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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第64話 復讐

「なあ、理子。こんなことはもうやめようぜ」


 流石に哀れで哀れで仕方がない。


「今の理子の行動はお前の価値を大幅に下げている。なあ、お前の価値は胸だけなのかよ。

 俺は今のお前は嫌いだけど。付き合ってた頃のお前は可愛かったぜ。

 俺は性行為をしなかったのは悪いとは思ってる、けどな。今のお前のやり方は俺は全力で否定させてもらう」

「恭介のくせに生意気!!」

「交換条件と行こうぜ。条件によっては俺は証拠をクラスに公開しない」


 これは一種の賭けだ。勿論理子が乗ってきてくれたら最高だ。

 さすれば俺は解放されるのだから。


「お前がグループラインで、自分が悪かったという事を公表するというのが条件だ」

「何も変わらないじゃない」

「いいや、変わる。お前が色々な男と一緒に居たという、不都合な真実は隠されるからな」


 理子にとってまずいのは自分が色々な男とホテルに言っているという事だ。

 先ほど理子は自身の体を売っていると言ってた。それがばれたらどうなるかなんて、言わなくても分かるだろう。良くて停学悪くて退学だ。

 未成年の売春。

 法的にグレー、アウトでもおかしくないような行為なのだ。


 流石にあの悪い意味で保守的な学校側でさえ、売春行為が発覚すればそれ相応の罰を与えるだろう。


 「うるさい」


「いいのか? 俺の提案を押しのけて。お前の評判は地の底に堕ちて学校も退学になって、地獄に落ちるぞ」


 俺は桐花が言っていた、穏便に終わらせるという、条件をかなえたいと思っている。

 莉子が乗ってくれたら、それも可能になってくるだろう。


「俺が苦しんでも、お前が俺の心を折っても一葉がいる。一葉が先生にチクればお前は終わりなんだ。

 さあ、諦めてライングループに自分がみんなをだましたというんだ」


 そうすれば、俺の身に持つ鬱憤も晴れるだろうし、学校での地位も回復する。


 結果としていい解決策になってくれるだろう。


 理子は悔しそうにしている。自分の思うように俺が苦しまずに、更に逆に自分が追い詰められるなんてことになるなんて、思ってもいなかっただろう。

 一葉と出会う前の俺ならば、無残にやられていただろう。

 

 だけど、今の俺はたやすくやられることはない。

 俺はもう、立ち向かう覚悟を手に入れてしまったんだ。


「なあ、理子。どうするんだ」


 俺は睨む。


「ふざけんな!!」


 その瞬間、痛覚を感じた。

 痛む、今俺は殴られたのか?


「あたしを侮蔑しやがって。許せない!」


 そして、更に蹴りを加えられる。


「理子、もう冗談じゃすまない」


 こうなってくると、持ち出す先は、教師陣じゃなくて、警察になるだろう。

 正直、売春に関しての証拠はなかった。

 だからこそ、先生にその事を伝える訳にはいかなかった。

 それに当初はただ、浮気をしているだけだと思っていたからだ。

 それこそ、二股、三又、四又と、なっていくだろう。

 だけど、売春となれば話は別だ。


 未成年の売春はグレー、ほとんどの確率で犯罪のはずだし、

 俺は詳しくは知らないが、売春を持ちかけるのも犯罪に近いものだった気がする。


 警察に持ち込めば、解決するはずだ。

 そもそも俺はホテルに入っていく理子の写真を持ってさえいるのだ。

 完璧な証拠にはなり得ないが、これをクラスLINEに持ち込むなり、警察を頼るなりすれば、莉子の立場にヒビがはいるかもしれない。


 


「理子、もうやめてくれ。俺はもうお前に失望したくない」


 理子がここまで馬鹿だった、なんて思いたくはないのだ。



「理子、最後だ。地獄に落ちるか、俺に謝罪するか、どっちか選べ」


 理子はその場で、怒りをあらわにする。

 

 もう一発殴られるのだろうかと、身構える。が、


「すみませんでした」


 理子は怒りを表しながら、謝罪して見せた。

 

 そして、ラインをクラスラインに送る。俺に対しての謝罪と共に。


 理子は最後にプライドを捨てた。俺だって大ごとにはしたくない。

 これでいい、これでいいんだ。


「後で桐花にも謝るんだぞ」


 俺は最後にそう言った。

 そして、取り戻したスマホを回収した。

 そして、一葉に電話をかける。


『何してたの。心配したんだけど。てか、今莉子さんの家の前なんだけど』

『大丈夫だ。自分の力で解放された」


 俺がそう言うと、一葉は『良かったー。てことはやっぱり』

『ああ、さっきまで理子に拷問されたた」

『大丈夫だった?』

「大丈夫な訳ねえだろ」

『あ、そっか』

「でも、ライングループに追加されただろ」

『うん』

「とりあえず、電話で話すのもあれだから、ファミレス行こうぜ。お腹空いた」

『そうだね』


 そして、当初の予定通り、ファミレスに行くこととなった。


 ★


「なんで……?」


 あたしはそう呟いた。あたしのいま送ったLINEは取り消すことができない。もう既読もついちゃってるのに消せるわけがない。

 売春してることがバレないなら、と思って送ったけど、結局あたしのクラスでの地位が奪われた事には何ら変わりはない。


「あはは」


 あたしは全てを失った。最後の賭けも恭介に負けた。あたしが馬鹿だったのかな。恭介程度簡単に懐柔出来ると思ってた。


 一葉、あの女のせいだ。


 でも、復讐返しももう疲れた。

 あたしの地位は戻らない。


 あたしはもう、ただの莉子になってしまった。

 恭介の被害者のあたしはもう何処にもいないんだ。

 そう思うと目から涙が溢れ始めてきた。


「莉子さん」


 声が聞こえた。桐花だ。


「帰って。もうあたしのことを恨んでるでしょ」

「私は!」

「帰って!! 今は……1人になりたい」


 今の桐花の哀れみはあたしに暴力を振るわれたくないからだ。

 ああ、もうあたしは終わりだ。屈辱を感じて辛くなる。


 あたしはベッドに寝転がって明日を待った。地獄確定の明日を。

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