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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第27話 帰宅

 最終的に、俺は疲労感でへとへとになった。

 今はもう時刻5時。大分遊びつくした。



 俺は欠伸をする。


「眠たいの?」

「まあ、これだけ振り回されたらな」

「まるで私が振り回したみたいなこと言わないでよ」

「事実だろ」


 沢山の場所へと行った。映画の後も3時間遊ぶ尽くした。勿論俺も喜んでついて行ったから、振り回されたという表現は多少違うのかもしれないが。


「でも、気が晴れたでしょ」

「まあ、そうだな」


 今考えてることは大したことじゃないのかもしれない、と思えるようになった。

 映画あたりからかなり気分は良くなってきていた。


「……恭介君……転校してもいいんだよ。私、恭介君が行く場所はどこにでもついていくよ」

「それは辞めとくよ。転校直後の転校は困るだろうし、何より俺はもう逃げたくない」


 理子は俺を弱い人間だと思っているだろう。

 それが悔しくてたまらないのだ。

 理子に舐められている。それだけでかなりつらい気持ちがある。

 

「じゃあ、まず先生に相談しようよ。これは犯罪だから、先生が動かなかったら警察に」

「警察は流石にやりすぎじゃねえか」

「やりすぎじゃない」


 一葉は俺の甲に手を合わせる。


「やりすぎじゃないよ。恭介君が我慢する事なんかないよ」

「っそうだな」


 俺は心の底でまだ、復讐なんてしたらいけないなんて、キモチがある。だけど、確かに一葉の言うように、銭湯での写真を赤松にとられた。これはどう考えても犯罪行為だ。


 これが許される道理なんて、どこにもない。


「明日の朝、朝ごはん食べに来るね。話したいことがあるから」

「ああ、母さんに言っておく……今日じゃだめなのか?」

「駄目だよ。夜ご飯いらないって、言ってないから。流石にもう作ってるだろうし」

「確かにな」


 もう5時を過ぎている。6時ご飯予定ならもう作り始めている。

 うちだってそうだ。急に一人増えるなんて言われても、新たに量を追加するのは難しいかもしれない。


「なら明日だな」

「うん。明日の朝、楽しみにしてるね」


 そして、俺は家へと帰った。もう、夕方5時半だ。


「遅かったわね」


 母さんが言った。


「何かあったの?」

「いや、なにも」



 この感じ、早退したことは伝わってないのだろうか。それとも知ってるけど、あえて触れないようにしたのだろうか。

 まあ、どちらにしてもありがたい事この上ない。


「お兄ちゃん、少しいい?」


 鏡花が、俺の目を真っ直ぐに見て行った。


「どうしたんだ」


 鏡花の目を俺も真っ直ぐに見る。一体どうしたんだろうか。


「困ってることがあるなら教えて」

「こら! 鏡花」


 母さんが言う。


「あたし、帰り道に見ちゃったの。お兄ちゃんの元カノ」


 つまり理子の事か。


「お兄ちゃんはが振られたところまでは知ってるけど、あそこまでひどい事になってるなんて、知らなかったよ?」

「何か言ってた?」

「え?」「あいつ」


 そのk賭場に、鏡花は頬を軽くポリポリとかき、


「お兄ちゃんの悪口を言ってた。馬鹿にしてた。お兄ちゃんが馬鹿だって.」

「否定はしねえよ」


 みすみす再び騙された馬鹿だ。そこは事実だからこそ、否定する気にはならない。


「鏡花、お前に黙ってて本当に悪かった」

「悪かった、じゃないよ。お兄ちゃんが言いたくない理由も分かるから。でも、あたしは許せない」


 拳を握った。


「お兄ちゃんをあんなに傷つかせるなんて」

「ありがとう」俺は鏡花の頭を優しく撫でる。「その気持ちが嬉しいよ。だけど、俺は大丈夫だ」


 そして、俺も拳を握る。


「明日からは戦う。もう、泣きわめいてお前らに迷惑をかけない」


 俺はそう言った。鏡花は尚も辛そうな表情を俺に見れた。


「あたしに出来る事があったら言って」

「そうだな。明日朝に一葉が家に来たいって。もしよかったら一緒にご飯を食べたいって」

「それって」

「その時に一緒に話さないか」


 俺のその言葉に、鏡花は頷いた。





 その日の夜。俺は眠りに中々落ちる事が出来なかった。


 なんとなく、眠るのが嫌だった。

 目をこする。もう一度目をこする、

 嫌な感情が心から湧き上がっていく。

 その度に、辛くなる。


 また、またなのか。



 俺はぎゅっと目をつぶるが、逆に意識がすっかりと覚醒してしまって、どうしようもない。


 俺は、15分ほど粘った後、結局眠る事を諦め、目を開けた。そして、スマホをいじる。

 なんとなく、ゲームをする気になれずに、一旦SNSを開く。


 俺は一応SNSアカウントは持っている。だけど、ほとんど投稿をしていない。

 基本は見る専で、たまにキャラが当たっただのを投稿するだけだ。


 SNSを見るとみんな好き勝手に投稿をしている。

 

 SNSは最近覗いていなかったが、正直見てるのは今の気分には言い。勿論その中にはへんてこな投稿もあった訳だけど。

 それでも、ゲームで楽しんでいる人たちの投稿を見ているのは正直精神的に良いのだ。


 ふう、とまた息を吐いた。


 俺は、今の状況を変えたい。一葉のため、鏡花のため、というのもあるが、一番は俺のためだ。

 結局は俺のエゴだ。

 だけど、先生に相談をすることは悪い事とは決して思わない。


 先生に相談しないと、人として明らか悪いのだ。


 解決できるはずの問題を放置することになるから。

 話は明日の朝からだ。



 その日の夜は悪夢を見た。俺はその景色を覚えている。


 土曜日の銭湯での景色だ。

 嫌だな、と思った。夢くらい楽しくさせて欲しい。

 一葉とゲームをする夢とか、そんなのではだめなのだろうか。


 

 だめなのだろう。あくまでも神様は俺を苦しめるという事なのだろう。


 ああ、俺が何をしたんだ。俺はただ、生きて来ただけなのに。


 だけど、このまま終わるわけにはいかない。一葉が明日家にやってくる。一葉と一緒にご飯を食べながら色々と話すのだ。


 その時こそ、俺の、俺たちの反撃開始だ。



ここまで読んでくださってありがとうございます。

ここまで読んで面白いと感じてくれた方、ブックマークや星を入れてくださるとうれしいです。

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