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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第90話 侵入者

そして、家への侵入者——


 彼女を見た瞬間俺は驚いた。

 いや、それもあるが危機感もまた同時に覚えた。

 なぜ、ここにいるんだ。



「なぜここにいるんだよ。理子」

「久しぶり、でもないわね」

「一葉、下がっていてくれ」


 俺は一葉を手で制し、そして理子に向き合う。


「そんな、怖い目で見ないでよ」

「見るだろ」


 俺は言った。


「出ていけ、警察呼ぶぞ」

「私、入れてもらったんだけど」

「家主が断ってるんだ。確かに一度は扉を開いた。だけど、お前はこの家に来て欲しくない。帰ってくれ」

「ずいぶんあたしに向かって強い言葉を吐くのね」

「過剰じゃない。不法侵入してきたやつに、容赦なんてするわけが無いだろ」


理子は一歩前に踏み出す。


「帰ってくれ」

「いいじゃない。一緒に映画を見た仲だし」

「俺は一葉と二人きりで映画を見たんだ」

「記憶改ざんしないでくれる?」


 くそっ、行動が分からない。

 理子が今何を思って、ここにいるのかがわからない。




「理子、お前は何が目的でここに来たんだ?」

「言う必要あるの」

「そうじゃないと、帰ってもらおう。それにもう一つ言いたいことがある」

「何だ?」


「映画館に来たのは、わざとか」

「わざとじゃないわ。ただここに来た理由と関係してる」

「何だ」

「話に来たの、映画の感想をね」

 


 

 ますます意味が分からなかった。


 俺は一葉の顔を見た。一葉も俺の顔を見る。そして、二人で首を傾げた。





「理子」


俺は前に一歩踏み出す。

俺と理子の距離はほぼゼロ距離だ。

ここで、暴力に訴えるのは、良くない。

言葉で対処しなければならない。


「俺は前ほど弱くない。理子に何か言われてすぐに言う事を聞いてしまう俺じゃない」


そして、理子の目を真っ直ぐに見る。


「帰ってくれ」


いざとなれば切り札ももっている。

恐れること等何もない。

大丈夫だ。


「ふうん、そんなこと言っちゃうのね」


その言葉には、圧があった。


「いじめられてるあたしは助けてくれないのに」

「関係ない話はしないでくれ」


「理子さん」


そこに一葉が一歩前に踏み出す。


「帰って。もし恭介君に危害を加えたら、許さないから」




「分かったわ。今日は引き下がるね」


そして、理子は家を出た。



 しかし、疲れた。


 だけど、それにしても大分俺に対して執着している様子だった。

 いじめが終わったと思ったら次はこれかよ。

 赤松が言っていた事と同じなのだろうか。それこそ、彼女が助けを求めているという事だろうか。

 いや、そんな事どうでもいい。


 助けを求める方がおかしい。

 犯罪侵しました。その結果逮捕されました。


 被害者さん、助けて。情状酌量の余地をください。例えばそう、『わたしは許しますから、刑期を短縮してください』と、言ってください被害者くん。


 そんなバカげた話があるわけが無い。

 


 そんな話があれば、それはギャグ漫画くらいだろう。

 現実にそんな事会っていいわけが無い。


 俺はそっと息を吐く。


「なんか疲れたな」


 そう、一葉に対して言った。


「うん」一葉は小さな声で言った。「疲れた」


「ごめんな」

「恭介君、悪くないでしょ」

「そうかもしれないけど」


 俺のその言葉を聞いて、一葉は俺の手をギュッと握った。


「じゃあ、ゲームで口直ししようよ。ね!」

「ああ」


 そして俺たちは一緒に部屋に戻った。


 そして、後に返ってきた鏡花に今日会った出来事を伝えた。


「何それ」


 今日は静かに告げた。


「ひど」


「ひどいな」

「うん」


 鏡花は静かに呟いた。


「お兄ちゃんはこれからどうしようと思ってるの?」

「俺は……」


 どうすればいいんだろう。


「鏡花ちゃん、恭介君は……」

「分かってる。難しいよね」


 鏡花は腕を組んだ。


「でも」と、俺。「前ほどは難しくないと思ってる」

「どれはどうして?」

「俺には売春の事を先生に言う、切り札があるから」


 そう、俺は言った。


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