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第34話

更新が遅れました…すみません。

少々忙しいので、ストック分を更新した後はしばらく更新が滞るかもしれません。


サクラ視点です。



アルベルト団の帰還はちょっとした騒ぎになった。


ユウリと団員の女性の2人が重症で、その他の団員もみんな怪我をしていて。

ユウリは学院の女生徒の中でも人気があったから、腕を覆っている痛々しい包帯姿はユウリに似合わず、動揺が広がった。


私はこれが一つのイベントだって知ってたからあんまり驚かなかったけど、全員で帰還したって聞いてそっちに驚いちゃった。

…本当はユウリ以外どうなるのか知らないけど、少なくともライバルキャラは失踪するから。


悪い意味じゃないからね!みんなが帰ってこれてよかったって思ってるよ!



アルベルト団が10月7日に帰ってきて、今日はさらに1週間経つ。だから今日は14日。

1週間経つけど…ユウリも、重症らしい団員も保健医務室から出てこないんだって。

相当重症なんだよね。



はっっ!!

重症の団員ってもしかしてハズキさん!?

だったらお見舞い行かなきゃだよね!


そう思って保健医務室の前まで行ったらちょうどハズキさんと会った。



「ハズキさん!お久しぶりです!お怪我されてたんですよね?もうよくなったんですか?」

よくみるとハズキさんは擦り傷のあとは多いけど、そこまで重症という感じではなかった。


「久しぶりね、サクラさん。私は大丈夫よ。団長も怪我はよくなってるんだけど、ほ…もう一人の子がね…。魔力が枯渇したらしくて回復が遅くなっているそうなの。今様子を見たら目を覚ましていたから大丈夫だと思うわ。ありがとう。」

どうやら重傷者とはハズキさんのことではないらしい。


「そうなんですか…ではイサク先生が治療されていらっしゃるんですか?」

コカツって大変そう…。


「ええ…っと。イサクさんに頼もうとしたのだけど…。」

彼女は酷く言いにくそうにしていた。


「イサク先生に何かあったんですか!」

イサクに頼めなかった、という風に聞こえる…。

こんなイベントあったかな。


「いえ、そうではないの。…王宮の方で魔術師団長を任されているレイジ・エイストフは知っているかしら?彼が治療に協力すると申し出てくれたの。」

少し眉尻を下げて、みんなには内緒ね、と小さな声で言った。


ユウリの要請なのだろうか。

レイジが騎士団員と関わりがあるとは思えない。


まあでも、学院でも人気のあるレイジが保健医務室にいるって聞いたら、押しかける女子が多数いそうだよね。

ユウリがいるってだけでも、押しかける女子生徒がいたら困るからって、アルベルト団員以外面会謝絶になっているのに。


「あのレイジ、先生が…。カレンさんがキレそうですね。」

また危うく呼び捨てにしそうになっちゃった。

にしてもカレンがよく許したなぁ。


カレンはレイジのことが好きってゆう設定だった。

もちろんこの世界でも好きみたい。

みんなが噂してるから、たぶんほんと。


「いえ…それが…。」

カレンの名前を出した途端、さらに困った顔になった。


「え?」


「彼女も保健医務室にいるのだけど、2人で治療しようとするものだから騒がしくなって…それに団長がキレて、さらにうるさいのよ…。」

彼女はほんとに困っていた。


それよりも私は気になったのは、レイジとカレンは仲がいいらしいということ。

もうすでにらぶらぶなの?

ヒロインが介入しないとささっとくっついちゃうのかな。


…ううん。確かどのルートでもレイジとカレンはくっつかなかったはず。

これは確かめた方がいいかも。


「中に入ってもいいですか?」

…正直言うとただの好奇心だったりする。


「入らない方がいいと思うわよ…。」

彼女は、はぁ、と深くため息をついた。


いやいや、ここは入るところでしょ。

好奇心でどきどきする。


レイジとカレンが仲良くて、ユウリがキレている。

そんな状況見たいに決まってる!


「是非入らせてください!」

今の私は結構なミーハー具合だと思う。


なんとかハズキさんを説得して、入らせてもらおうとしたそのとき。



「サクラ?もうすぐ昼休み終わっちゃうよ?」

うぐ。リオンだ…。


なんてタイミングだ。

確かに今は昼休みで、あと5分くらいでチャイムがなりそうだけど、一瞬でいいから中を見たかったんだ!


「リオン…。えっと、アルベルト団の方をお見舞いしたかったの。様子を見たらすぐに出ようと思って。」

最近なんだかリオンが怖い。




レイジのイベントのときも思ったんだけど、妙にリオンが突っかかってくるというかなんというか。

8、9月もイベントがあったんだけど、なんか知ってるシナリオと違ったし。


8月はライバルによる嫌がらせイベントは、リオンはでてこなかったけど、嫌がらせされなかったの。

一番好感度が高い攻略対象者のライバルが、「彼に近づかないで!」って言ってくるんだけど…。

カスミにね、「彼を不安にさせないで」と言われたの。


意味が全然わからなくて詳しく聞いてみたんだけど、「もっと彼を見てあげて」って。

攻略対象だし、きちんと見てあげてると思うんだけどな…。


9月は嫌がらせされたことを攻略対象に言わないでおくと発生する、喧嘩仲直りイベント。

嫌がらせされたわけじゃないから、リオンには何も言わなかったんだけど、なんだかんだで喧嘩した。


シナリオどおりじゃないから、セリフはやっぱり違ってて。

それより、見たことのない彼の剣幕が異常な気がして怖かった。


別に変じゃない。

電子画面に映っているキャラクターなんかじゃなくて、みんな生身の人間なわけだし。

でも、なんだか胸がざわつく…。リオンを攻略することが、ちょっと怖い。




「今治療中なんでしょ?今、中に入ったら迷惑になるよ。それに、ユウリさんやレイジ先生もいるんだから、他の女子が不公平だってここに乗り込んできたら、それこそ治るものも治らなくなるよ。」

リオンも困り顔。


私の思考は関係なく、保健医務室の前では会話が続いてる。

こう普段は全然怖くないんだけどさ。


というかリオン?

なぜ関係者しか知らないようなことを知っているわけ?


「保健委員は保健医務室に生徒が近づかないように、何かあれば対応するようにって言われてるんだよ。」

私が保健医務室に入ろうとしてたからだろうけど、彼は私の疑問に答えるように言った。


なんだか私が悪いことしてるみたいだな…。

ぶぅ。

確かにそうなんだけどさー。


「そうかもだけど…。」


「ほら、そんなにむくれないで。元気になった頃を見計らってまたくればいいだろ?」

そう言って私の頭をぽんぽん、と優しく撫でた。


うう。

子ども扱いしてくれちゃってさ。

どうせ私は空気の読めないガキですよー。


「はぁーい。」



「ふふ。」


私たちのやり取りを見ていたハズキさんが口許に手を当てて笑っていた。


「ハズキさん!笑わないで下さいよー!」

なんだかこどもっぽすぎるんだよぅ。…私たち。


「いいえ。仲いいなぁって思って。うちのところは逆転してるかしらね。」

逆転?


「仲良くなんてないです!私いっつもこんな扱いなんですよ!」

そこは結構怒ってるんだから!

リオンってばゲームではもうちょっと優しかった気がするのにな。


「それはサクラが無理ばっかり言うからだろ。」

リオンも少しむっとして、眉を寄せた。


ちょっとだけ、してやったり、なんて思った。




結局、保健医務室の中には入れなかった。

けち。



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