34.ヤマアラシと裏理事会?
あれ。恋愛要素がない。まっいっか…。松浦所長さんの話〜。
その松浦所長さんは、まぁ〜…かなりの人格者でしてね。
引退した今でも、皆に(特に幹部の人たち)好かれ、未だに事業のことで相談することもあると言いますよ…。
うちの所長も、部署立ち上げの時には、かなりお世話になったと言ってましたな…。
『あの人と出会えたことは、仕事人生の中で一番の宝だね。ものすご〜く幸運だったよ』
と、言わしめたほど。
あたしも、引退後に一度だけ、一緒に飲む機会があって。
その時は、松浦所長行きつけの居酒屋のカウンターだったっけな〜。
『君は少し丸くなったかな?歳を重ねたということと、経験を重ねて。いい貫禄がついたね〜』
と言われた。
しばらくお会いしてなかったのに、少し言葉を交わしただけだょ〜?!
その中で、あたしの変化を見て取ったということか…。
「そうですか〜?段々と社員に要求することが、厳しくなってきて、面倒くさいヒトになってきてますが…」
と、ジュースのコップについた水滴を指先で弾きながら答えた。
『いい。いい。いいんじゃよ。それで。』
君は、三角形か五角形かぐらいが丁度よかろ〜。
丸くなりきらなくて、いいんじゃ。
『少しくらい角がないと、あんたらしくないじゃろ?(笑)』
と、ニカッと笑っておっしゃった…。
…あたし、どんだけ
トガッテタンデショウ…?
『そりゃー、もぉヤマアラシ並にな〜。可愛らしいほどに』
…虚勢をはっていたと。
おっしゃりたいワケですね…。
70歳の老獪な所長さんから(今は理事)見れば、アラサーのあたしなんて。
ヒョッコにもなれない、卵の中にいる生卵かな?
いや、さっきヤマアラシって言ってたし…。
まあ同時に“あたしらしさ”でもある。と、認められて、それを教えられたことが、素直に嬉しかった。
ちょっと、くすぐったくて。ジュースにちょっこっと口をつけて、ごまかした。
『ワシみたいな、じいさんが引退しても、やっぱり世間の情勢が気になってな〜』
あんたたち若いヒトには、生きにくい世の中になるのかもしれんなー…。
と、ぼそり…と呟いた。
ビールの泡と格闘してる姿は、バッチリ好々爺ですがね…。
あたしは所長から、よくこの好々爺の格言を聞かされる。
あたしがチーフになりたての頃、自信がなくて決断に時間がかかりすぎると、ヨーコからよく、お叱りを受けていた。
「失敗したら、間違えてたら社員に示しがつかないから…。つい慎重になってしまぅ…」と、ぼやいた。
そしたら、その時に言われたことは、
『間違ったな…と思ったら、すぐに謝ればいいんだ。次に活かせればいいの』
失敗することを恐れるなっ!重要なのは、失敗したあと!
って、松浦所長が言ってたよー。
…だそうな。
このコトバで、ヨーコも救われたと。
だから、あたしも間違いを素直に認めて謝罪し
すぐに次の対策に向かう…という姿勢が身についた。
すげー。
何代あとにでも、語り継いでいける格言集とか出さないかな〜…。
今でも理事として籍がある好々爺…もとい松浦所長(引退しても、未だに所長と呼称化されている…)が、出席する理事会は、幹部クラス(所長や部長、理事長までも?!)にとっては試練の場だという。
かなりの下調べや資料を集めて、どんな質問がきても答えられるようにと。
ドキドキ、ヒヤヒヤ…会議になるとさ〜。
ちなみに“裏理事会”なるものがあります。
ぶっちゃけ飲み会ですが。
牧くんも、よく借り出されている。
そうそう、前にも話したことのある“太陽の王子”なんかも。
裏理事会のが、メインなんじゃないのかね…?
紫野さんも、松浦所長と一緒に働いていたから、裏理事会にも顔出すことがあるそうだが。
『熱いよ〜。話題が熱すぎて…ついてけなーい』
牧くんや紫野さんみたいなクール系のタイプは、傍観してるとさ〜。
『私たちは、自分たちで事業起こそうとか考えつかないし』
太陽の王子や清瀬部長が、熱く語る(酔っ払いだしね…)のを見てると
『すごいねー。牧くん、でも私たちには次元の違う話だね』
ついてけなーい。
『確かに。あの人も、よく起業のこと言いますけど、私には馴染まない話です。純粋に尊敬します』
と、牧くんクぅ〜ルぅ〜。
うん。ちなみに、あたしも熱く語っちゃうタイプ。
うふ。
だから酒飲まないよーにしてるのー。
からみ酒〜。
めんどくさい〜。
だって。
あ…松浦所長は
『ワシは、飲めれば何でもいいの』
だそーで。
熱く語るヒト、クールなヒト、ウザいヒト?も
なんなく上手に、こなしちゃいますっ。
すばらしいっ…包容力。
いろんなヒト一気に登場。次は、紫野さんとの話です。




