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あるアラサー女子の恋もよう♪  作者: ステラ
第4章 アラサー女子のお仕事模様♪
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52.牧 由貴ですが、何か?③

5月に更新できず終いで、すみません。久々の牧くん視点です。元旦那の名前変更してます。

やれやれ…


慌てて出てみれば、あれだし。

何のために俺が出て行ったと思ってるんだか。


商談先の会社の階段を昇りながら首に手をあてて回すと、コキコキ…と鳴った。

首が凝るくらい、力が入っていたのか…。


「はぁ…」と、力なく応接室兼、待合室に入ると、樫本所長がガラス窓から外を眺めていた。


『ねぇ。よく見えたね…。ここから』と、振り向きながら言った所長の顔は、笑ってはいない。


「…まぁ、なんとなく?ですかね」と、応接セットのソファーに座りながら俺は資料に目を落とす。


本来ならば、大事な商談前の貴重な打ち合わせの時間のはず。それなのに、飛び出していった俺に理由を聞くこともなく、怒ることもなく所長は黙って資料を読んでいる。


「…申し訳ありません。勝手しまして。商談の打ち合わせ…お願いします」深々とアタマを下げた俺に。


『え?あぁ。うん。大丈夫なの?気持ちが落ち着いたなら、始めようか』と所長が資料から顔をあげて笑った。


「…落ち着く?私がですか?」慌ててはいたが、別に取り乱したりはしていないはず…。


『自覚ないの⁈あきれた…』と、所長は天井を仰ぎながら言う。


?何を自覚しろと言うのか、わからんな。


『…顔。怖いよ。ちょっとほぐしたら?』

そんなんじゃ、成立するもんも成立せんよ〜。と、俺の頬をぐにっ…とつまんで所長が言った。


あったかい…


あ。俺、緊張してたのか。

冷んやりとしている自分の頬を、温かい所長の手が当たったことで気付く。


外に出ると、まだ夏の名残の暑さは若干感じるが、室内は風さえ通れば冷房はいらない。


幸い、この応接室兼、待合室は、階段が吹き抜けになっているので風が通る。


やや貫禄のある(ここだけの話)所長からしてみれば、まだまだ残暑だ…と。

俺は、すでに初秋ではないかと思っているが。

外に出れば過ごしやすい気候で、冷房も入っていない室内で寒いわけでもないのに。


俺の顔は、冷んやりとしていた。

むろん顔色も良いわけないか…。


知らず識らずの内に…緊張して顔も強張っていたのだ。

自分の頬をさすりながら、俺は所長と商談の打ち合わせを済ませた。





「まだまごまごしてんのか…あの人は」

ふと、応接室兼待合室になっているフロアの道路に面したガラス窓から外を眺めて、見覚えのある…と言っても、さっきまで運転していた車を見つけた。


運転席で何やらゴソゴソしている彼女を見つめていた。

「…ぷっ。どんくさっ」

わざと座席を動かしておいたこと、気付いてないんだな…。と、自分のイタズラが成功してクスクスと笑いを堪える。


…?

そんな彼女の乗っている車に近付く人影があることに気付いたのは、そのすぐ後だった。



あっ…!あれは、片野さん⁈



彼女に近付く人影の正体に気付いた時には、勝手に体が動いていた。


ガタッ…!


『ん?牧くん?どうした…⁈ あっ!どこ行くのっ⁈ 』所長の声は耳に届いていた。


断りを入れて行かなくちゃならないのは、分かっていた。


でも…体が先を急いでいた。

頭の中で「急げ急げ!」と、何かが俺を急かしていた。


吹き抜けの回り階段を駆け降りて、社屋の外に飛び出した時には、彼女はすでに彼と車から出ることなく対峙していた。


出れないのも無理はない。

あんなに恐怖心を抱えて生活していたのだから。


車に近付くにつれて、だんだん彼女の表情が見えてくる。普段の表情豊かな彼女からは、想像出来ないほどの無表情。


くっそっ…!


思わず、後頭部しか見えていない彼に蹴りを入れてやりたい衝動に駆られる。


やっと元旦那との生活の記憶が薄れて、前を向いて歩き始めた彼女の前になぜこのタイミングで姿を現すのか…。


駆け出しそうになるのを抑えて、足早に近付いて行く俺に…何かに気付いたのか、片野さんが振り向いた。


ちっ…!気付かれたか。

なぜか気付かれたことに怒りを覚える…。

俺マジで蹴り入れようとしてたのかよ…。


内心、自身に呆れながら腹立たしい想いを腹に納めて、俺は二人に近付き声をかけた。



「ご無沙汰しています。元気そうですね?」と、片野さんに向かって言った後、彼女に顔を向ける。


なんて顔してるんです…。

「お話中すみませんが、チーフに用件があるんですけど…よろしいですか?」と、顔面蒼白になっている彼女に声をかけた。









長くなりそうなので、一旦切りました。次も牧くん視点でお送りします。

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