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お腹空いた

ポイズンパイソンと交戦したシェナ。


「そこそこの大物だから捌くのも一苦労だね」


魔力が尽きかけていたから闇魔法で早々にケリをつけ、ポイズンパイソンを川原で捌いていた。


黒刃の一刀でポイズンパイソンの首を一瞬で落とし、更に落とし頭に黒刃を突き刺しトドメを刺した。

その後、ナイフの闇の魔法を解除。邪魔が入らない様に結界を張る。

ポイズンパイソンの素材を採取する為、首を落としたポイズンパイソンを捌いていた。


「ポイズンパイソン。牙は武器に、皮と骨は装飾品、毒は鎮静剤の原料。肉と素材で大体大銅貨5枚くらいにはなるな」


手慣れた手付きで血抜きと内臓を抜いて、解体を素早く済ませた。ポイズンパイソンは店で売られる素材と肉になった。

ポイズンパイソンの毒は牙にある為、頭を落とせば胴体は食肉として食べられる。

元のパーティーでも解体作業はシェナの仕事だったので慣れたものだ。

シェナはそれらを小分けの袋に入れ、


「水よ。闇よ」


右手に小さな水の球を4つ、左手に闇の靄を呼ぶ。

水の球と闇の靄を合わせると闇が水を包み込み水の球は凝固した。

闇の魔法が光と熱を遮断し水の魔法を凝固させガラス玉のようになる。

闇の魔法で凝固させた水の球は冷気を放つが、氷とは違い溶けて水にはならない。

小分けの袋に凝固した水の球を一つずつ入れる。保冷剤の代わりだ。

素材と肉が入った袋をマジックバックに入れようやく一息ついた。


「ちょっと魔力使い過ぎた」


どっ、とくる疲労感を感じ頭がクラクラする。

そして、


クゥ~。


「お腹空いた」


魔力が足りないとお腹が空く。

よし、ご飯作ろう。


シェナは魔力と体力を回復させる為に少し遅い昼食を作ることにした。


材料は、捌いたばかりのポイズンパイソンの切れ端肉。

目の前の川で獲った細身で手のひらサイズのサーマと言う魚。森で採ったクリーム色の小さなキノコ、コル茸と香草。

自前の調味料と市場で買った香辛料と貰った花油。

今回は野外だから簡単でスタミナがつく料理にしよう。

シェナは鞄からレシピ本を取り出し、さっと作る料理の作りかたを確認した。


「よし」


シェナはまず川原の石を積んで簡易性の竃をつくる。

森から引っ張ってきた太く長めの枝3本、竃を囲む三脚のように組む。

鞄から小鍋、金串、皿一式を取り出す。

竃の三脚に吊るし小鍋の位置を調整をする。

竃が出来た。

次に川原の手頃な平べったい岩をよく洗って、岩を台にする。

竃と台が出来、シェナは頭に巻いてるターバンを巻き直し、川に水で手を洗い綺麗に拭く。


調理する環境が出来た。

市場で買ったニンニクと赤く辛味が強い香辛料、ピリックをスライスする。

次に森で採ったコル茸を濡らした布で軽く拭いて汚れを取る。

獲ったサーマを捌く。

ナイフで鱗を剥ぎ、内臓を取り、頭を落とし、縦に3枚捌き、水気を拭く。頭と真ん中の骨の部分は使わない。

ポイズンパイソンの肉はブツ切りにして自前の塩と森で採った香草をもみ込んで置く。

岩の台はまた後で使うから川の水で洗う。

これで下ごしらえは終わった。


「火よ」


火の魔法で竃に火入れする。

火にかけた小鍋に少し多めに花油を注ぐ。


質の良い花油は普通の油とは違い、アルルゥと呼ばれる花の実から採れる油で、料理には勿論、保湿効果があるので肌に塗るのもよし、髪につけてもよしと、特に女性に人気がある油だ。


そんな花油が温まったら、スライスしたニンニクとピリックを入れ香りが立つまで炒める。

小鍋の中からニンニクの香りがして空腹時のシェナにはいささかキツイ。

香りが立った小鍋の中に捌いた川魚とキノコ、塩を入れ弱火で油で煮ていく。

次はポイズンパイソンの肉だ。

塩と香草で臭み消しと味付けをした肉を金串に刺して、竃の火にかざす。


「あー、お腹空いた」


ニンニクとピリックの魅惑的な香りと香草と肉の焼ける刺激的な匂いに、


クゥ~、クゥ~、クゥ。


お腹の虫が鳴きっぱなしだ。


肉が程よく焼けたら、火から離し、平皿に乗せる。

鞄からおじさんから買ったパンと森の果実を取り出す。


「そろそろなか」


小鍋の中を覗くと、食欲を掻き立てる香り。

加熱されて白くなったサーマの切り身とクリーム色のコル茸が黄金色の花油の中でコトコトと踊っている。


「うん。サーマとコル茸のアヒージョとポイズンパイソンの串焼き完成」


シェナは満足気に頷く。


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