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2回目の今日は何が変わったか


ハチマキの作り方はもちろん知っている。もしかしたら必要のないやり取りかもしれないが、聖女様は作り方を紙に書き、私はそれを見ながらハチマキを作った。



私が何も喋りかけなかったため作業中は終始無言で、作業も2回目だったので前回とは比べものにならないくらいに早く終えた。


私はなんとなく、ハチマキに何か模様を縫い付けましょうか、と聞くと聖女様の表情は変わらないが、小さく頷いた。



彼女は少し考えたあと、紙に見たこともない文字を5つ書いた。


R・ Y ・A ・T ・ S


私が首をかしげると、私達の名前の頭文字です、と聖女様はこちらの文字で書き添えた。




このくらいの文字ならすぐ終わる。私は丁寧に縫い付け、ちょうど終えた頃に、ドーリス様が迎えに来た。




今回もまた私が最後になった。遅刻して賢者様に注意された事を、今の今まで頭から抜けていた。


ーーあんなに反省したのに、またやってしまった! 皆、こんな白い目で見ていたんだ…



2度目なので落ち着いて場を見渡せた。

横一列に勇者様たちが並んで待っている。


神官様と、私と同じ役目の女の子達が私を責めるように見ていた。



聖女様は今回は私の背中に触れず、賢者様の隣に並ぶ。



「お、お待たせして申し訳ありません!」


私は皆に聞こえるように謝罪し頭を下げた。



「聖女様からの頼まれごとを今終えたと聞いた。ご苦労だったな」

神官長様から初めて声をかけられる。


すると、皆の表情から険が消えて、あなたが最後よ、と賢者様の前まで促された。



相変わらず彼は不機嫌そうだった。


「お待たせしてすみません」

私は念のため、彼にも直接謝罪する。彼は一度私を見て、すぐに視線を逸らした。



前回と同様に出立の儀は進み、またハチマキを渡す場面で、彼はやはり私からハチマキを奪う。


彼のハチマキはSという文字を刺繍したものだった。 彼は刺繍に気がついたようだが、表情は変わらない。




「ユーリさん」


賢者様が突然私の名を呼んだ。


「はっ…はい!」


「俺の名前は知ってる?」


彼は少しだけ首を傾げて私をジッと見ている。







「……いいえ…ごめんなさい」



彼は何も言わずまた視線を外し、それからは一度も目が合う事はなかった。


出立の儀が終わり、彼らとはここまでだ。


「ご武運をお祈り申し上げます」

私は、戦いへと向かう彼らの背中に、ありきたりの言葉しかかけられなかった。






ーー仕事に戻ろう


私は大広間を出て、ハチマキを作った小部屋の前を通り過ぎようとした時、ちょうど小部屋の扉が開き、中からドーリスが出てきた。


「ドーリス様!皆さまと行かれたのではないのですか?」


ドーリスはハチマキ作りで使われた裁縫道具を手にしている。


「皆が大神殿を留守にするわけにはいかないでしょう。」


彼は扉を閉める前にもう一度部屋を見渡し、1つ頷いてから扉を閉めた。


「だからと言ってドーリス様にお片づけをさせてしまうとは…申し訳ございません!」

「君も大袈裟だな。片付けなど人を呼ぶ程ではないだろう」


同じ方向に向かうようなので、私はドーリス様の横に並んで歩く。


「ドーリス様、1つ伺ってもよろしいですか?」


「答えられるものならば」

ドーリス様は少し歩調を緩めてくれる。


「スキルは目覚めの間で覚醒と同時に発動するものなのでしょうか。」





聖女様は早い段階で目覚めの間でスキルを発動した、と噂で聞いた。

今の状況は、そこで発動されたものなのか、ずっと不思議に思っていたのだ。


ドーリス様は立ち止まり、少し何かを考えて口を開く。



「誤解されているが、目覚めの間はスキルを発現させるものであって、発動は本人の意思だ」


「発現…」

スキルが分かるという意味だろうか。


そういえば、と自身のスキルが分かった時を思い出す。私の場合は魔力テストの時に、テストをした神官様に指摘されて分かった。


「神官は、この者にはスキルがある、という事実はわかる。だがどんなスキルかは本人しか分からない」


「えっ?でも私の力は皆さんご存知でしたよね」


【泣きの一回】を失笑された時を思い出す。


ドーリスはあきれた顔を向ける。

「…それは君が聞かれてもいないのに口に出したからだろう」


ーーそうだったわ。あの時ビックリしすぎて神官様にお話したのだった。


「皆さんに笑われたのは、役に立たないスキルだからではなく、自分から公表したからでしょうか」


「君はそんな風に思っていたのか。女神様から贈られたスキルは役に立つ立たないの問題ではない。」

「…役に立たないから使用人になったとばかり思っていました」


「誰が言ったかわからないが本意ではないはずだ。あの時の君はまだショック状態だったから、忙しくさせて辛い事を思い出させないようにしたのだろう」




ーー色んな方が私を気にかけてくれていた。私は気づかないで卑屈になっていたわ…



私はまた罪悪感に苛まれながら大神殿を後にした。



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