第32話 友達追加
「あれ」彼女が出て行ってから、10分経った時の事だ。
俺と一葉は、一緒にスマホゲームをしていた。
その時だった。
ラインが届いた。
友達追加されたらしい。
「一葉」
俺はスマホを一葉に向ける。
友達追加申請を受けました。
と、画面に追加される。勿論スパムとして、否定してもいい。
だけど、それは正直……
「これはどういう事なんだろうね」
一葉は頷き、言った。
「これ、承諾した方がいいかな」
「どうだろうね」
一葉は、残りのドリンクを飲む。
「でも、承諾はした方がいいと思う。せっかくの縁なんだから」
「そうだな」
「でも、あの感じで信用しすぎるのは」
「駄目だよな」
前の赤松みたいなことになってしまう。
また騙されるのはごめんだ。
「でもまあ、何かあったら一葉に確認するわ」
「うん。もし何かあれば私が飛んで来るから」
「文字通り飛んできそうだな」
「まあね。だから、私に何も言わずに行動したらだめだからね」
「分かってるよ。もうあんなことはしない」
もう反省しているんだ。
もうあんなマネはもう二度としない。騙されるのなんてもう二度とごめんだ。もう、愚かな行動なんてしない。
そして、俺たちはその足で家に帰る。
そして、今日も一緒にゲームをしていく。
そして、家でゲームしていると、ラインが一通来た。俺はそれを横目に見た。内容は分からないが、内容は彼女――桐花さんからだ。
「なあ、一葉」
「なに? 集中をそごうとしても無駄だから」
「そうは言ってねえんだけど。お前じゃあるまいし」
「私そんなことしたかな」
「してただろ」
忘れたとは言わさねえぞ。しっかりと番外戦術で俺の集中を奪ってただろ。
前科はいくらでも存在しているんだよ。
「まあ、それはいい。だけど、このゲームが終わった後、話したいことがある」
「いいよ」
そう、一葉が頷いて見せた。ならば安心だ、そう思い俺は再び画面に向かった。
そして、ゲームが終わった後、
「それで、話って何?」
そう、一葉が訊いた。
「そうだな。大事な話だ」
俺はそう言った。
そして、俺は、スマホの画面を見せ、
「連絡が来た」
と言った。そこには、
『また、話したいことがあるから、今度また二人きりで話せない?』という物だ。
「どう思う?」
「怪しい」
二言返事で、一葉はそう言った。
「怪しいしかないよ」
考えすぎじゃね、と思うのは恐らく俺に危機感が足りないから、なのだろう。
一葉がいなければまた、過ちを起こす可能性があった。
赤松の時みたいになったらどうしよう、だなんて、ふと思ってしまう。
一葉が気になっているのはこの、二人きりという部分なのだろう。一葉を排除して話そうというのは、俺から一葉という軍師を奪おうという行為だ。
俺はそっと、息を吸う。
「なら、断るか」
「それが正解だね」
断りのメールを打たなければ。だけど、その中でどうしても疑問に思ってしまう事がある。
桐花はそういう姑息な手を打つ人間であっただろうか。
俺が知る彼女は正義に熱い女だったはずだ。それこそ、一葉がいるところでは話せないという話がしたいという可能性がある。
だけど、赤松に裏切られた。俺が心底いい人だと思ってた彼に。
そのトラウマがあるからこそ、自分の我を押し付けるなんて言う真似ができるはずもなかった。
今は一葉の言葉に従えばいい。
今の俺は一葉YESマンで居ればいい。そう思い、
『ごめん、会えない』とかいた。本当にこれで良かったのか。
いや……これでいいんだ。俺はもう騙されたくはないのだから。
そして、俺たちはそのまま、ゲームをし続けた。
その後だった。
お風呂から上がった時、彼女からメールが届いた。
『そうですか。でも、私思ったんです。今理子ちゃんと恭介君の間に複雑な誤解が生じてるだけなんだって。だから私は二人の間にある溝を取り払いたいだけなんです」
最初意味がよく分からなかった。しかし、じっくりと呼んでいるうちに、少しずつ意味が分かってきた。
そう言う事かと、頷けた。
それとも、理子の命令で動いているのだろうか。
まずい。訳が分からなくなる。
どういうことなのか、どう言った理由なのか、俺の脳のスペースを過分に使っている。
くそっ、
もう寝よう。後の事は明日考えればいい。それでいいんだ。俺はそう自分に言い聞かせた。明日はもう一人に話を聞かなければならない。
もう一人、竹下恵梨香に。




