第6話「通信不能!孤立無援のデカマラレッド!!」
肛門騎士団・秘密基地。
巨大モニターに映し出されているのは、街の地下構造図とデカマラレッドの戦闘データだった。
レーションは腕を組み、部下たちの報告を聞いていた。
「作戦準備、完了しました! アナキツツキを市街地へ投入すれば、敵の通信網を遮断できます!」
「そうですか」
レーションは微笑んだ。
「では、君が先行して通信妨害装置の動作を確認してください」
「えっ? しかし、現場は危険で――」
「君は先ほど、自分の能力に自信があると言っていましたね?」
「そ、それは……!」
「なら問題ないでしょう。自信があるのに危険を恐れる。実に興味深い矛盾です」
レーションは書類に視線を戻した。
「行きなさい。君の代わりはいくらでもいますから」
部下が青ざめながら退室すると、隣の兵士が恐る恐る尋ねた。
「レーション様……彼を一人で行かせるのですか?」
「当然です」
「ですが、成功率は……」
「君も行きたいのですか?」
「い、いえ!」
「なら黙っていなさい。雑種の意見を聞く時間はありません」
レーションはモニターに映るレッドを見つめた。
「さて、殿岡君。君の正義が、誰にも届かない状況ではどうなるのか……見せてもらいましょう」
彼の口元に、冷酷な笑みが浮かんだ。
そのころ、市街地。
「うおおおっ! 逃げ遅れた人はこっちだ! 落ち着いて避難してくれ!」
デカマラレッドは、ビルの倒壊に巻き込まれそうになった市民を誘導していた。
そこへ、奇妙な音が響く。
ドドドドドドドドッ!!
電柱、道路標識、街灯が次々と激しく振動し、周囲の電子機器が一斉に停止した。
「な、なんだ!?」
街の大型モニターが真っ暗になる。
その中央に、鳥のくちばしのような巨大なドリルを持つ怪人が現れた。
「キツツキキツツキ! 我が名はアナキツツキ! あらゆる通信をつつき壊す、肛門騎士団の電波破壊職人よ!」
「名前の付け方が雑すぎるだろ!」
「うるさい! 名前のセンスを批判する通信は受け付けておらん!」
「通信じゃなくて普通に会話してるんだよ!」
アナキツツキは頭部のドリルを高速回転させた。
「電波破壊音波、発射ァァァ!!」
ビィィィィィン!!
レッドの変身リングが点滅する。
『通信エラー。基地との接続を確認できません』
「えっ、ちょっと待て! マスター! 岡部さん! 奥さん! 聞こえるか!?」
返事はない。
「うそだろ……!」
アナキツツキが笑い声を上げた。
「キツツキキツツキ! 助けを呼んでも無駄! 今のお前は完全に孤立している!」
レッドはデカマラカリバーを構えた。
「だったら、助けを待つ必要なんかない!」
「ほう?」
「目の前に守る人がいる! それだけで、俺が戦う理由は十分だ!」
「その威勢がいつまで続くかな?」
怪人のドリルがうなりを上げた。
「さあ、通信不能の地獄を味わえぇぇぇ!!」
レッドの孤独な戦いが始まった。
「食らえ! アナキツツキ・連続穴あけ攻撃!!」
ガガガガガガガガッ!!
アナキツツキのドリルが地面を削り、レッドに襲いかかる。
「うわっ! ちょ、ちょっと待て! 道路は市の所有物だぞ!」
「怪人に道路交通法を説くとは、愚かな奴め!」
「せめて修繕費のことくらい考えろぉぉぉ!」
レッドはデカマラカリバーで攻撃を受け止めるが、連続攻撃に押し込まれ、建物の壁へと吹き飛ばされた。
「ぐっ……!」
そのころ、秘密基地では岡部と奥が通信モニターの前で大騒ぎしていた。
「レッドとの通信が完全に切れた!」
「電波障害どころじゃないぞ! 基地のセンサーまでおかしくなってる!」
岡部はキーボードを叩き、奥は配線を調べる。
「くそっ、こんなときに限って新兵器の調整が終わってねえ!」
「完成度は92%だ!」
「残り8%が命取りなんだよ!」
二人は顔を見合わせた。
「……レッド、無事でいてくれよ」
一方、レーションは敵基地で戦況を眺めていた。
「通信を遮断された状態で、レッドがどこまで持ちこたえるか。興味深い実験ですね」
部下が報告する。
「レーション様、アナキツツキのエネルギー消費が想定値を超えています! このままでは作戦が――」
「君は計算もできないのですか?」
「も、申し訳ありません!」
「謝罪でエネルギーが回復するなら、いくらでも謝ってください」
レーションは画面を指さした。
「アナキツツキには、もう少し働いてもらいましょう。失敗した場合は……そうですね。責任を取ってもらえばいい」
その声に、部下は何も答えられなかった。
「はぁ……はぁ……!」
レッドは膝をつきながらも立ち上がった。
アナキツツキは勝ち誇ったように翼を広げる。
「どうした、デカマラレッド! 仲間の声が聞こえないと不安か!?」
「……」
「助けを呼んでみろ! 誰も来ないぞ!」
レッドは一度、基地への通信を試みた。
『接続失敗』
「……そっか」
彼は小さく息を吐いた。
「マスター。岡部さん。奥さん……」
そして、拳を握りしめた。
「俺、まだまだ未熟だ。正直、今だって怖い」
アナキツツキがドリルを構える。
「ならば倒れろ!」
「でもな!」
レッドは顔を上げた。
「仲間がいないからって、守るのをやめる理由にはならない!」
