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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第四十九話 相談

 


 そこから、ゲームをしばらくして、そこから帰宅する事となった。

 流石に今日は一葉が家に来るのは時間が遅すぎるという事で我慢してもらった。


 一葉は無念そうにしていたが、こればかりは仕方ないだろう。

 勿論俺も一葉と一緒にテレビゲームをしたい所だが。今日は諦めるしかない。

 スマホゲームはしたからな。






「ただいま」


 俺は家に入り、鏡花にそう言った。


「おかえり」


 鏡花は出迎えてくれた。だけど、その表情は軽く暗い物だった。


「遅かったね」


 その声も、テンションは低く感じる。


「一葉と夜ご飯外で食べてたから」

「いい身分だね」

「何だよ」


 そして、鏡花は俺の手をそっと掴む。


「何だよ」

「寂しかった」


 その言葉に俺は首を傾げた。


「寂しかったって何だよ」

「あたし、もう部活に行くの無理かも」


 鏡花は小さく、でも確かな声でそう言い放った。





「どうして」


 俺は鏡花の頭を優しく撫で、そう言った。


「別に大した話じゃないよ。でも、あたし疲れちゃった」

「父さんには?」

「まだ言ってない。一葉ちゃんにも」


 なるほど。



「とりあえず、どこで話そうか」



 流石に玄関で話すのは流石に落ち着かない。

 それに、まだ父さんや母さんに言っていないという事は、知られたくない事かもしれない。

 それこそ、大人には伝えたくない事もあるだろう。


「それとも、もしかして俺にもまだ話したくないか?」


 もしかしたら、兄にも詳細は伝えたくないかもしれないと、俺はそう付け加えた。


「ううん、お兄ちゃんには愚痴は来たい。今あたしが話せるのはお兄ちゃんだけだから」

「分かった。俺の部屋に来るか?」


 鏡花はその言葉に頷いた。




「あたしね」


 鏡花はベッドに腰掛け、そして第一声を発した。



「いじめられてるの」



 鏡花は一言で結論を発した。


「いじめられている?」


 俺が問うと、鏡花は静かに頷いた。


「あたし、バトミントン上手いでしょ」

「ああ」


 実際に見たことがある。上手かった。


「それで、あたしに一目ぼれをした人がいたの。3組の、崎谷劉生君」

「崎谷劉生」


 俺は反芻した。


「で、崎谷君にアプローチされてるの。でも、あたしいま付き合うつもりはないから、断ったんだけど、崎谷君が学校で人気だったから」

「ああ、なるほど」


 全てを理解した。


「嫉妬か」


 鏡花は頷いた。


「でもいじめが直接行われてるわけじゃないの。物を隠されたりとか、落書きされたりとか嫌み言われたりとか、その程度」

「その程度じゃねえだろ」


 程度で済んでいい話じゃねえ。

 それが程度で済まされれば、俺の今の状況もその程度で済まされる話じゃなくなる。



「鏡花、別に我慢しなくていいんだ。今お前は苦しんでいる。それだけで俺が許せない理由に十分になり得るんだ」


「ありがと」


 鏡花はにっこりと笑った。



「だからあたし、部活辞めたい。この前だって嫌み言われて、あたし逃げ出しちゃったから」


「いいと思うぞ」


 俺は言った。


「それで鏡花の心が苦しまないならそれで」

「お兄ちゃんなら、そう言うと思ってた」


 不満足げな表情で行った。


「お父さんに行ったら、怒られると思って、お兄ちゃんに話したの。お父さんに移送じゃない? その程度で部活をやめるとでもいうのかって」

「言うかもしれねえな」

「だけど、お兄ちゃんに話してるのは甘えだと思ってるの。お兄ちゃんあたしに甘いから」

「俺、お前に甘かったのか?」

「そうだよ。お兄ちゃんは自分の事を分かっていなさすぎ」


 そして、頬を軽く膨らませる。


「お兄ちゃん。お兄ちゃんがあたしの立場だったらどうする?」


 これは、他人事じゃなくて、自分事として見て欲しいという事だろうか。

 俺の立場なら。

 俺は鏡花じゃない。俺は鏡花の味わった苦しみを、俺は味わっていない。強化にどんなに苦しかったと言われても、「俺には本当の意味で理解は難しいだろう。

 俺は、息を吸う。


 なんて答えるのが正解か。


「なあ、鏡花。それは、他の場所でやる事は出来ないのか? 俺だったら、別の場所でバトミントンをやろうとするかな」

「え、どういう事?」

「だって、部活以外の場所で出来るか、という事だ。部活でしかできないなら、部活で生き残る術を図ったらいい。だけど、他の場所でもバトミントンを楽しめるなら、別の場所でバトミントンを続ければいい。それで、鏡花はどうしたい?」

「バトミントン出来る場所はあるよ。クラブもあるから、そこに放課後に行けばいいから。っでも」

「でも?」

「でもあたしは、あまりそれを選びたくない」

「その子事は?」


 いったいどういう意図で?


「だって、それだと、あたし納得がいかない。あたしは、部活の雰囲気は居心地悪いけど、でも今の所部活での練習が一番あたしの力がついているって感じがするから」

「そうか……」



 理解した。そう言う事なのか。


「なあ、鏡花」

「なに?」

「何だったら俺たちが殴り込みに行こうか?」



 勿論今積み重なっている問題が解決してから、という話だけど。


「それは辞めて、恥ずかしい」

「何だよ。でもまあ、こういうのは一葉の方が賢い。一葉に相談しようか?」


「お兄ちゃんだけでいい。一葉ちゃんには私のタイミングで相談するから」

「なるほど」


 そりゃそうかもな。自分で説明をしたいだろう。

 俺を挟むと説明が上手く伝わらない可能性だってある。


「まあ、よく分かった。そう言う事なら俺も考えてこう。それこそ、お前が一番幸せになる未来をな」

「中二っぽくなってる」

「なっ」


 またやってしまったのか。


「でも、あたし嬉しい」

「それは良かった。また何かあったら言ってくれ。俺が何でもするから」

「うん。ありがと」



 そう言って鏡花は笑った。 

 それを見て、少し元気を取り戻したのかな、なんて思うのだった。

 

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