第37話
忙しくて更新停滞気味です…すみません…。
主人公たちが全然恋愛してないな、ってことに気づいたのでジャンルを変えようと思ってます。恋愛編みたいなの作ろうかなぁ。
ホムラ視点です。
「団長、本気ですか!?本気ですね!?ウェイロー!止めろ!」
「って、副団長も手伝ってくださいっ!!」
今日は朝から騒がしい。
「…?…ハズキさん。何があったんですか?」
私は、訓練所の中央で騒いでいる人たちを見ながら、傍らにいたハズキさんに尋ねた。
私は目が覚めてから3日で自分の部屋に戻ることが出来た。
最初こそ体を動かすのは辛かったが、1日で大方動けるようになった。
もちろん激しい運動は駄目だけど。
それでも体の内部はまだ完全ではない。
内蔵機能は大幅に落ちているようで、胃袋は空腹を訴えても固形物は受け付けてくれなかった。
それも2、3日お粥と果物を食べていたら、なれたけどね。
それからイサクさんに部屋での療養を命じられて、1週間の休暇をもらった。
つまり、1週間部屋から出るな、と。
さすがに食料が底を尽きている状態での1週間の外出禁止はきつい。
今回は長めの遠征になると聞いていたから、保存食もほとんど片付けてしまったのだ。
ちょっと金銭的にきついけど、3食食堂で済ますかな…。
なんて、思ってたけど。
まだ万全ではないから、とカレンさんやハズキさんがお見舞いがてら会いに来てくれて、外に出れなくても不便はなかった。
本当にありがたい。
外出禁止が解かれても、訓練はまだ駄目で、10月中はずっとリハビリだった。
それでも2週間くらいだけだったんだけど。
その間みんなとの訓練には加わらず、イサクさんに様子を見てもらいながら、少しずつ弱った筋肉を元の状態に戻していった。
1週間も寝込んでたって話だったから、もっと回復が遅いと思っていたけど、ただ寝ていただけだったみたい。
魔力の枯渇だけだったから、身体への影響は少なかったのかな。
そんなリハビリも終えて、イサクさんの許可が下りたのでほぼ1ヶ月ぶりに訓練所へ行ってみたらこの有様で。
「おい!ウェイロー!誰に向かって口利いてるんだ!というかお前らはなせっ!!」
今は、ウェイロー君が団長を羽交い絞めにして、動かないようにみんなで押さえつけている。
みんな訓練もせずに何してるんだろう?
「ホムラおはよう。体調はよくなったのかしら?」
訓練所に入ってきた私に気づいて、ハズキさんが声をかけてくれた。」
団のみんなも揃っているっているけど、状況に戸惑っているのか一線引いて下がったところから見てる。
斯くいう私も未だに訓練所の入り口にいるから、団長たちから結構離れてるけど。
「おはようございます。はい、もうすっかり。ところで、この状況はいったい…?」
騒ぎの原因であろう団長たちからは離れているため、全体像がつかめないが喧嘩でもしているのだろうか。
「元気になってよかったわ。…にしても困ったわね。団長をご実家にでも送るしか方法がないのかしら。」
はぁ、とため息をつくハズキさんは艶っぽい。
「た、たいちょうに何かあったんですか…?」
実家に送る、って何かそれ程の問題でも起こしたのだろうか。
…さすがに団長に限ってそれはないか。
「ええ。全治2ヶ月と言われているのに、剣技大会に出るってきかないのよ。」
駄々をこねる子供を相手にしているかのような言い草である。
団長の腕の怪我は、経過を見ながらの治療ではあるが、完治するまでに2ヶ月は必要だと言われているそう。
つまり12月までは訓練に参加するな、って言われたみたいなんだけど、剣技大会は後もうすぐ。
今日は11月の7日。
剣技大会の2週間前である。
団長からすれば、怪我は腕だけで。しかも利き腕ではない左腕で。
しかも本人超元気。
まぁ、団長なら駄々をこねそうだ。
だって仕事人間だもの。
それでも副団長からすれば大人しくしてて、って話だ。
副団長は現在療養中の団長に代わって執務や訓練をする、いわば団長代理。
副団長の仕事だけでも大変なのに、団長の仕事までやらされるなんて過労死してしまわないか心配なところである。
もちろん団員みんなで分配して、副団長の負担を減らそうとしているけど。
だというのに。
「団長!剣技大会なんて無理して治療が長引いたらどうするんですか!?」
なんとか団長を押さえつけて、怪我が悪化しないようにしている副団長。
可哀想過ぎる。
「そんなもの、大会に出ようが出まいが関係ない!そもそも俺は療養のために休暇を取る気はない!」
押さえつけられながらも大声で叫ぶ団長。