「なにぃ!?」
「俺が守りたい人たちは、ここにいるんだ!」
レッドは怪人に向かって走り出した。
「デカマラカリバー!!」
剣を振るうが、アナキツツキは頭部のドリルで受け止める。
「無駄だ! 貴様の攻撃はすべて計算済みよ!」
「そうかよ!」
レッドは剣を引き、わざと怪人の攻撃を誘った。
「なら、これはどうだ!」
アナキツツキが突進する。
その瞬間、レッドは横へ飛び退いた。
ドリルは道路脇に設置された通信妨害装置へと激突した。
「な、なにぃぃぃ!?」
「通信を壊す機械なら、壊されると困るものもあるよな!」
「き、貴様! わざと狙わせたのか!」
装置から火花が散り、怪人の動きが一瞬止まった。
レッドは剣を高く掲げる。
「今だ!」
剣に紅蓮の炎が宿る。
『アナイアレイト』
「燃え上がれ、正義の刃! 紅蓮一閃・デカマラブレイカー!!」
閃光が怪人を貫いた。
「キツツキィィィィィ!! 通信障害は……まだ終わっていな――!」
大爆発。
アナキツツキは地面に倒れ、動かなくなった。
レッドは肩で息をしながら、ゆっくりと剣を下ろした。
「……よし。まずは一体」
だが、その直後。
空から不気味な暗黒エネルギーが降り注いだ。
『まだ終わりではない』
ケツデカイナーの声が街に響き渡る。
『巨大化せよ、アナキツツキ! そのドリルで街ごと粉砕するのだ!』
「またそれかよぉぉぉ!!」
アナキツツキの体がみるみる巨大化する。
街を見下ろす巨体。頭部のドリルはビルにも届くほどに膨れ上がった。
「キツツキィィィ! 今度こそ貴様を粉砕してやる!」
レッドはリングを掲げた。
「デカライナー・1号! 出撃!!」
轟音とともに巨大列車型マシンが出現する。
「今度は一対一の巨大戦だ! 行くぞ!」
レッドは操縦席に飛び乗り、デカライナー・1号を走らせた。
デカライナー・1号と巨大アナキツツキが激突する。
ドゴォォォン!!
ドリルと車体がぶつかり合い、火花が飛び散った。
「うおおおおっ!」
「キツツキキツツキ! 巨大化した俺のドリルは無敵だ!」
アナキツツキのドリルがデカライナーの側面を削る。
警告音が操縦席に響いた。
『車体損傷。推進力低下』
「くそっ……!」
レッドはハンドルを握り直した。
「一人で戦うのは、思ったより大変だな……!」
その言葉が漏れた直後、彼は首を振った。
「いや! 弱音を吐いてる場合じゃない!」
デカライナー・1号は急旋回し、怪人の攻撃を回避する。
「真正面からぶつかるだけが戦いじゃない!」
レッドは線路状のエネルギー路を展開し、敵の周囲を高速で旋回した。
「なんだ!? どこにいる!?」
「こっちだ!」
デカライナーが一気に加速する。
「デカライナー・フルスロットル!!」
車体前部の鋭い突撃装甲が紅蓮の光を帯びた。
「突っ切れぇぇぇぇ!!」
ドゴォォォォォン!!
デカライナー・1号の全力突撃が、アナキツツキのドリルを粉砕する。
「そんな……僕の通信妨害技術が……キツツキィィィィ!!」
巨大怪人は大爆発を起こし、街に平和が戻った。
操縦席のレッドは、大きく息を吐いた。
「……勝った」
そして、静かに拳を握る。
「次は、もっと強くなる。誰かに助けてもらうためじゃない。みんなを守れるヒーローになるために!」
秘密基地。
通信が復旧し、岡部と奥は歓声を上げた。
「レッドの信号、戻ったぞ!」
「生きてる! あいつ、また勝ちやがった!」
そこへマスターが姿を現した。
「殿岡は?」
「無事です。ですが、通信が遮断されている間、完全に一人で戦っていました」
マスターは目を閉じ、静かにうなずいた。
「……あいつは、また一つ強くなったな」
そのころ、肛門騎士団の基地では。
レーションがアナキツツキの敗北記録を確認していた。
「通信妨害を突破し、巨大戦でも勝利……。なるほど。単なる勢いだけの雑種ではないようですね」
部下が恐る恐る尋ねる。
「次の作戦はいかがなさいますか?」
「決まっています」
レーションは笑みを浮かべた。
「今度は、彼が守ろうとするものを利用します。正義感の強い人間ほど、弱点が分かりやすい」
「しかし、それでは市民にも被害が……」
レーションの笑顔が消えた。
「君は、僕の作戦に意見をする立場でしたか?」
「い、いえ……!」
「ならば黙っていなさい。雑種」
レーションはモニターを閉じた。
「殿岡君。君の正義が、いつまで君自身を支えてくれるのか……楽しみですね」
そして、そのころ。
街の外れの公園では、一人の男がベンチに座り、缶コーヒーを飲んでいた。
テレビから流れるニュース映像には、デカライナー・1号の勇姿。
男は小さく笑った。
「へえ……あれが今のヒーローか」
彼は立ち上がり、空を見上げた。
「……ちょっと、面白くなってきたな」
その手には、まだ誰にも知られていない青いリングが握られていた。
第6話・完。
次回、第7話「蒼海の兄貴!デカマラネイビー参上!!」
レッドの前に現れた謎の男、内藤。
「困ったときは助け合いだろ?」
穏やかな兄貴分の登場で、戦いは新たな段階へ!
次回も、全開バリバリで行くぜ!!
読んでくれて感謝!!
評価と感想おねがいします!




