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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第66話 被害者の立場としての学校

 翌日。俺たちは学校に向かった。

 一葉と一緒に学校に向かう際、俺は怯えていた。昨日は勝利を感じ、喜びを感じていたけれど。


 何しろ、今日は俺の人生が大きく変わるかどうか、それが決まってくる。


 今日、もしかしたら、理子がクラスメイト達に手回しをしているかもしれない。


 あの暴露ラインが俺の脅しと言う事にして、被害者面をしてくるかもしれない。

 だけど、その時の対処方法を俺は既に知っている。

 そう、売春の証拠を押し付けてやればいい。実に簡単な事だ。


 

 一葉はきっと、俺のように甘くはない。


 もしも理子が俺に対して危害を加えた場合だ。

 きっと遠慮せずに警察に持ち込むだろう。鏡花も同じだ。俺以上に理子に対して怒りを感じている。

 二人共そういう意味で冷酷だ。


 一葉は、もっと早くに対処すればよかったと言っていた。その言葉はまさに心を痛めていたように思えた。

 俺ももう、次何かが起これば容赦しない。


 学校に着くと雰囲気が暗かった。


 そして、俺に声をかける人物が一人。明崎さんだ。

 彼女は最初に俺に最低だねと言った生徒だった。あの言葉で俺は絶望に叩き落された。

 あの後、クラス中の敵意を感じ、理子に嵌められたと理解したのだ。

「何ですか」


 俺がそう返すと、

「ごめんなさい」

 

 俺はただ、彼女の目を真っ直ぐに見る。


「私あなたが完全に事を起こしたかと思っていたの。だから、本当にごめんなさい」


 そして再び頭を下げた。

 正直、機m問は良くなかった。裏を疑ってしまう。

 だけど彼女は元来真面目な生徒だ。

 俺に気を使ってとか、そういう事じゃ決してないだろう。


 俺はここで、別にいいよ、と言うのは憚られた。


 謝るのはただと言う言葉がある。

 なんとなくそれだけで許していいのだろうか。


 しかし逆に許してもらいたかったら○○しろなんていうのも違う様な気がした。

 それは理子に言うのならまだいい。だけど、彼女に言うのは流石に可愛そうに思えた。



「俺は、苦しんだ。だから、素直に心の底から許せるとは、思えない。だけど、俺はこの醜い感情を消し去りたい。だから、また俺をクラスの一員として認めてくれませんか?」


 俺は言った。その言葉で本当に大丈夫かは分からなかった。しかし、


「はい」


 そう、彼女は言った。



 さて、気になるのは理子の件だ。理子は、クラスの中で浮いている形になっている。

 みんなから後ろ指刺されているのだと感じ取れた。


 可哀そうとは思わない。彼女がやったことを考えれば、今の状況はむしろ許されている状態だと思える。

 もっと天罰が下っても良かったのに、これだけで済んでいるという事をむしろ感謝して欲しいくらいだ。


 そして、俺はそのまま席に坐った。理子は、転校するかもな、と思った。プライドの塊である彼女がこの状態にあと半年も耐えられるとは到底思えない。だけど、俺は言いたい。

 お前のせいで俺はずっとこんな地獄に追いやられていたんだぞと。


 先ほど一瞬こんなもので済んでよかったなと、思った。

 だけど、今思えば俺はこの三週間ずっとこんな地獄を味わっていた。


 これを理子が感じている。それだけで優越感を感じる。

 理子もそうだったのかもしれないなと、ふと思った。


 理子は俺に恨みを抱いていた。だから、苦しんでいる俺を見て、優越感に浸っていたのかもしれない。

 それにもムカつき、そして俺がかつての理子と同じ思想に入っているのもムカついてくる。

 だけど、


 もう俺を変な色眼鏡で見るやつはいない。それを想うと、嬉しいなと思う。


 そして、俺と理子の立場が完全に逆転した。俺は被害者で理子は加害者。


 ふふ、ははは。


 いい気味だ。同じ思想でも別にいい。理子が絶望にいるのを喜ぶことは、俺にとっての当然の権利なのだから。


 そして一葉と隣の席に坐る。


「ねえ、恭介君」

「なに?」

「今日は教室で一緒にご飯を食べよっか」


 その言葉に俺は頷いた。


 いつもは屋上で食べていたが、もはや恐れる必要性はない。俺たちはもう教室で自由に食事を楽しむ権利を得たのだった。


 そして俺たちは授業を受けていく。

 その日、教室で食べるご飯は美味しかった。


 教室でご飯を食べたのは一体いつ以来だろうか。

 二週間程度しか経っていないのが嘘みたいに長く感じるのだ。


 それこそ、この地獄の期間が三週間しかなかったというのが嘘みたいだと、感じ取れるのだ。



 俺は静かに息を吐いた。


 理子は教室から消えていた。

 一人惨めにご飯を食べているのだろうか。


 対して、桐花ちゃんはまだ教室内にいる。

 彼女は、今回理子にいじめを受けた。

 理子に屈服され、俺を攫うという事をする羽目になった。

 流石にそんな状況だからか、理子について行く気はない様だ。


 

 桐花ちゃんは今何を思っているのだろうか。


 桐花ちゃんとは今日会話をしていない。

 理子との共犯関係に無い、とされている。


 そして、今日は一人休んでいる人物がいる。

 竹下さんを含めると二人になるのだが、それは今回の件には関係がない。


 休んでいるその人物と言うのは、赤松だ。赤松は今日学校休んでいる。


 桐花ちゃんと違い、赤松は完全な悪だ。

 桐花ちゃんは葛藤があり、そして最終的には俺に味方してくれた。



 だけど、赤松は最初から最後まで敵だったのだ。



 「なあ、一葉。これで良かったのかな」


 俺が問うと、


「うん。これで良かったんだよ」


 彼女はそう言って頷いた。




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