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ブゥンとディスプレイが唸り、開いた画面には、パスワードとログイン認証。


ただじゃ渡せないということか。


俺はハッカーではないし、ワームソフトもクラックソフトも、持ち合わせてはいない。ただ…思考レベルを読み取れば…そこまで難しいものでもないのだろう。


おざなりに作られたあの画像ファイルが、それを物語っている。


どうせログイン名は名前だろうし、パスワードは…近いものだろう。



おおよそ勘は当たっていたらしく、数回のチャレンジでファイルは開いた。


パスワードは『other side』ログイン名は『sin』


特に捻りもなく、強制ロックもなく、彼の短絡さだけが強調されていた。



但し、中には思いもよらない内容。言うなれば切り札。彼の保身。警察もブンヤも喜んで飛び付く中身に、少しだけ言葉を失った。


中でも【アザーサイド計画】というのは…想像を絶するものだった。こんなことが現実で起こりうるのか、すぐに理解はできずにいた。



街で酔いつぶれている人間をキャッチして、デートクラブのように金を巻き上げる。金が底をついたら…見込みのある人間には、薬の密売。ここでいう見込みのあるとは、素直に言うことを聞く人間であるということなのだろう。


リコは…その手先なわけだ。


こんな巨大な組織に、俺みたいな一個人が…敵うはずもない。救うには…力が必要だということを何も考えていなかった。


考えなしの理想論ならいくらでも言える。ただ、これを警察に持ち込んでも…彼女はきっと捕まるだろう。



一枚のメモには、彼女の住所が書いてある。


止めたい。でも、どうやって?


具体的な方法など何一つ見つかるはずもなく、ただ時間だけが過ぎていく。



手元にあるのは3枚のディスク。それと…俺の身体だけ。戦争に出かけるには軽装過ぎる。時間がない。


迷っていてもリコが戻ってくるわけではない。…行くしかない。意を決して、俺は外へ飛び出した。


フロントにいるヤツにメッセージを添えて。


これがダイイングメッセージにならなければ…いい。まさに決死の覚悟で、タクシーに乗り込んだ。

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