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帰路

かくして、ユージーンの監視役兼エンシェントドラゴンの子ドラゴンの保護者役に任命されたシェナ。


因みに、子ドラゴンをおチビちゃんと呼び続けるの変なので『ルウ』と名前を付けた。


「ルウ」

「キュ!キュ!」


よほど名前を付けてもらえた事が嬉しかったのかシェナに名前を呼ばれルウは今はご機嫌だ。

それでも、シェナから離れるのを嫌がり、仕方なエマが用意してくれた大きめの布をスリング、横抱きに幼児を包む所謂抱っこ紐を作りずっと抱えている。


ロベルト達との話し合いも無事に終え、ユージーンはロベルトに連れられ今後の手続きに、シェナはエマと一緒にルウを抱え、ギルドの待合室へ。

待合室でユージーンを待つようにエマさんに言われ、大人しく待つシェナとルウ。


「ごめんなさい。結果的にはシェナにユージーンとルウを任せる形になってしまって」

「大丈夫ですよ、エマさん。それに、本当に無理だったり、嫌だったらユージーン本人の目の前ではっきり拒否してました」

「・・・・そうね、シェナの性格ではやりかね無いわね」


肩をくすめながらイタズラっぽく笑うシェナにエマは思わず苦笑した。


しばらくエマさんと他愛の無い話をしていると、ロベルトさんに連れられユージーンが待合室にやって来た。


「お待たせしました」

「ロベルトさん」


ロベルトさんと一緒に部屋に入ってきたユージーンは右手で杖をつき、シンプルなシャツとズボン。そして濃い灰色の上着を着ていた。

恐らく襟口から見えていた包帯を隠す為だろう。

そして、事情聴取の時にユージーンの頭に着けていたオレンジ色のベルトが外されている。


あ、あれ、外して貰えたんだ。


「シェナ」

「、はい」


ぼんやりそう思っていると、ロベルトさんに呼ばれた。

今は大人しいルウをエマさんに預け、ロベルトさんと向き合う。


「それでは、シェナ。ユージーンの監視役及びルウの保護者役、お願いします。

それと、梟屋のゼノンさんにお願いしてユージーンを受け入れて貰える事になりました」

「はい、分かりました」

「それと、これを、子ドラゴンの生態と育て方を綴った本です。ルウを育てるのに役に立つでしょう」

「ありがとうございます」

「・・・・・ふ、」


ロベルトは小さく微笑みながら本を受け取ったシェナの頭を撫でた。


「ん、」


シェナは自分の頭撫でるロベルトの見かけよりも大きな手を素直に受け入れる。


「シェナ、私から頼んだ事ですが、くれぐれも無理はしないで下さいね?シェナの出来る範囲で構いません。

いざとなれば私達を頼って貰っても構いません。それだけは忘れないで下さい」

「・・・・ロベルトさん、やっぱり、私に甘くないですか?」

「おや?そうですか?」


ロベルトさんはそう言いながら、クスクスと楽しそうに微笑んだ。




その後、シェナはルウを抱えユージーンを連れてギルドを出た。

ロベルトの計らいでユージーンもシェナが下宿する梟屋に入れる事になったので、一度梟屋に帰る事にした。


早朝からギルドに来ていたが、今はすっかりお昼前、街や市場では人で賑わっている。


シェナは脚を怪我したユージーンと幼児のルウがいる為、出来るだけ人通りが少ない通りを歩いた。


「・・・・・・」


ザワザワと賑わう街中、隣からはギルドを出てからずっと無言のユージーンとカツカツと杖をつく音が聞こえた。

いや、

ちらっと隣を見上げると、物珍しそうに辺りを見渡すユージーンがいた。


「そんなにこの街が珍しい?」

「、あ、いや、」


どうやらユージーンは街の様子見て歩いていたようだった。

シェナに声をかけられて、少し気恥ずかしそうな顔をするユージーン。


「賑やかな街だと、思ってつい、」

「ここはほぼ毎日こんな感じだよ。この街はここら辺で一番大きな街だから。近くの村とかもこの街で物を売りに来たり、ギルドに依頼をする人も来るから人出入りは多いよ」

「そうか、いい街は行き来する人の表情がいいと聞いた事があるが、この街は、そうなのだろうな」

「まあ、人が多い分、問題や不成者も多いけどね」

「そうか、・・・・君、シェナはギルドの重役と親しいのか?」

「・・・・・・やっぱり、そう見えた?」

「ああ、・・・・・いや、親しいと言うよりも親子の様に見えたな、」


あえて言葉を選ばず、本音を言うと、シェナはユージーンの言葉を気にせずスリングの中で動くルウをあやす。


「・・・・・・・、母さんが『龍の宿り木』のギルドメンバーだったの。ロベルトさんやエマさんと同期で私も小さい頃からエマさん達に可愛がられたから、古株メンバーとは親しくさせて貰っているの」


ふと、目を伏せるシェナ。


「シェナの、母親・・・・、確か君の母親は」

「うん、もう亡くなった」

「、・・・・・・」


ほんの一瞬、周りの音が途切れた気がした。


「ところで、頭のベルト取ってもらえたんだね」

「え?あ、ああ、あのベルトか?」

「うん」


唐突に話題を変えられたが、ユージーンは深く聞く事をやめ、ギルドの保護されていた間ずっと頭に着けられていたオレンジ色の細いベルトを思い出す。


「ギルドにいた時からずっと着けられていたが、あれは一体何だったんだ?」

「あ、あれ?アレ、エマさん特製の尋問器具」


事もなげにさらりと言うシェナの言葉に、


「・・・・は?」


一瞬ユージーンは言葉を失った。


「エマさん、ギルドに来る前何処かの国の拷問技師をやっていて、偶にお手製の尋問、拷問器具を作ってるの」

「はい!?」


思ってもいなかったシェナの言葉に思わず声を上げてしまった。


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