第四十七話 HELP
SIDE恭介
俺のスマホへと一件のメールが届いた。
『今忙しかったらスルーしていいんだけど、――町のファミレスに来てくれない? 話したいことがあるから』
いや、俺、ついさっきファミレスに行ったばかりなんだけど。
なんでまた、ファミレスに。
その旨を送ると、
『ドリンクバーだけでいいからお願い』
そう、再度のお願いをされた。
仕方ないか、と思った。
一葉がそういうのならそれに足る理由でもあるのだろう。
ここで一葉の気持ちに答えてやらないのは男じゃない。
俺はすぐにファミレスに向かった。
それに、重要な証拠が見つかったのかもしれないし。
俺がそこに着くと、
「——どういう事?」
俺は言った。一葉と、見知らぬ女性がその場にいたからだ。
だましたのか?
いや、そんな雰囲気には見えない。というこてゃどういうことなのだろうか。
俺にはわからん。分からんが一先ずここで分かる事は、
「あの、これどういう状況?」
意味が分からにどころの話じゃない。一体何がどうなっているんだ。俺にそれをじっくりと説明して欲しい。
「この子、私の旧友なの」
「旧友」
「旧友って何よ。今は友達じゃないの?」
そう、頬を膨らませる旧友さん。
「ええっと、つまり」
「うん」
「会わせるために、俺を呼んだってこと?」
今の俺にはそう言った推理しかできなかった。
いや、むしろ考えられる説明がそれくらいしかなかった。
「で、俺はこの状況どうしたらいいんですか?」
「うちの話に付き合ってくれたらいいよ」
そうにっこりと笑う旧友さん。彼女は何を望んでいるのだろうか、
そこから色々と話を聞き、今の状況を理解した。つまりそう言う事なんだな、と。
勿論全てが飲み込めたわけではないけど。そして、彼女が言っていた言葉を俺は覚えている。
人間関係に疲れた。
そのたぐいの言葉を発していたはずなのだ。
ここから読み取れる内容は一つ。
一葉は助けを求めていたという事だ。
つまり一葉はあまり会いたく無かった人物だったという事だ。
だけど、思いのほか楽しそうにめいたのはどうやら期のせいだったのだろう。
となれば聞きたいこともある。
「一葉は前の学校でどんな感じだったんですか?」
正直これはぜひとも聞きたい事の一つだった。一葉は、どんな感じだったのだろうか。それを聞けるのは、あの人、からしかない。
えっちょっとと言いたげに俺の顔を見て来る一葉。ここに来たのは一葉が俺を呼んだから。
という事を考えれば別に問題はないだろう。
一葉には悪いが、聞かせてもらおう。
「明るい子だったよ。いつも皆を引っ張ってるって感じ」
その言葉を聞いて一葉の表情が軽く曇った、気がした。
あまりそこには触れられたくはなかったんだろう。
「一葉、そうだったのか?」
俺は隣の一葉に対してそう淘汰。
「そうだね」
彼女は笑ってそう言ったが、それがほんとの意味での首肯とは思えなかった。彼女の言葉には笑顔が張りつけられている気がした。
俺は今一葉に対して何が出来るだろうか。と、ふと考える。
声を出すわけには行かない。となれば、スマホで文章を打ち込まなければならない。
『今話してて楽しい?』
そう、俺は向こうから見えないようにメールをうち、文章を紡いでいく。
本当に文章の格好はこれでいいのかはわからないけど、
『楽しくないことはない』
なんだそれ、と一瞬思った。
否定の否定だから所謂肯定と、取っていいのだろうか。
『……なら、このまま話続けるでいいか……?』
そう書くと、一葉は頷いた。
一葉は、何を求めているのか。
それがわからないまま動くことは難しいだろう。
とりあえずこの場の空気に合わせるしかない。
「で、今のかずっちってどんな感じ?」
目の前の少女が目を輝かせながら言う。
「ええっと、」どこまで伝えていいのかはわからない、けど。とりあえず、
「賢いです」
その言葉に金髪の少女は目を見開く。
「たしかにかずっちは賢いけど」
「俺は馬鹿なんです。だからいちいち意味わかんない行動する。それを制してくれるのが一葉なんです」
「え、それってあんたら、付き合ってんの?」
「は?」
なぜそれが『付き合ってる』ってなるんだ。
「だって、カズっちが転校を決めた理由ってずばり、恭介っちに会うためだよね」
一葉はそれに静かに頷く。
「それはもう愛っしょ、愛しかないっしょ」
高揚感抜群に言い放つ旧友さん。
いやいや、どうしてそうなるんだ。
「なん……で?」
顔を赤くしながら一葉が手を振る。
「ただの幼馴染……だから……」
いやいや、一葉さん。否定にしては明らかに弱々しいから。
勿論それは強く否定したからいいって話ではない。
だけど、今の否定だと、恋する乙女みたいな否定だ。
「あの、違うからね!!」
俺は、強く否定する。
「俺等はただの幼馴染。そこに恋愛感情はないですから」
幼馴染は特別な関係だけど、それは友達以上親友以上といった感じだ。
恋愛とは別の軸で動いているのだ。
俺のその言葉に一葉は何の言葉の補足も施さなかった。だけど、ただ、俺の手に自身の手を重ねるだけだった。
その後も色々と話をし、そして、旧友さん——谷村美代子さんは去っていった。




