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第24話 反省


「はあはあ、疲れた」


 俺は息をたらしていく。



「三曲連続で歌ってたもんね」

「すまんな。段々と調子が上がってきたもんだからな」

「みたいだね」


 一葉は笑う。一葉が真剣に聞いていたからこそ、俺も歌ってて楽しかったのだ。


「なんかさ、楽しい雰囲気を壊すようだけど」

「うん」

「一葉……改めて謝罪する。俺が……悪かった。本当にすまなかった」


 俺が騙されたから、こんなややこしい状況になってしまった。

 非は俺にある。いや、俺にしかないと思う。


「俺は、趣味の話に付き合ってくれた。俺の勧めたアニメを見てくれた、そして理子の悪口を一緒に言ってくれた事でさ、赤松の事をすっかりと信用しきっていた。それがいけなかったと、今なら思う。……本当にすまなかった」

「わたしは怒っている訳じゃないの」一葉は優しい口調で声を出す。「ただ、止められなかったのかなって」

「一葉、どこが怪しいと思っていたんだ?」

「半分くらい感かな。でも、柳さんの事をちらちらと見てたし、スマホを開いている頻度も多かったし、その画面は大体ラインの画面だったの。でも不確実な話だから、恭介君に黙ってた。それを言っておけば……良かったのかなって……」

「いや、俺はそれでも行ってたと思う。俺は馬鹿だから」

「馬鹿じゃないよ。柳理子、あの人が醜悪なだけ」


 そうだ、理子は醜悪な人間だ。


「だけど、あんな動画が出回ってる中、学校に行くのは正直怖いんだ。もしかしたら俺の裸を取られてるかもしれねえ」

「言ってたね。それは完全に馬鹿だよ」

「馬鹿じゃねえという話じゃなかったのかよ」

「まあ、ね。でも警戒を覚えてもらわなきゃ」

「ごめん」再度謝罪する。



 一応服を脱いだ後すぐにお風呂に入るという対策は取ったけれども、それが完璧な対策だったかどうかは今も分からない。

 いや、写真を撮られていたのだから、対策は出来ていなかったという事だろう。

 

「弁論の術もありません。完全敗北です」

「や、別に恭介君を責めてるわけじゃないけどね。でも……これからどうしよっか」

「っそうだな」


 これから何をしたら問題は解決するのだろうか。それが今の俺には一向にわからない。

 一葉ならもしかしたらわかるかもしれない。だけど、


  一葉にばかり頼りきりではいられない。俺もしっかりと解決策を考えていかなければならない。

 むむむと、考え込む。



「とりあえず、赤松君、赤松を何とかしないとな」


 今の間も、グループチャットで俺の醜態が晒されているのだろう。それを思うと今も居ても立っても居られない気分だ。


 俺はとりあえず赤松君にラインを送った。だけど、既読は突かない。試しに持っているはずもない、マイナーなゆるキャラスタンプを寄贈した。すると、持ってますと出た。これは確実にブロックされていると感じた。


「醜悪だね」

「だな」


 ブロックしてくるなんて最低だ。

 今も理子は楽しんでいるのだろう。


 今も理子の事は好きだ。だけど、それは俺の中にあるいい理子のイメージでだ。今の理子は好きではない。悪辣すぎるのだ。

 本当にどうしてこうなってしまったのだろうか。

 

 だけど、それを求めても意味はない。理子の思考を読み取れる人間などいないのではないかと思う。何しろ、柳理子という人物自体がゲスなのだから。

 

「考えてても仕方がねえ」俺は小さく伸びをした。


「歌うぞ」


 そう言い放った。今もカラオケの残り利用時間は減っている。

 まさしく歌わなきゃそんな状況なのだ。


  「うん!」


 一葉もうなずき、俺たちは2時間(正確にはあと1時間20分)のカラオケ時間を楽しんだ。


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