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失恋し、裏切られた俺の家に、転校してきた幼馴染が毎日ゲームをしにやって来るようになった  作者: 有原優


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第十四話 昼休み

 

 そして、俺は屋上へと行った。

 昼休みは12時40分からスタートだが、今はもう12時50分になろうとしている。大遅刻だ。


「遅いじゃん」



 一葉は笑って言った。だけど、笑っているのは表面だけに見えた。中身は全然笑っていない。なんで待たせたの? なんて言ってそうな雰囲気だった。




「ごめん」


 俺は一先ず頭を下げた。


「何かあったの? もしかしてあの女が何かしたの?」

「いや、理子は関係ない」

「関係ない? じゃあなに?」

「関係はないけど、帰農のお前の啖呵のおかげで一人俺たちの事を信じてくれる人がいた」


 そう、赤松君の事だ。彼は俺が理子を裏切った訳ではないと、信じてくれている。これは革命的な一歩だと思っている。



「それは騙されてるとかじゃなくて」


「可能性はあるのかもしれんな。だけど、俺は彼の事を信じたい」


 何しろ、(一葉以外に)初めてできた、仲間なのだ。

 理子に睨まれていたのに、俺の手を取った。

 それだけで、信用する理由はある。


「それならいいんだけど」

「おう」

「騙されてないよね」

「疑うな。そりゃ当たり前か」


 俺は頭を掻いた。むしろ疑わない方がおかしい。


「だけど、大丈夫だ」


 俺はそう、はっきりと言い切った。あの澄んだ目。俺はあれを疑いたくはない。



「じゃあ、それはいいけど、ここは私たち二人の世界ってことは変わりないからね」

「はいはい、分かりましたよ」


 そう言って二人で笑った。

 ここにはよそ者を入れるなという事だろう。



 そしてご飯を食べながら周回クエストを始めていく。


 後15回クリアしないといけない。そのことを考えたら、時間はほとんど無駄に出来ないところだ。


 スマホでゲームを開いて早速始めていく。



「本当にありがとうね」

「俺も完成させてないから、大丈夫だよ」


 そして、互いにゲームを開始して行った。


 そして、一周終わったところで、ご飯を食べ始めた。


 今日も一葉はお弁当だ。それも今日も健康重視という感じがする。



「一葉って今日も健康食何だな」

「野菜美味しいから。食べてみる?」

「いや、いいよ」


 俺はパンを食べながら言った。


「こっちの方が美味しいし」


 今日の昼ご飯は焼きそばパンだ。

 焼きそばパン、大好物だ。


「一口食べるか?」

「いや、いいよ。それよりも恭介君もこれ食べてよ」


 そして、プチトマトを俺に差し出す。


「いや、良いよ」


 いらない。正直そこまでトマトを食べたくない。


「トマト美味しいよ。それに、私は恭介君に健康でいて欲しいし」

「健康でいて欲しい、か」


 確かに健康なのはいい事だ。

 だけど、


「大好物を食べる事も、心の健康に必要だと思うぞ」

「私は心の健康よりも、体の健康の方が大事かな。それにトマトが好きだし」

「そっか」


 そう思うなら、仕方がない。


「まあ、トマトを食べるのは一葉の自由だけど、俺にも押し付けないでくれ。個々の主義信条があるからな」

「ちぇ」


 一葉は不満げに頬を含まらせた。


「まあまあ、ゲームでもして気を取り直そう」


 そして、続いてのパーティ募集画面を開く。


「はーい」


 一葉はパーティ参加IDを入力し、俺のパーティに入ってくる。

 そこから先はもう一度クリアをした。


 ちなみに結局周回クエストが思いのほか長引いてしまい、授業に二人そろって遅刻してしまった。


 そして、週かいクエストの続きをしていった。


 一葉と過ごす昼ごはんの時間楽しかった。

 そして、


 学校が終わった後、俺たちは二人で家にいった。


 その前に、


「途中で寄り道してもいい?」


 寄り道か。


「どこに?」

「どこにね、うーんそうだね。買い食いをしたいなと思って」

「いいねそれ」


 一応校則で買い食いは禁止されている。だけどそれも守っている生徒もいないし、先生も目に余る時以外は叱ったりなどはしない。


「どこに行きたい? マクドナルド?」

「それじゃあ、買い食いじゃなくて寄り道じゃん。私が行きたいのは、ここ」


 それは、商店街だった。


「なるほどな」



 そういう意味での買い食いだったか。



「安心して、時間はかけないから」

「いや、かけても大丈夫なんだけど」

「そしたら、ゲームの時間が減ってしまうからね」

「本当にゲーム好きだな」

「恭介君とだから大切なんだよ」


 一葉はにっこりと笑う。その言葉は正直嬉しい物だ。


「それでいえば、俺も同じだよ。一葉と一緒だから大事なんだ。もしこれが一葉と一緒じゃなったら、今ほど楽しくはなかったと思う」

「……嬉しい」


 そう言って一葉はにっこりと笑った。

 その笑顔は兎に角眩しかった。


「ありがとう」


 そして、

 近くの所で、早速購入していく。まるで祭りの屋台のように様々な物を売っている。もはやターゲット層は学校帰りの学生と言っているようなものだ。

 一葉は早速お金を払い、フランクフルトと、ポテトを購入した。


「じゃあ、二人で食べよ」


 そう言って笑った。



「なあ、一葉お前」

「なに?」

「野菜以外も食べるんだな」


 野菜しか食べないイメージが既にある。



「元から食べてるじゃない」



 そう言って一葉はまた、笑う。


「あ、一口いる?」


 フランクフルトを持ちながら、


「ああ、ほしい」


 目の前にそんな美味しそうなものがあったら、食べたくなるのが人と言うものだ。

 ぜひ食べたいという気持ちだ。


「じゃあはい!」


 一葉は俺にフランクフルトを手渡した。


「おい」

「なに? 早く食べてよ」

「っ」


 早く食べてよ、なんて言われても困るのが今の状況だ。何しろ、今フランクフルトには一葉の唾液がついてるはずだ。となれば、これは間接キスに相違ないのではないだろうか。


「何してるの? 食べないなら返してよ」

「っ」


 食べたい。間接キスしたいという気持ちではなく、ただ単純に今フランクフルトに焦がれているのだ。

 ああもう、仕方がない。


 俺はフランクフルトにむしゃりついた。

 一葉の――――――なんて、一瞬変態思考になってしまう。だめだ。


 


「なんか、興奮してない?」

「こ、こ、こうふんしてねえよ」


 図星を突かれてドキッとする。


「ふはは」一葉は笑う。「なんてね」


 た、助かったのか?


 一葉の表情を見ると、見るからに楽しそうな、ものだった。その表情からは俺への嫌悪の感情などどこからも見えてこない。


 助かったらしい。


 ただ一点を除いて。


 そう、俺は今一葉を一瞬異性として見てしまった。


 男女の友情は成立するのかどうか、という話がある。

 その観点で言えば、俺は一葉との友情関係を一瞬ぶち壊しそうになったという事だ。

 気をつけなければならないと感じた。何しろ、俺は一葉と仲たがいもしたくないし、今はこれ以上関係を深めたくはない。

 勿論それは恋愛的な意味だ。


 俺は一葉とは友達関係で居たいのだ。




「で、何だったんだよ」

「えへへ、何もないよ」

「何なんだよ、お前」

「そんな怒らなくてもいいじゃん」


 そう言って頬をぷくっと膨れさせた一葉。

 良かった。いつもの雰囲気が戻ってきた。正直もうあんなのは嫌だ。

 恋愛なんていうものは、もうこりごりだから。



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