳くらいの大きさのブラウニー達が食べやすいモノがいいよね。
「うーん・・・・・」
シェナが、何を作ろうかと考えていた、その時、
(シェナ)
ふと、シェナの脳裏にある思い出が浮かんできた。
(シェナ!オヤツ、一緒に食べよ)
フライ返しを片手に持って、はにかむ母の姿。
・・・・・・・昔、母さんが作ってくれた、あのお菓子、美味しかったな。
「・・・・・・ふふ。よし、アレにしよ」
懐かしい、母の思い出に表情を緩め、シェナは卵を一つ手に取った。
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