35.彼との遭遇?
いよいよバツイチになった理由へ…突入編。
最初は、バイトと正社員の出会いだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『そういえば…片野さんに会いましたよ』
「!えっ?…どこで?いつ?」
車を運転しながら、唐突に始まった話題にびっくりした。
−例によって、ヨーコ所長との飲み会に向かっているところ−
『駅前の本屋で。去年の夏くらいだったかな〜』
と、窓に頬杖ついた肘をのせて気怠げに呟いた牧くんに。
「ふぅ〜ん……」
と、何気ないそぶりを見せながら…内心ドキドキ。
久しぶりに聞いた、元ダンナ情報だった。
『私も先に、気付いてたんですけどね。話かけるのも何だな〜と思って、知らんぷりして立ち読みしてたんです』
牧くんによると、
『牧くん。久しぶり。元気?……あ、ごめん』
と、相手から話かけてきて…謝られたと。
『なんで謝ってるんだろ〜?って思いましたけど。元気ですよ。と答えて終わり。大野さん、そのままさっさと本屋出たんで』
元気そう…だった?
と、遠慮がちに聞いたあたしに。
『まあ…前に見た時より、ちょっと太ってたかな。不健康そうには見えませんでしたが?』
「…そぉ。ちゃんと生きてるのね…」
と、ボソッとこぼしたあたしには顔を向けずに。
『なんですかね。自分から話かけてきて、ごめんって…変なの。とは思いましたが。私も、今の今まで忘れてましたよ』
それくらいの印象です。
と、何とも歯切れの悪い言い方に、こちらが申し訳なく思ってしまった。
昔は、一緒に飲みに行くほど仲が良かったはずなのに…。
ごめん…と謝らせたり、話題にすることを控えるような、気遣いをさせてしまったり…。
たぶん、牧くんは、わざと話題にしなかったのだと思った。
あたしの杞憂を感じ取っての配慮なのか…
「なんだかね。離婚したことで、お互いを知ってる友達とか知り合いに彼が会っても、遠慮させるよーな間柄にしてしまったのかな…って。
仲が良かった人たちから、あたしが引き離してしまったのかな〜って…。彼にも、友達にも申し訳なく思うようになって…」
あたしのワガママだったのかな?と、考えることが最近増えた。
そしたら、牧くんが
『…それは違いますね。自業自得でしょう』
と、きっぱりと言い切った。
そのコトバに…びっくりしてしまったよ…。
さっきまでのボソボソとした声ではなく、はっきりと聞こえたので余計に驚いた…。
「そ…そうかな?」
あたしのことを、自業自得と言ったのかな?とか思って、曖昧な返事をしてしまった。ら…
『あの人の自業自得ですよ。あなたが悔やむことではないですよ』
と、今度は穏やかに…あたしの方を向いて、牧くんが言った。




