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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第91話 理子

「おはよう、恭介」


 朝、そうあいさつされた。その瞬間、俺が驚いたのは言うまでもないだろう。

 何しろ、相手は理子だったのだ。


 周りのクラスメイト達も、驚いている。当たり前だろう。


 理子に対していじめられていたはずの俺が、いつの間にか理子に対してあいさつされているのだから。

 俺的に思うのは、理子がこの状況を打破するために俺を使っているという事だ。

 ふざけんなよ、と言いたい。俺はお前らの操り人形じゃねえと。挨拶なら、赤松にすればいい。


 俺に対していじめを行っていた理子が、今更俺にしがみつくなんて、そんな馬鹿げた話なんてない。


「理子」


 俺は言った。


「もうこんな事は辞めてくれないか」


 出来るならば、挨拶さえしてほしくない。


 そもそも、俺の世界に関わって欲しくない。


 恋愛に関しては、俺にダメなところがあったのかもしれない。だけど、その復讐は素でに果たされているはずだ。

 俺は理子をこれ以上苦しめる気はない、だからこそ、そちらももう俺を虐めないでくれ。


「なあ、何が面白いんだ」

「そうよ!」一葉が机を軽く叩いて叫んだ。「こんなことをして、何が面白いの?」


 一葉の怒りはもっともだ。


「一葉の言う通りだ。もう金輪際俺に関わらないでくれ」


 こちらには理子の秘密を暴露するという切り札がある。

 いつまでも手をこまねいている訳にはいかないのだ。


「そう言うつもりじゃないの!」


 理子は叫んだ。教室中の視線が理子に向く。


「つまりそれはどういう事なんだ?」


 俺が訊くと、理子は気まずそうな表情を見せ、


 そして、その場から去った。


 くそっ、全く意味が分からねえ。あいつの思考回路は一体どうなっているんだ。


 そんな事を考え、椅子に座る。


「なんで、こうなっちまったんだろうな」


 俺は呟いた。あの戦い。あれで終了だと思っていたはずなのに。

 なぜ、ややこしい事になったのだろうか。



「これだったら、切り札を使った方が良いのかな」


 切り札とはもちろん、性の事だ。


「……」


 一葉は難しい顔をしている。



 その瞬間にチャイムが鳴った。


 そして、先生が入ってきて、授業が開始されていく。


 だけど、やっぱり落ち着かない。


 理子の席。それが気持ち悪いのだ。


 理子は虐めにもうあまり考えていないのだろうか。何しろ、上靴を隠されていることに対して、気にも留めていないようだ。

 だけど、これも強がりなのかな、なんて思う。何しろ、俺だつたら耐えきれないだろう。


 それに俺に助けを求めているだろう。それなのに、という話だ。



 俺はそっと息を吐く。



 理子の存在が常に脳裏にちらついて、気持ち悪い。まさか、今度はこれが復讐のやり方だというのか。


 一葉の事だけ、考えていたい、のに。

 どうして、こんな試練を与えて来るんだろうか。



 こうしてはいけない。リスクがあるが、ここはやるしかない。



 一葉には心配させたくない。やるならば、俺一人でやるべきだ。


 いや、違う。俺は首を振った。



 俺が一人で理子の元へ行ったら、一葉がきっと怒るだろう。


 俺が一葉を信用していないという事になってしまうのではないだろうか、と思った。

 俺は一葉を信用しているし、信頼もしている。

 それなのに、一葉を連れて行かないというのは、一葉に対して失礼だろう。


 一葉を巻き込みたくない。その思いがある。だけど、それをして一葉が喜ぶわけが無い。


「一葉」


 俺は三限の休み時間に一葉に声をかけた。


「昼休みに理子に話を聞こうと思うけど、いいか?」

「大丈夫なの?」

「大丈夫……だと思う」


 確証があるわけではない。だけど、俺はそれ以上に


「今理子がどう思っているのか知りたい」



 理子がどうして俺の家に来たのか、どうして俺に挨拶をするのか、

 それを知りたいのだ。


「分かった」一葉は言った。


「昼休みに話しあおう」


 でも、と。一葉は条件を提示した。

 それは、自分が理子に対して怒っているという事だ。


 怒ってるから、場合によっては怒りで我を忘れるかもしれない。

 だからこそ、もしそんなことになりそうなら、止めて欲しいという事だ。


 俺はそれに了承した。


 そして、昼休み。


「理子、屋上に来てくれ」


 俺は言った。











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