第38話
大変お待たせいたしました!
ホムラの一人語りになります。
ホムラの考えと方向性を理解していただければ…と思います。
みんなの役に立ちたいっていうのもあったけど、一応私なりの理由はある。
この前やっと思い出したけれど、この世界は乙女ゲーム《恋するファンタジーへようこそ》の世界である可能性が高い。
登場キャラクターであろう団長たちはゲームそのままだから、高確率でゲームの世界なんだと思うけど、明確な証拠がない。
というより、私が納得したいんだと思う。
ここがゲームという架空の世界であるということを。
実際ファンタジーな世界でも、そうでなくても、見知らぬ場所へ来たしトリップなのかな、とは思っていただろうけど。
…とにかく、今は情報がほしい。
私がゲームの世界であると思い出した場所や魔獣から、ゲームの本編中であると思うけど…。
確か、魔獣に襲われる事件もゲームシナリオの一部にあったと思う。
正直最後にゲームをやったのが半年前だから、結構記憶があやふやだけど、大筋は覚えてる。
剣や魔法がある世界の、とある学校に入学するところから物語は始まる。
そこで出会う幼馴染の同級生や騎士、魔術師、保健の先生、担任の教師と1年を過ごす。
そして、主人公であるヒロインは、1年の生活の中で挑戦と挫折、それからもちろん各キャラクターとの恋愛を経て成長していく。
小学生でもプレイ可能なくらい大人向けの描写が少なくて、初心者な私は楽しかったけどコアなゲーマーからは酷評だった。
学校の友人と一緒にやってたんだけど、その内の一人がコアな乙女ゲーマーだった。
しかも腐ってて、エログロなんでもいけるクチだったから、私がこのゲームにありつけたのはある意味奇跡でもある。
その変態友人はイラストに惹かれ買ったというし、私は深そうな世界観に惹かれてプレイしたから、ある意味良質な温ゲーだったのだと思う。模範的な乙女ゲームとして。…いや、乙女ゲームに模範的とかあるのかわからないけど。
恋愛してればいいのか。なら模範的なのかも。
それは置いていて。
イベントについては大雑把にしか覚えてないけど、剣技大会もイベントの一つだったはず。
学校が舞台なのに体育大会じゃないところが独特だな、なんて思った記憶がある。
しかも年に2回行われるから、印象は結構強い。
好感度がどうとか、選択肢がどうとかは全然覚えてないけど、ヒロインが攻略対称にしているキャラクターなら、きっとこの大会にも出場するはず。…団長じゃなきゃいいけど…。
もし、ヒロインが攻略相手に団長を選んでいたらどうしよう。
私を庇ったときの団長の腕を思い出すと、胸が苦しい。
あんなに酷い怪我を負っているのだ。
少しくらい安静にさせてあげてほしいと思う。
本人が仕事したがってるのは置いといて。
まだわからないことを嘆いていても仕方ない。
もし、団長が攻略相手で大会に出ると言い張ったら、ハズキさんと一緒にぐるぐるに縛って実家に送ろう。
とにかく、ヒロインと一緒にいるキャラが攻略対象キャラで、今が攻略中であることを確かめたい。
団長や魔術師団長の年齢からして、ヒロインが生まれてないとか、攻略が終わって結婚してて子供や孫がいる、ってことはないと思う。
…乙女ゲームの世界であれば、って注釈がつくけど。
要はそれらしい人間がこの大会に関わっているってことがわかれば、乙女ゲームである可能性がぐっと高まる。
それから、団長や魔術師団長たちが攻略キャラではない、という可能性も低い。
騎士団や魔術師団の中でほぼ――全員の顔を覚えているわけではないが――1番にイケメンである。
ファンクラブがあるかは知らないが、そういう女性への扱いに慣れたカレンさんの顔を見ればだいたいわかる。
ちなみに団長に関しては、女性の影はないが団長の執務室で女性に会ったことが何度かある。
おそらく、仕事を口実に団長に会いに来たのだと思う。他の団の団員然り、学生然り。
そして、そういった女性に私はあまり好かれていない。
結構目の敵にされてるのがわかる。
突然現れた女が何の脈絡もなく、騎士団一のイケメンがいる団に入ってしまえば目の敵にもする。
長年アプローチしていた自分より、ぽっと出の女が団長の懐にいるっていうのはなかなか納得できることではない。
それがいくら低身長の見た目子供でも。
団長から見た私はどう見たって妹。
ハズキさんから見ても私は妹。
40代の副団長からすれば私は娘のような歳だ。実際私の父親も副団長と同じくらいの年齢だ。
それでも気に入らないものは気に入らない、んだろうなぁ…。
だから、私は遠征のとき以外は一人か、団員のみんなと訓練して団長とは距離を置くことが多い。
以前、学生に剣の授業をするから手伝えと言われたことがある。
だけど、その頃入団したばかりの私は団のみんな以外の人と接するのが嫌で、訓練を理由に参加しなかった。
そもそも、剣を教えられるほどの実力がないというのもあるけれど、貴族の女子の中に生身で飛び込んだらどうなるかは大体予想がついていた。
そんなイケメンがいるのに、それ以上の乙女ゲーム要員、基、イケメンがいるとは考えにくい。
いれば有名になってるだろうし、カレンさんはあんなに悩んでないはず。
根拠になっているようで、なっていないような…私の中ではこれ以上の理由はないんだけど…。
それを確かめるためにも、剣技大会で優勝を狙おう。
いや、優勝はハズキさんだから、準優勝かな。
団長の分まで。
ついでに元の世界へ帰る方法も見つからないだろうか。
ヒロインや他の攻略キャラに会って、その方法がわかればいいのに。
んー、例えば学園の地下には元の世界に繋がる道があって…とか、はたまた学園の最上階には元の世界に繋がる扉があって…とか?
うん。対して違わないけど。
さすがにそう簡単にわかるものではないと思ってはいる。
そんなことできるなら私の半年を返せ、って感じだ。というか、剣や魔術じゃなくて視野と発想の転換を身に付けろって話になる。
それはそれで悲しい。
…とりあえず今は情報が必要だ。
ヒロインはどんな女性なのか。
誰を攻略しようとしているのか。
今、ヒロインは本当に存在して、攻略キャラを攻略しようとしているのか。
そして――。
本当にここがゲームの世界であるのか。
剣技大会に出場すれば、いくつかの疑問の答えは得られるんじゃないかな。
…たぶん。
その後どうするかについては考えてない。
考えてもどうしようもないし。
私の知識じゃ大した答えは得られなさそう。
それに…情報が手に入ったところで打つ手はないんじゃないだろうか。
剣技大会に出場するだけで得られるような情報でどうにかなるなら、もうとっくの当に帰ってる。
すっごく大変なのも嫌だけどね。
だけど、今は。
メインキャラクターに会えるように訓練しよう。
ところでみなさんメリークリスマスです!
クリスマス小話はありません!(文才がないので)
ホムラたちに12月が来れば、そういう話も書くかもしれません!