あ、副団長に蹴りが。
「副団長マジ泣きっすから、マジでカンベンしてくださいっす!」
後ろから団長を羽交い絞めにしているウェイロー君は、副団長の顔を見て自分も泣きそうである。
たぶん本人も何を言ってるかわからなくなってきてると思う。
「たいちょう、あれ本気ですかね…。」
私はちょっとぞっとして、ハズキさんの腕にすがった。
あんな酷い怪我でも休まない、ってどんだけ騎士の鑑なんだ。
「やっぱりご実家に連絡した方がいいわね。全く、もうすぐ剣技大会なのに訓練できないわ。今年こそ優勝するつもりなのに。」
悩ましげにため息をつく。
…ハズキさんは並々ならぬ野心をお持ちのようだ。
5月の大会を通して知ったけど、観戦客に学生の姿が多い。
ほとんどの学生が貴族なので、観戦客の学生はほとんど貴族ということになる。
そして、後から聞いた話だが、一部の貴族は特等席からあの試合を見ることが出来るらしい。
寄付とか序列とかいろいろ決まりはあるらしいけど、上位の貴族や王族ほど騎士に護衛を頼むことは多いらしいから、強い騎士に目星を付けておく、とかそんな意味合いもあるみたい。
要は、大会で優勝すると昇進のチャンスがある、ってことだ。
団長に関してはただの負けず嫌いだけど。
性格に関してだけ、なんだか子供っぽいんだよな…。
向上心が高いって言うより、負けず嫌い。
昇進は狙ってないけど、せっかく戦うんだから優勝したい、みたいな。
そんな負けず嫌いで副団長を困らせるのはどうかと思うけど。
「団長。いい加減にしてください。団員全員が困っています。」
痺れを切らしたハズキさんが、団長の前へ進んだ。
「だ、だがしかし…。」
ハズキさんの有無を言わせない言葉に団長も返す言葉がなかったようだ。
「剣技大会までは、団長がいなくともなんとかします。とりあえず、今はその怪我を治すことを優先してください。」
ハズキさんの言葉に団員みんなが直立した。
ハズキさんには団長も強く出られないようで、うう、と力なく萎む。
「…大会の俺の枠は、どうする。」
自分が出場することは諦めた団長は、自分が出れなくなった分の出場枠についてハズキさんに聞いていた。
騎士団員は特別な事情がない限り、全員参加が義務である。
だが、大会の1ヶ月前には出場者名簿を提出しないといけないのだという。
トーナメント作成や不正出場を防ぐためである。
団長は怪我をしているから、特別な事情に値するけど、変更できるのだろうか。
団長は仕事人間であるため、提出が遅れないように遠征前に提出していたと言う。
遠征前って9月には提出してたってことだよね…。どんだけ早いんだ。
もちろん全員参加。
私はおそらく除外されているけど。
「変更を申請します。まだ2週間前ですから、変更は利くはずです。」
ハズキさんは一瞬だけ考えて、騎士団本部にて変更を申請することにしたらしい。
「てかそれホムラ入れてないんだろ。代わりにホムラねじ込んじゃえば?」
そう言ったのはウェイロー君だった。
いきなり私の名前が呼ばれて驚いてしまった。
そしてやっぱり私は不参加扱いだったらしい。よかった。
…いや、このままだと参加させられそう。
「何を言ってるんだ!ホムラはまだ剣を握って半年だぞ!そんなこと…。」
「おお!いいじゃないか。人数の増減は厳しいだろうが、入れ替えなら特別な手続きも必要ないだろうし。」
ハズキさんの言葉で落ち着いたように見えた団長がまだ怒鳴り声をあげたが、副団長がそれを遮った。
「病み上がりで大丈夫かしら…。でも、自分の実力を確かめるいい機会だし、参加してみたら?」
ハズキさんは私の方を振り向いて、優しく微笑んだ。
みんな強要はしてこなかったけど、参加してほしいということはなんとなくわかった。
たぶんだけど、前に魔獣を倒したあの力があるから、きっと大丈夫ってことなのかな。
正直微妙な心境だ。
戦いは好きじゃない。
誰かが傷つくから、とかそんな殊勝な理由なんかじゃない。
戦えば戦うほど、私が“穂村夏輝”という存在からかけ離れていきそうだから。
なんていうか…“私”は戦いなんてしない人間で。この世界に来てなければ、今も学校の教室で授業を聞いていたはずなんだ。
自分でもよくわからないけど。
…本当の私はこんな戦士みたいな人間じゃないから。
それでも――。
「わかりました。私、大会に出ます。」
やらなきゃいけないときは、今だ。
ホムラの回復過程は、魔法使い過ぎて脳が疲れた、という印象でお願いします。
変な後書きをしてすみません。
衣装チェンジは次回以降です(^^;




