図書館にて
今日は図書館に行ってきました。
本当は自習室で勉強でもしようかと思っていたのだけれど、近ごろは自習室が、朝から満席になっている。
先週も、夕方近くに自習室へ行くと席に空きはなかった。
しかし、それでも妾は先週図書館に、足を運んでよかったと思っている。本のリサイクル市で「死角に消えた殺人者」という本に出会わなかったら、今日も、図書館で本を読もうとは思わなかったのだから。
今日は、朝早くに行ったつもりだったが、自習室はまたも満席。
まぁ、そんな気はしていたので、今日は本を読んでみるか。
一昨日本屋で、天藤真の他の作品も読みたいとおもい日本人作家の棚が並ぶなか て の作者名を探して回った。
一向に名前が見当たらなくて、ないのかと思った。
しかし、あった。一冊だけ。
本屋の棚に唯一あったのが、「大誘拐」であった。
妾は悩んだ。この本を買ってしまおうか。
しかし、妾は購入を見送った。
買ってしまえば、手元にある。妾の好きな時に読めると。
でも妾はこう、26年も生きてくると妾自身の行動心理がよくわかっているのだ。
自分の手に入ってしまったものには、興味がとんとなくなることを。
妾は本を読みたかった。
本を手に入れたかったわけではない。
妾がこの本に対して誠実に対応するのは本屋で新品を購入することではなかった。
妾は今日図書館に来た。
自習室は満席だ。
とんぼ返りしても、家で、食べては寝てをするだけだ。
妾はなんとか粘って図書館に、残ろうとした。
今読みたい本。
それは本屋で見送った、あの本。
図書館にあるだろうか、妾はここで見つからなければ本屋で本を買う理由ができると思った。
図書館にあるかないか、それを確かめるのが先であった。
たちつて、て、て、
天童、、、、
はぁ、てんどうちがいだなぁ。
妾はまた諦めた。
でも、もう一度探した。
あった。一冊だけ。
「大誘拐」
あったことが嬉しかった。
しかし、天藤真の作品はこの一冊しか並んでいなかった。
妾はすこし悲しかった。
妾は今、この人の作品を、読んでみたい。ほかのものをと、望んでいたのに。
妾がこの本と出会うのが、天藤真という作家を知るのが遅すぎたということなのだと、嘆いた。
その時代を生きていたかった。
妾はそう思った。
この一冊。妾はこれを読み切れるか?
妾はそう、長い集中力を保ってはいられない。それは歳を重ねるほどに実感している。
本をとり、腰を据えた。
読み始め妾ほどうも、集中できない。
だが、読んでみた。
古風な言い回しなど、理解できないところはたくさんある。
読めない漢字もある。
なんとか妾なりの読み方をあてはめ、読み進める。
読んでみる。読んでみる。
少しずつ読めてきた。
次第に情景が、頭に浮かんできた。
妾のあたまのなかではもう、映像として流れていた。
明確に物語に追いつけていた。
妾の脳裏にははっきりと映像作品となって物語がはいってきた。
そんな感覚だ。本当に、見えているのだ。
妾は涙が出てきた。
その涙に釣られたからだ。
妾もその場面がみえていたからだ。
鼻水を啜る音がうるさいのがとても申し訳なかった。
少しずつ、でも、また、難しい理解しがたい文書になると、時間ばかりが気になりだした。
妾はここで読むのをやめてしまおうか。
本を借りて家で読めばいいのでは?
もう、2時間読んだ。
もう、3時間この席にいる。
もう、お昼時は過ぎてしまった。
もう、、、、
そうやって葛藤しながら、でも、なんとか妾はこの本を読んでしまいたかった。
きっと、今日この本を読めなければ、読むことを途中でやめてしまったら、妾は二度とこの本を手に取ることはないと、確信していた。この本のためにまた、図書館に足を運ぼうと思うこともないと思った。
今日、今、この図書館で、この本を読み切る。
それが妾にはとても大切なことだった。
時刻は夕方4時半頃
朝9時30分過ぎから(だいたい10時まえではあった)読み始めて、初めてトイレにたった。
それまでずっと座りっぱなし、何も飲まず、食事も取らず。
お尻がなんだか濡れていた。
ずっと座っていたせいで、汗がにじんでいた。
妾はふたたび本を読み進める。
読み終わった。
時刻は夕方6時半
妾はとても寂しかった。
もっと彼らと時間を共にしたいと思った。まだ、彼らを、見ていたかった。
もう、彼らは役目を終え、各々の道に進んでいった。
妾は、とても悲しい。寂しい気持ちになった。
物語は面白かった。登場人物みな、、、妾は悪人がいるとは思えなかった。(今思えば、いや、いたにはいたなぁと。)
妾のこの気持ちはもう、彼らは他人ではなかったからだ。
妾は彼らの存在が、とても近しく思えていた。
物語が、終わって悲しみを覚える。
もっと、もっと、彼らと繋がっていたい、かかわっていたい。
妾はその気持ちを、かかえながら家に帰った。
何も手につかない。
フレンチトーストはこげたし。
お腹はいっぱいだ。
エネルギー補給はしたのだから、活動するエネルギーはあるはずなのに、何も思考が、及ばない。
ぽっかりとしている。
考えるのは本のこと。やはり、妾はもっと彼らを、かんじていたかった。いうなら、彼らが大好きになっていたのだ。
なんだか虚しい。
でも、妾は今日本を読んでいる間は本当にワクワクして、たのしくて、もちろん気だるいのも、事実だった。
笑顔はこぼれたし涙も同じく。
妾は今日本を読んだ。
天藤真の「大誘拐」という本。
とても面白かった。
妾は少し誇らしかった。
妾はこんな面白い本にであったんだと。
しかし。出会うのが遅すぎたようだ。
一冊しか並んでいない天藤真の作品がそれを物語っている。
妾もその時代を、生きたかった。
そればかりを思う。




