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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第15話 ご飯


 そして、俺と一葉は家に到着した。

 もう家でご飯を食べる事は母さんに既に伝えてある。


母さんは二つ返事で、「はいよー」と笑顔で言ってくれた。ありがたい限りだ。

 流石は俺の母さん。人が良い。




 

 

 そして、ご飯までの時間、今まで通り、部屋で一葉と一緒にゲームをした。

 周回イベントの続きを二回ほどし、そして今日は格闘ゲームをやった。こちらも自身満々で挑んだのだが、一葉にぼこぼこにされた。悔しくてたまらない。どうしてこんなに一葉に勝てないんだろうか。


 昨日は勝てたとはいえ、流石に勝率が低すぎて嫌になる。


「なあ、一葉」

「なに?」


 勝利の余韻に酔っている一葉。彼女は元気満々と言った感じだ。


「なんでそんなにうまいんだよ」


 今までで、言っていそうで言っていない疑問だ。



「練習したのか」

「練習?」

「ああ、結構うまくなってるし」

「独学だよ。練習もそこまでしてないし」

「流石にそれは嘘だろ」


 嘘ならもっとましな嘘をついてほしい。


「嘘じゃないよ。私の事信用してないの?」

「信用してない」


 その言葉に対して、俺は軽くうなだれる。


「信用してないかあ、寂しいなあ」


 ぷすーと唇を尖らせた。

 その表情は可愛らしく、また少しだけ意地悪い可愛らしさをはらんでいた、



「信用していないわけじゃないけど、ゲームの練習してないは完全に嘘だと思ってる」

「それって私が上手いから?」


 調子よさそうに言う一葉に、


「そうだな」と言った。


「認めた!」

 一葉は、俺に肩を近づける。


「えへへ、わたしの勝ち」


 そう言って一葉は笑う。

 


 そして、肩をくっつけて来るのはどういうことなのだろうか。

 自慢げな表情とセットなのがよくわからん。



 

 —―その瞬間だった。一葉のお腹が鳴る。

 それを聞いて、一葉は自身のお腹をさする。それも恥ずかしそうに。


 

 そして、俺は時計を見る。

 時計の針は17時半を指さしていた。


「あと三十分でご飯だな」

「そんなこと言わないでよ。反応しなくていいの」


 そう言って俺の頭にデコビンをした。


 「いてえな」


 デコビン返しとばかりに、一葉の頭にデコビンをくらわす。


「痛いよ」

「倍返しだ」

「私、女の子だから手加減してよ」

「うるせえ。男女平等だよ」


それに、一葉が先にやってきたわけだしな。



 そして、俺たちはご飯を食べるために下の部屋へと言った。そして、そこにはご飯を今まさに準備している母さんがいた。


「手伝うよ」


 母さんだけにやらせるわけにはいかない。俺もやらなくてはならない。


「わたしもやる!!」


 そう言って一葉も母さんの元に駆け寄る。


 「じゃあ、恭介はお鍋お願いね。で、一葉ちゃんは」


 そして、そっと戸棚を見て、



「お皿を配ってもらおうかしら」

「分かりました」


 敬礼ポーズを出し、そして、お皿を手にしていく。


 そして、四枚手に取りそのまま配りに行く。


そしてその中で俺は鍋を混ぜていく。


「珍しいわね」母さんが口を開く。「自分から手伝うなんて言うなんて」

「珍しくなんかねえよ」


 確かに最近は無かった。シンプルに鬱状態になっていたからだ。しかし、

 その前までは手伝っていたはずだ。



 そして、俺は鍋を混ぜていく。


「なあ、母さん」

「なに?」

「今日のご飯美味しそうだな」


 鍋の中には如何にも美味しそうなカレーライスが入っていた。

 カレーライスは最近食べていなかった。

 

 久しぶりだからこそ、ますます美味しそうと感じる物だ。


「もしかして」

「なに」

「一葉ちゃんに料理作らせた方がよかった?」

「っどういうこと?」

「だってさ、貴方あっち二人で作ったらいいなと、思ってね」

「確かにそれも手だったな」


 今一葉がどれくらい料理が出来るのかは知らないが、一葉と一緒に料理をしたら楽しかっただろう。

 恐らくその場合、一葉は少し嫌がるだろう。何しろ、一葉にとってはゲームが一番大事なのだから。

 しかし、一緒に料理を作る。共働合作にはそれ相応の価値が含まれていると思う。


 

「今度またしてみようかな」

「それがいいわ。簡単なチャーハンとかから作ったら」

「また、提案してみるよ」

「ちょっと恭介。もう少し早く混ぜなさい、焦げちゃうわ」

「そうだね」


 そして俺は混ぜる速度を少し加速させた。

 ぐるぐるとかき交ぜていく。


 そして――




 ――――――――




 料理が完成した。


 カレーだ。それをご飯によそえばカレーライスの完成だ。


「うわあ、美味しそう」


 一葉がカレー皿の淵に手を添えながら言った。


「ふふっ、手によりをかけたからね」


 母さんは笑みを浮かべてそう言った。


「もう……食べていいですか」


 おずおずと一葉が訊くと、「ええ、勿論」と母さんは笑って答えた。

 その言葉が合図となり、俺たちはカレーのスプーンにルーとご飯を均等に入れ、口にくわえる。

 うん。いい感じの絡みと、スパイスの味で、中々美味しい、と感じた。


「流石は母さんだね」


 俺がそう言うと、母さんは嬉しそうに笑って見せた。どうやら嬉しかったらしい。



「じゃあ、また作っちゃおうかな」なんて母さんは笑顔で言った。


 そんな母さんを傍目に一葉はカレーを丁寧に一口ずつ口にくわえて行った。

 それも、感慨深そうに。どうしたんだろ、なんて思う。明らかに普通の表情ではない。


「どうしたの?」


 と、俺の持つ疑問を母さんが口にした。


「なにかお困り事かした」


「ううん」一葉は首を振った。「別に何かあった訳じゃないんです。だけど、久しぶりで、その嬉しくて」

「母さんと一葉も」

「うん。会ってなかった。それに恭介君のお母さんに会ってたら、恭介君にもあってるんだもん」


「確かにそうだな」


 俺だって一葉のお母さんと会うよりも一葉と会いたいと思うのだから。


「でも、懐かしい味。美味しい」

「そう言ってもらって嬉しいわ。恭介ったらあまり味の感想言わないもの」

「さっき、言ったじゃねえか。流石は母さんだなって」



 すると食卓の場に笑いが生まれた。

 その瞬間だった。


 ドアがガチャっといったのだ。


 帰ってきたのだろう。

 鏡花が。


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