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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第81話 彼シャツ(?)


「おはよう」


 その声で目が覚めた。


 一葉が俺の布団の上に馬乗りしていた。

 俺の視線には一葉の姿が大きく映し出される。




「Good morning 恭介君」

「何だよそれ」

「やってみたかったの」

「へ」

「やってみたかったの、こうやって起こすの」


 アニメにでも影響されたのだろうか。


「だったら恥ずかしがるなよ」

 

 だったら役に成り切れと言いたい。

 恥ずかしながらやられると、こちらまで恥ずかしい。


「ごめん」


 一葉は謝る。それこそ、赤面で。


「いや、いいけどよ」


「ありがと」


 そう、一葉はお礼、を言った。


 そして、一葉は、カバンを触る。


「そう言えばさ、着替えの服もないんだよね」


 と、一葉が言った。

 確かに着替えは持ってきていない。俺が半強引に一葉を連れ去ったのだから。


「だから、恭介君の服を借りて言い?」


 そう、一葉が訊いた。

 パジャマは鏡花の物を使った。だから、


「鏡花ので良いだろ」

「この部屋に無いでしょ。私速く着替えたいの、だめ?」


 うわめづかいで聞いてくる。だからそれは、反則級だって。


「ぐぬぬ」


 俺は腕を組む。


「わか……た」


 俺は頷いて見せた。

 すると、彼女は笑って、


「やった!」


 そう、喜んで見せた。

 やれやれ、この笑顔には叶わないな。





 そして、俺は部屋から出た。


 当然一葉が着替えている部屋に一緒に居るわけにはいかないのだ。


「お兄ちゃん、追い出されちゃったの?」

「あ、ああ」


 俺は頷いた。振り向くとそこには妹の姿だ。


「追い出されちゃった。着替えるからって」

「え?」

「俺の服に」

「さては、お兄ちゃんの服を着たかったやつね」

「みたいだな」


 強引だった。理由は恐らくそう言う事だろう。


 もうこの期に及んで、一葉はなぜ俺の服を着たがるんだ? なんて鈍感ムーブはしない。

 鈍感系主人公じゃなくて、一葉の気持ちはもう十分に分かっているはずなのだ。


 

「お兄ちゃん、一葉ちゃんの昨日着てた服を着たらどう?」

「なんでだよ」


 通報案件だろ。


 俺がそう言うと、鏡花は笑って見せた。


「でも、一葉ちゃんならすんなりと渡すかもね」

「かもな」


 そして、一葉が着替え終わったと言ったので、俺はまた、頷いて部屋に入るのだった。


 そして、この日曜日、しなければならない事は分かっている。そう、一葉の両親に直談判するという事だ。


「なあ、鏡花」俺は鏡花に話しかける。


「なに?」


 鏡花が答える。


「いきなり父さん連れて行った方が良いかな」

「流石にそれは可哀そうでしょ。今家にいないし」

「まあ、確かにそうだな」


 今父さんは家にいない。ともなれば、鏡花と二人でべきだろう。


 三人で行く。鏡花がいたとしても、上手くいくとは限らないだろう。

 そこがかなり痛い所だろう。


「お兄ちゃん、自信なさげだね」

「まあ、そりゃな」


 不安材料が多すぎる。


「お兄ちゃんってそういうところがダメ」

「ええ!?」

「お兄ちゃんはもっと自信を持ってよ。そうじゃないと、話し合いも上手くいかないよ?」

「まあ、かもしれないな」


 できればお願いします。と、お願いするよりも。

 お願いを聞いてくれるまで帰りません! と、お願いする方が絶対に承諾される可能性は高くなってくるだろう。

 鏡花は恐らくそう言う事が言いたいのだろう。


「とは言ってもなあ」


 そう易々と割り切れないのが、俺の所謂悪癖だ。


「ねえ、お兄ちゃん」

「なに?」

「あたしも昔会ったことあるけど、昔はあんなんじゃなかったよね」

「だな」



 別にそこまで記憶に残る出来事があったのかと、言われればNOと言わざるを得ない。

 しかし、彼女、一葉の母親は前まではそんなんじゃなかったと、はっきりと断言が出来るのだ。


「鏡花、案をくれ」

「あたしそこまで案を練れないよ」

「分かってる」


 俺は鏡花を信用しているが、一発で神の名案に打とりつくわけではないという事を知っている。


「あたしは喧嘩になってもとにかく強気で行ったらいいと思うよ。というか、あたしはそうする」

「心強いな」

「だから、あたしに任せてよ。お兄ちゃんが腑抜けてても、あたしが解決してあげるから」


 鏡花は胸を強く叩いた。

 その姿を見て、心強い味方だなと、思った。

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