第84話 学校
翌日学校に向かう途中、
俺は思いもよらぬ人に出会った。
それは——
「この前の事は謝るから、助けてください」
そう、赤松だった。
今更俺に会いに来るなんて。
正直俺は会いたくはない。
というか学校も不登校だったはずだ。それがどうして今、来たのか。
「な——」
「なんなの?」
俺が不平を口にする前に、一葉の口が開いた。
それは、怒りの表情だった。
「恭介君、行こ」
一葉は俺の手を掴む。この一葉の感じ、俺以上に怒っているのだろう。
「一葉、俺は大丈夫だから」
「そういう話じゃない。あんな奴に心を乱されたくないし」
一葉は言った。だけど、俺の手を握る力を考えると、その言葉は強がりにしか思えなかった。
だが俺ももちろん一葉と同じ気持ちだ。
赤松の事は許していないし、許そうとも思えない。
理子に対するものと同じ嫌悪感を抱いているのだ。
学校に着くと、そこに赤松……そして理子の姿もあった。
今日は来ていたのか。
理子が気づいていないとも思っていないだろう。
堂々と虐めるクラスメイトに耐えながら、ただただ、前を真っ直ぐに向いている。
理子がいる空間、少々気持ち悪さを感じる。
これは、心を乱されているのかもな、なんて思うと、ますますイライラが込み上げてくる。
何より一葉が起りそうだ。
理子なんかに、心を乱されている俺を見るのは良しとはしないだろう。
「恭介君……」
「大丈夫だよ。理子の方は見てないから」
俺はそう言った。
一葉は俺に対して心配をしているのだろう。
「それならいいけど」
一葉はそう呟いた。
しかし、学校休んでいたのに、どうしてこのタイミングで復帰したのだろうか。
何か意味があるのだろうか。
だけど、今はそれに心を乱される時ではない。
今は一葉の件で精いっぱいなのだ。
それに、
理子がこちらに何も出だしをしないのなら、俺としても関係のない話だ。
こちらからわざわざ、気にする必要はないだろう。
そして、その日帰宅しようとした時だった。
ラインが届いた。赤松からだった。
そうだった。向こうからブロックされていただけで、こちらからはブロックしていない。必要性が無いと思っていたからだ。
正直、既読にする必要はない。俺は開くことなく、スマホの電源を閉じた。
「迷惑だね」
一葉は呟いた。
「気にしない方が良いけど」
「そりゃそうだ」俺は軽く頷く。「とりあえずは一葉の問題を解決するのがまず一番だからな」
そこを何とかするのがまず最初だ。
「向こうから手出ししてこない限りは、な」
だけど、今の俺にはそれがフラグのように思えてしまって仕方がない。




