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どうしてこんなに頑ななのか自分でさえわからない。リスクを避けて生きてきたはずの俺が、今こんなにもリスキーな賭けに出ているのかわからないんだ。
だけど、このタイミングを逃したら…一生後悔するような気がして。
つながった実感を忘れられないだけかもしれない。ただの意地と言えばそれまでのこと。でも…舐められるのはごめんだ。たとえそれが運命だとしても。
ふと、運命の神の話を思い出す。運命の神には前髪しかない。その瞬間に捕まえなければ…指をすり抜けていくんだ。
そう。タイミングは今しかない。
「もう迷わないと決めたんだ。彼女が何度裏切ろうとも…俺は彼女を裏切らない」
『そっか…。じゃあこれを持っていきなよ』
「これは?」
カウンター越しに差し出されたのは、一枚の…ディスクとメモ。
『俺には彼女を止められなかった。アイツを止めてやってくれ。…きっとあんたなら…』
男同士にしかわからないアイコンタクト。きっと彼も…淡い想いを抱いていたのだろう。託された想いはきっと…無駄にはしない。
その品を懐にしまいこみ、そっと店を後にした。
そのまま家に戻れるはずもなく、タクシーでホテルへと戻った。
『おっ、デートは終わったのかい?』
フロントで暇そうにしていたヤツに捕まった。今はそんな時間なんてないのに。
「部屋にパソコンを運んでくれないか?仕事が詰まっていてね」
『デートより仕事か…年末だっていうのに、お互い忙しいな。わかったよ。すぐに運んでいくよ』
「ありがとな」
部屋に戻りパソコンの到着を待つ。静かに。備え付けの椅子に深く座り、指を組み合わせ、額をつけた。
もうベッドに温もりはない。数時間しか経っていないのに…唇には感触さえリアルに思い出せるのに。
悲しみに囚われている暇はない。しっかりしなきゃ。心に言い聞かせるほど、揺れ動く。さざ波から大波へ。寄せては返すノイズのように。心にひび割れができていた。
部屋の扉がノックされる。わかっているのに、もしかしたら戻ってきてくれたのかもなんて、期待している自分が滑稽に思えた。
やはり来たのはパソコンの方だったが。
電源を立ち上げ、間髪を入れず、CDをスロットに入れた。
ガリガリという読み込み音の後に、ファイルが姿を見せた。




