第23話 幼馴染とのカラオケ
そのまま、俺たちは学校を出た。表門から出ては、怒られる。こっそりと裏門から脱出をした。
その際一葉は楽しそうだった。学校を抜け出すというイベントが楽しいのだろう。
俺たちはそのまま歩いて、帰路へと進んでいく。
だけど、そのまま帰る、なんて言う事はない。
一葉はきっと、特別な場所へと連れて行ってくれるだろう。
「じゃあ、ここ行こ」
そして、カラオケに一葉が入って行った。
「なんでだよ」
「わたしと一緒にカラオケに行きたいくないの? 酷い」
一葉は泣きまねをして見せた。
「……そんなこと言ってないけど」
「言ってるようなもんじゃん」
「言ってねえよ」
「まあいいじゃん。私と歌おうよ」
そして、建物に入っていく。
そしてカラオケルームに入って行った。
カラオケルームに入った後、いきなり歌えるかと言われるとそれは違う。
俺自体歌う事はそこまで得意ではない。
おとといの歌が実は酷評されていたと聞いて、俺は歌に自信がなくなってきているのだ。
……歌が上手いって何だろう。
……そこにどんな価値があるのだろう。
俺はそれが一切分からなくなった。
悩んでいるうちに訳が分からなくまるものなのだ。
今はあまり歌を入れたくない。
俺はマシンに曲を入れることなく、メニュー表を見ていた。
「何か食べたいの?」
そう、一葉が訊く。
「まあ、そうかな」
お腹自身はそこまで空いている訳ではない。
ただ、何か口に入れないと、内から溢れるストレスでどうにかなってしまいそうだったのだ。
「じゃあ、たのも!」
そう、元気よく鈴美が言う。その言葉に、俺は「ありがとう」と告げた。そして、ポテトと、焼きそばを頼んだ。
俺はポテトをつまむ。食べるのはここ最近で三回目だ。だけど、それでも変わらない美味しさだなと、感じた。
そして、「じゃあ、私から歌うね」と、一葉が言った。そして、一葉はマイクを握る。
入れた曲は、アイドルの曲だった。一葉は「よし」と、自身の頬を叩き!
「じゃあ、歌うね」と、歌っていく。
それを唄う一葉の表情は明るい物だった。まさに元気いっぱいという言葉が似合っていると感じる。
そして、歌の内容もかなりうまい。美声という表現がまさに似合っていると感じた。
「どうだった?」
一葉は訊く。その言葉に俺は拍手して、「上手かったよ!」と返す。
実際に、今の一葉の歌はばプロレベルだとさえも思えるレベルだった。
「一葉は凄いな。何でもできるじゃん」
「大したことないよ」
「大したことないよは、嫌みだよ」
今も一葉の歌のうまさを鑑みると、その言葉自体が失礼に当たる。
「そんなこと言ってると、歌の神様に起こられてしまうぞ」
「事実だもん」
頬を膨らませた。
「じゃあ、次聞かせてよ」
「嫌だよ」
と、俺は言った。
「なんで」机をばんと叩きながら言う。「聞かせてよ」
「さっきの会話見てただろ。無理だろ」
「いや、聞かせてもらうから、はい!!」
今日の一葉はやけに強引だ。どういうことなのだろうか。
だけど、仕方ない。
一葉までオレの歌を馬鹿にしたらそれはもう絶望でしかないが、一葉がそんなことをするわけがないだろう。
一葉は、きっと俺の歌を評価してくれる。それもきっといい方向に。
そう考えれば、歌っても損はないだろう。
そうだ、前に一人カラオケでオールしたじゃないか。それと同じだと考えたらいいじゃないか。
でも……怖い。
赤松君は、俺に対して優しかった。
土曜日も俺に対して、色々と会話をしてくれたんだ。俺のゲームの話にも笑って答えてくれたんだ。
それで俺は……仲が深まったとばかり思っていた。
そうだよ、俺が馬鹿だったんだよ。……なんで俺は着いて行ったんだ。
「もう、せっかく調子出て来たのに」
そして、一葉は軽くため息をつく。
「じゃあ、さ。デュオしようよ」
「デュオ?」
「二人で歌うってこと!」
「それ、デュエットじゃないか?」
流石にゲームに影響されすぎだ。
俺が指摘すると、「同じようなもんじゃん」と、不満げな表情を見せた。
しかし、二人でか。
「それならまだ歌えそうだ」
「やった。じゃあそう言う事で、歌お!」
元気よく言って、
そして俺たちはマイクを握った。
曲は最近話題のアニメソングだった。
主人公とヒロインの二人が一緒に歌う体で作られた曲だ。
俺もこれを知っている。話題のアニメだったし、そもそも一葉との会話の中でも一回出て来たのだ。
「ああ、歌おう」
俺は言って、そして、最初の主人公パートを歌い始める。声はあまり出ない。掠れている。泣いたからだろうか、それとも歌う勇気がないからだろうか。理由は俺にはわからない。だけど、所々で詰まってしまう。
立った二十秒にも及ばない最初の主人公パートを歌うのにも大分披露してしまった。
「お疲れ様」そう、早口で行ったあと、
「正義とは何かをずっと考えてた――――――」
一葉も歌い始める。
その歌は歌唱力がまさにあるように思えた。
そして、その歌は俺のテンションも高めてくれる。
これなら歌える気がする。俺は皿に歌い歌い歌っていく。
なんとなく楽しくなってくる。
「調子出て来たね」
「おうよ」
そして、俺は全力で歌唱し終えた。
そこからは調子が上がってきた。
俺は連続で曲を入れたのだ。




