第54話 証拠提出
そして、来る月曜日に俺たちは職員室へと向かった。理由はもちろん桐花ちゃんから貰った証拠映像を提出するためだ。
これならば、先生もようやく重い腰を上げてくれるだろう。
そうなれば、結果的に俺への悪評も無くなってくれるかもしれない。
俺はそう願っている。
その中で、俺は緊張を感じていた。
証拠品は手に入った。後は良い晴らすだけだ。
「若槻先生、いますか}
俺は訊く。俺の隣には一葉だ。
「はい」
そして、奥から先生がやってきた。
「話したいことがあるんです」
その言葉に、
「放課後でもいい?」
そう、先生は言ったのだった。
そして、放課後、俺たちはまたあの面会室へと足を運んだ。
正直緊張している。
これによって俺たちの進退が変わっていくのだから。
上手く話せるかもそうだし、何より一番怖いのは相談に乗ってすらもらえないことだ。そうなると、どうしようもなくなってしまう。
そうなれば、次に行く場所は警察になる。だけど、警察もいざとなるとどこまで動いてくれるのかがわからないのだ。
下手すれば、全く動いてくれない可能性だってある。所詮学生の戯言と言われる可能性もあるし、緊急性が低いと思われる可能性もある。
そうなれば、非常に困るのは俺たちだ。
「それで、前回の続きですね」
その言葉に、一葉がまず頷き、俺も頷いた。
「今回、理子さんがいじめをしていたという決定的な証拠を入手することが出来ました」
一葉は臆することなく、はっきりとした口調で言い放った。
その言葉に合わせて俺も、
「これを見てください」
言った。
そして俺は、桐花ちゃんが送ってくれた証拠を提示した。
もう後にも後ろにも弾けない。
さあ、勝負だ。
「なるほど」
先生はそれを見て、頷く。
しかし、
「分かったわ。上に持ちかけてみる」
先生はそう言って部屋から出ようとした。
それが正直言って意味が分からなかった。
なぜ、この場ではっきりとした答えを言ってくれないんだろう。
はっきりとしない答えを。
上に持ちかけてみるだけ?
正直ふざけるな、と言いたかった。
何しろ、ねぎらいの言葉も同情の言葉もなく、その発言だけ。
上に持ちかけてみるっつったって、このいじめを隠ぺいする可能性だってある。
「今動いてください」
俺は思わず言い切った。
「上に持ちかけて、どうなるんですか?」
それで、はっきりとした回答が来るならいい。
だけど、
なんとなくそれは、責任の転嫁のようにしか思えなかった。
先生は恐らくは保守的で、自分の立場の方が大事なのかもしれない。
だからこそ、ここではっきりと動いて見せるという発言が欲しかった。
そして、俺の言葉を聞いたからか、先生は。
「分かった」
少し険し目な表情で言った。
「大丈夫だから。何とかして見せるから」
その言葉は少し虚偽の香りがした。




