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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第56話 大富豪

 食卓の場、父さんの姿を見た一葉は即座に固まった。


 

「一葉さん」



 父さんは言った。その言葉に、一葉は歯をがたがた鳴らしてる。

 まるでコメディアニメのように分かりやすく鳴らしている。


「父さん。怖がらせないように」

「ああ」


 父さんはそう頷き、


「今日はよく来てくれた。恭介と仲良くしてくれて嬉しい。だから、恭介の事をよろしく頼む」


 緊張しながら父さんは言った。


「もし、私が怖いなら、別の部屋で食事を取るから行ってくれ」

「はい、別の部屋でお願いします」


 一葉は臆しながらもはっきりと告げた。

 その言葉に父さんは「そうか」と言って別の部屋——父さんの自部屋へと向かっていった。


 おいおい一葉、ここは嘘でもそんなことしなくて構いません、という場面だぞ。


 とはいえ、父さんが消えてくれたおかげで一葉が元気になった。


 父さん哀れすぎるな。

 流石に可愛そうに思えてきた。後で強化と二人で慰めなければならない。



 そして、会話が弾んでいく中、


 母さんが提案して一緒にドラマを見る事になった。

 それは、


 よくある刑事ドラマだった。

 普段からそういったドラマはあまり見てこなかったため、少し新鮮な気持ちがした。


 そして、その後俺たちは部屋に戻った。



「面白かったね」


 そう、一葉が言った。

 

「面白かった」


 そうニコッと笑う。


「ああいうの好きなのか?」

「うーん、あんまり」


 あんまりなのか。


「でも、嫌いじゃないし、久しぶりに見たから面白かったよ」

「そういうものなのか」

「うん。そういうもの」


 そう言って一葉はまた笑った。


「でね、少し話したいことがあるんだ」


 一葉は、丁寧にスカートのすそを手でおろしながら言う。


「先生のあの発言について」



 その言葉に俺は唾をのんだ。


「私もさ、このままずっと進捗がないと不安になるよ。これ本当に動いてるのって」

「そうだよな」


 今の所不安でしかない。


「先生に期待するのはやめた方が良いかもな」


 俺は言った。



「それよりも、警察とかに言うべきだよ」

「それは流石にやり過ぎなんじゃ」

「それかこの証拠をクラスにばらまくかだね」


 出来るならばしたくはない事だ。


 だけど、この際仕方がない事かもしれない。何しろそうじゃなければ、未来がないからだ。


 「先生に次相談してだめだったら、だね」

 「うん」


 流石にそろそろ、はぐらされるのも勘弁してほしい所だ。



「決断しなきゃだよな」


 俺が言うと、一葉が頷いた。


 俺自身何をするべきかの答えははっきりとは出ていない状況だ。

 だけど、先生に頼るのはそろそろ効力が無さすぎる。


 先生という物は自分のクラス内で問題を起こさせたくない物だ。

何しろそれは、責任問題になるからだ。


 だからこそ、なあなあで済ましてなかったことにするのかもしれない。



「それはそうと、」


 一葉はベッドに寝転がる。



「今日恭介君と一緒のベッドに寝られるの幸せ」

「おいっ!!」

「なに?」

「え、ベッドに寝るってどういう事?」

「言ってなかった? 今日恭介君のベッドで寝るよ」

「はあ!?!?」


 その発言には思わず驚いた。何しろ、


「どいうこと?」


 意味が分からんかった。


「俺たちって、ただの幼馴染だよな」

「そう、幼馴染。だけど、一緒に寝るのもいいと思わない?」

「思わねえよ」

「え、酷い」

「ひどいとかいうなよ」


 色々と調子が狂う。


「まあでも、けってー事項だから」


 そう言って一葉は笑う。


「ねね」

「なんだよ」

「ゲームでもする?」

「してたじゃねえか」

「そうじゃなくて。トランプとかってこと」

 「ああ、なるほどな」


 トランプか、思えば一葉とトランプをした事は無かったはずだ。

 トランプ、トランプか。


「2人で出来るのあったっけ」


 俺は問うた。

 そんなものあったかどうか、


「なら、鏡花ちゃん呼ぼうよ」

「……結局三人かよ」

「ん、出来るなら二人がいい」

「二人がいいんかよ」

「鏡花ちゃんには悪いけどね」


 そして、結局大富豪をする事にした。


 とは言っても所持カードが多くならないように、トランプのカードの数を一人11枚にした。


 カードの枚数的には5人でするときの数だ。そうすることで、革命が起こりにくくしたのだ。


 こうすることで即座に終わる可能性はない。更には、各種ルールをシンプルにもした。

 8切りと7渡しと革命のみあり。

 ルールはこれだけとなった。最近ではクイーンボンバーや階段などのインフレカードを制限したおかげで、長期戦になる事が見込まれる。


「私、大富豪やるの初めてかも」


 一葉はトランプのカードを場に出しながら言った。

 ダイヤの4だ。


「確かに、最近やったことねぇな、でも子供の時にはあったんじゃね?」


 俺はダイヤの11を出した。


「飛びすぎ!!」頬を膨らませる。

「悪い、これしか無かった」

「な、わけないでしょ。パス」

「パスでいいのか?」

「だって、出しても返されるじゃん。たぶん」

「正解だ」


 俺はその上にダイヤの1を出した。


「やっぱり出さなくて正解じゃん」


 そして俺はその流れで2とジョーカーを出した。


「出せるか?」

「無理!」

「ならパスだな」


 そして、7を2枚出した。


「俺の勝ちだな」


 そして俺の手持ちの2枚を一葉に渡す。


 ジョーカーと3だ。


「組んでないでしょ」

「ちゃんと組んだよ」


 信用してくれ。


「もう!」


 一葉は再び頬を膨らませ、


「もう一回!!」


 そう叫んだ。


 そしてもう一戦行った。


 結局俺が三連勝した後、一葉が機嫌を悪くして、「もうやめる!!」と癇癪を起した。

 その表情はまるで子どもみたいだった。

 その後はスピードを行い、そしてポーカーを行った。流石に運も収束していくのか、ポーカーでは一葉が勝利した。

 一時間ほど、トランプをし続けると、「疲れた」と言って一葉がベッドに寝転がった。


「このまま、寝たいな」


 一葉は天井を眺めながら呟いた。


「ねえ、恭介君。私の抱き枕になってくれる?」

「抱き枕か……」

「うん。子の子みたいに」


 そして、クマのぬいぐるみを見せびらかしてきた。


「それみたいにか?」

「うん。クマちゃんと寝るのもいいけど、恭介君と一緒に寝るのもいいかなって」

「まあ、な」


 いや、どこがまあなだよ。

 だけど、


 一葉が望んでいて、俺自身も一葉と一緒に寝るのは嫌な行為じゃない。だったら、


「お風呂入ったら抱き枕になってやるよ」

「えっち、そんなに私を抱きたいんだね」

「そろそろそれやめてくれ」


 エッチなのはお前だ。



 そして一葉は、「覗かないでね。ぜーったい覗かないでね」と言ってお風呂に入って行った。その姿を見て、「入るかよ」そう俺が言うと、


「ケチ!!」


 一葉はそう言い放った。

 いやいやいやいや、


 どこがケチなんだよ。


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