第29話 賛同者
「もう一つ、しようと思ってることがあるの」
食事の終わりかけの時に、一葉が口を開いた。
「なに?」
そう、俺は訊いた。
「賛同者を求めようと思ってるの」
「賛同者?」
そう、鏡花が訊くと、一葉は頷いた。
「というのもね――」
そして、一葉が説明していく。
そして、食事を終え、俺たちは学校へと向かっていく。鏡花も中学校に同じ時間に出ていった。残念ながら鏡花とはすぐにお別れとなった。
鏡花の通う中学は、別方向にあるのだ。
そして学校までの道を歩いていく。
その中で、やはり恐怖感があった。それこそどうしよう、学校中に広まっていたら。
「大丈夫!」
一葉が俺の背中をバンっと叩く。
「私がついてるから!」
その笑顔には力強さがあった。
一葉は当てがあると言っていた。そう、例の協力者を求めようという話だ。
まず最初に田淵桐花、彼女は、理子のグループに属してる中で一番大人しい性格だ。
そして、俺も良く知っている人間だ。
そしてもう一人、竹下恵梨香
これは理子とはそこまで仲のいいわけではない。
そして、理子とはどちらかといえば若干仲が悪いのだ。
だからこそだ。言えば納得してもらえる可能性がある。
理子を地獄に落とすために・
先生へと訴えると同時にその二人に無実なことを訴える。そして、理子が間違っている事を示す。
そうすれば、賛同を得ることができる。
これは戦力の争奪戦に近い。今は理子が大幅リードだけど、その中で俺たちの優位を手にするしかない。
そして、大逆転勝利、逆転サヨナラ満塁ホームラン。
そして、理子の権力を失墜させる。そして、動画が拡散される前に消す。
幸い俺は男じゃない。裸姿など、なかなか拡散されないだろう。それがいま唯一の救いだ。
今まで俺は耐え忍んできただけだ。だけど今日は初めて戦いの舞台に立つ。
俺の何が不満だったのかは知らないが。このまま終わると思うなよ。理子。
俺には強い味方、一葉がついいてくれてるのだ。
学校へと着いた。そして、その空気は相変わらずどよんでいて、嫌な感じがした。
嫌がらせなんてことはなかった。
いじめにしてはいけない。
盗撮なんて言う犯罪行為までして、今更という話だが、それ以上の証拠を作らないのだろう。
実のところSNSなんかにばら撒かれてたらどうしよう、なんて思ってSNSを探したことがある。しかし、そういうのは無かった。
理子は馬鹿だが、SNSにばらまいていじめというのが存在してると周囲に知らしめるなんてことはしないらしい。
ただ、そのおかげで俺は助かったと言いたい所だ。何しろ、SNSなんかにばら撒かせたらその時こそ俺は終わりなのだから。
息を吐く。
そして、隣の一葉を見る。
「いつ決行する?」
「ホームルームが終わったら先生に相談しようよ」
俺はその言葉に頷いた。
そのホームルームの間、俺はふと赤松の姿を見た。俺を裏切った男だ。
俺が少し見ていると、にらみを入れてきた。そのにらみが恐ろしく俺はすぐに視線をそらした。あの目は完全に演技だった。
今の、本性を出している赤松は恐ろしい存在だ。
それこそ、トラウマを感じる様な、だ。
そしてホームルームがあっという間に過ぎ去っていく。嵐のようだった。そして、ホームルームが終われば、その時が行動のチャンスだ。俺と一葉は違いに顔を見合わせ、頷いてみせる。
そして、俺たちは教室から出る先生を追いかけて行った。
「先生、少しいいですか?」
先に口を開いたのは俺だ。一葉にだけ任せっぱなしではいられない。
「何ですか?」
「今じゃなくてもいいのですが、学校生活で困ってることがあって」
「わかったわ。でも、今は1限の時間が近いから昼ご飯の時間に来てもらってもいい?」
先生のその言葉に俺と一葉は違いに顔を見合わせて、
頷いた。
「分かりました。ありがとうございます」
「ありがとうございます」
そう、俺たちはいった。
そして教室に戻る。
どうやらもう動画のムーブは過ぎてるらしいで、誰も観ていない。いや、逆か。俺たちが教室のなかにいるから見てないだけか。
そういえば赤松の立場って今どうなってるんだろうか。理子の命令を受けて俺を騙したというのはほとんど確定的だと考えてる。
だけど、理子の立場的に理子は被害者を演じなければならない。加害者になってはいけない。それはあくまでも、復讐にたる範囲内でなければならないのだ。
「何考えてるの」
一葉が言う。
「何でもねえよ」
と、俺は返した。
そして、授業が始まっていく。
正直なところ、授業はあまり頭に入って来なかった。
それよりも、頭のスペースを理子対策に用いた。
理子は俺の顔を見ようとしていない。
また理子から話を聞かせてもらいたいところだが、恐らくそれは無理だろう。
そして、あっという間に昼休みがやってきて、
俺たちは、そのまま職員室へと向かった。それこそ、ご飯を食べる前にだ。
職員室に行くまで少し緊張していた。当然だ。俺たちは先生に俺の今の状況を説明しなければならない。
今になって鏡花が言っていた事が頭に突っかかる。先生は完璧な人間じゃない。味方になる可能性もあれば、敵になる可能性見ある。それは常に考えなくてはならない事だ。
何しろ、先生に話すという事は、全然ゴールじゃないのだ。
「失礼します」
そう言って俺は職員室のドアをノックする。
そして、ドアを開き、
「若槻先生をお願いします」
と言った。
「はーい」
という声が聴こえ、俺たちの元に先生がやってきた。
先生は早速、「面接室を使いましょうか」と言った。職員室とどちらがいいかという話だが、周りに聞かせるのに少々難しい内容もある。
俺たちはその言葉に頷き、ついて行った。
通されたのは、大きな部屋だ。
ここには、受験の時にも来たおぼえがある。ここで面接を受けたのだ。
今日のも言えば面接みたいなものだ。勿論言葉に直すならば、面談だろう。
そして俺は腹を決めた。ここで、先生を味方につけなければならない。




