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第21話 銭湯

そして、カラオケを堪能した後、


「今度はどこに行こうか」

 赤松君は、スマホを見ながら呟く。


「なんか行きたい所でもある?」

「行きたい所?」


 正直そこまであるわけではない。

 でも、強いて言うならか、ゲームセンターは後に取っておきたい。と、なれば。

 俺はしょうこうする。

 そして、「こことかはどう?」と、提案をした。そこは近くの銭湯だった。


「渋くない?」


 俺は言った。男子同士で遊ぶのに銭湯はあまり聞いたことがない。

 デートよりはまだあるのかもしれないが、俺たちは互いに裸を見せあえるほど、親しいのだろうか。

 確かに赤松君とは少しづつ仲良くなっていっている。今日のお出かけだって、赤松君だから受けたのだ。

 何しろ、俺を信じてくれ、更にメールで昨日の夜に『理子最低だな』と、送ってくれていたのだ。

 

 銭湯は気持ちがいい。そして自然と会話が生まれていくものだ。

 だけど、本当にこの誘いに乗っていいのか、


 本当に俺の恥部を見せていいのか。そんな迷いが生じて来る。

 どうしよう。


 だけど、今俺がこの誘いに乗らなかったら、友達をやめられてしまうかもしれない。一葉がいるとはいえ、俺には男友達は誰もいない。それを考えたら、この誘いに乗らないというのは、賢くない選択肢かもしれない。

 っ、だめだ。俺。


「どうしたの」

「行こう」


 俺は言ってしまった。結局俺は弱いのだ。嫌われたくないから、当たり障りのない事を言うし、めちゃくちゃ行きたいわけじゃない場所について行ってしまう。

 だけど、別にいいかと思った。


 銭湯にはあまり言ってなかった。それに銭湯はどうせ一葉とは一緒に行けないのだ。そう考えれば、今の機会に行くという事はだめだとは到底思えない。

 そう、思えないのだ。


 

 そして、近くの銭湯へと向かった。

 そして、中に入っていく。


 その中で俺たちは服を脱いでいく。その中で、赤松君はスマホをいじっている。


 俺はそれを見て、


「先に入るわ」と言った。

 なんとなくスマホを向けられるのには嫌悪感がある。


 勿論、スマホで写真を撮ってるなんてことはないと思うけれど、リスクは少しでも排除しなければならないと思っている。


 一葉が警戒してと、言っていたから一応これは警戒しておく。

 勿論盗撮なんて、そんな事はないとは思ってはいるのだが、


 そして、戦闘の中に入ると、気持ちがよかった。

 最近先頭には言ってなかったからか、ますます温かさを感じ、ほっとするような感じがするのだ。


「先に行くなよ」


 笑いながら赤松君が言う。それに対し、俺も「ごめん」と軽い口調で謝っておいた。



「それにしても、広いよな」

 なんて、赤松君が言う。


「泳げるくらいだぜ」


 そして、クロールをする振りみたいをする。


「怒られるよ」

「分かってるって」


 そう言って彼は歯をむき出しにして笑う。


「それにしても、今日は本当に感謝だぜ。大変な中、来てもらってよ」

「こちらこそ、誘ってくれてありがとう」


 気が付けばもう時刻は四時になっている。ここから一時間近く入るとして、と考えればもうそろそろお開きの時間となってくるだろう。


「それにしても、何回も言うけど、お前大変だよな」

「ああ、そうだね大変だよ」

 学校では最近辛い思いしかしていない気がする。


 彼の、赤松君の存在は今の僕にとって非常にありがたい物だ。何しろ、優しいし、愚痴を言える人間だ。

 それは、一葉以来なのだ。


「感謝してるよ。愚痴を聞いてくれて」

「お安い御用さ」


 なんて言って彼は笑う。


「俺はお前の辛さが分かってるんだから」

 そして、俺にそそそと、近づいていき。


「大変だったな」


 と、声をかける。


 その言葉だけで非常にうれしく思う生きててよかったとさえ思えるのだ。


 そこから先俺は銭湯のお湯でぬくぬくと温まる。

 そして、赤松君に連れられ露天風呂や、水風呂などありとあらゆる場所で温もった。

 最終的にはサウナに入った。


「サウナって好きか」



 赤松君が言った。


「好きでも嫌いでもないけど今はとても気持ちいいと思ってる」

「そうか。サウナのいい所ってテレビが見れるってとこだと思うんよな。ほら、今は町ブラロケとかだけど、甲子園とかがやってるときは、それを見せてくれるんだぜ、ありがたい」

「俺は野球あまり見ねえからな」


 事実、俺は野球にそこまでの興味はない。

 ルールくらいしか知らない。


「見たほうがいいと思うぜ。あれは人生観をガラッと変えてしまう城もんだからな」

「ふうん」


 テレビでやってたら見てみようかななんて思う。


「そう言えばお前が言ってたアニメ見たぜ。面白かったわ」

「本当か」


 昨日見てくれたのか。

 俺は昨日の夜に一つ好きなアニメを布教した。

 それを昨日の夜に見てくれたのだろう。


「まだ一話しか見てないけど、迫力があったし、ヒロインが可愛かったし最高だったぜ。二話もみようかな」

「それがいいと思う」



 そして、サウナから出たら、水風呂に入って、そのまま最後に軽く一番大きいメイン風呂に入り、そして、出口へと向かった。


「今日は楽しかったな」

「ああ」


 楽しかったと、思う。今日は色々と楽しい経験が出来たし、赤松君とも仲良くなれた。



「じゃあ、また月曜日だな」

「うん。今日はありがとう」

「どういたしまして。じゃあ、また月曜日」

「おう」


 そして俺たちは分かれた。

 今日は本当に、楽しかった。

 カラオケに関しては、これが一葉と一緒だったならもっと楽しかったんだろうな。なんて思うのは赤松君に失礼だろうか。今度は一葉と一緒にカラオケに行きたいな、なんて思うのだった。

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