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第33話

ホムラ視点に戻ります。


話が二転三転して読みにくいかもしれません。すみません。

『きゃああぁぁあぁ!!!』


()()()!しっかりしろ!撤退するぞ!』


『い、いや!来ないで!』


『おい!どこへ行くんだ!』



『はぁっ、はぁっ…ここまでくれば…!ひぃっ!』



『な、なんで私が…!?いやあぁぁあぁ!!』




何かで読んだ覚えがある。

スピンオフだったか、番外編か、はたまた二次創作だったか。

ただ、きっかけだったから覚えているだけなんだけど。


攻略キャラである騎士編で、ヒロインのライバルとして登場する少女が、騎士と一緒にいたいがために危険な獣がいる山まで同行し、獣が怖くて勝手に逃げて姿を消す。

そこまでは公式で発表しているシナリオ。


その後のことは公式では何も触れなかった。


少女がどうなったのか。

騎士団がどうなったのか。

騎士だけがどのようにして帰ってきたのか。


私が見たのは、少女が逃げた後獣を振り切ったと思った瞬間に追いつかれて崖から転落する、というもの。

死んだ、という扱いにするユーザーは多かったと思う。








私は、乙女ゲームの世界に転移していた。



認めたくはないが、今まで関わってきた人物全て、ゲームのキャラクターと関連が深すぎる。


攻略キャラであろう団長と魔術師団長。魔術師団長に想いを寄せるカレンさん。それから、物語の舞台“バルテッタ学院”。

学院の関係者については剣技大会で見た以外はほとんど会う機会はないから、リオンや教師(名前は忘れた)がいるのかはわからないけど。


この世界が――ただの異世界じゃなくて、空想の世界で。

私は死亡フラグありのライバルキャラだったなんて。


私も小説とか好きだから、こういうシチュエーションの()()なら読んだことがある。

でも…あくまでも空想の話だったはず。

そもそもこのゲームで描かれている物語《恋するファンタジーへようこそ》自体が、空想の話のはずなのだ。


それがこんな現実のような世界として実現することはありえない。

だって、痛みや苦しみもあって、温度も湿度も感じる。まるで現実の世界のように。


夢だと、そう思いたかった。

だけど…全てを夢だと否定することはできなかった。

この世界を夢だと、全てから目を逸らしてしまえば、私が今まで努力したことも、精一杯身につけたことも、それが何もかも夢だったことになる。それは…虚しすぎる。




というか普通、ライバルキャラってさ、攻略対象者を見たことで前世とかゲームの話を思い出して失神しちゃう、とかが定番じゃないの?

妄想しすぎとか、そもそも転生してないし、って話かもしれないけど。

それでもさ…なんでイケメンじゃなくて、魔獣見てゲームの内容思い出さなきゃいけないわけ…。


どうせなら、「え?ライバル!?攻略者回避するわ!!」みたいなシチュエーションの方がいいなぁ。

頑張ってる内に自分を想ってくれる人が現れて両想いになる、って女子の憧れだよね!

なんでこんな格闘技選手顔負けの戦士になっちゃってるんだか…。



私は、あの崖から転落したという少女の話を見てゲームを始めた。

あれが騎士であるユウリ団長のライバルキャラ。


結構世界観が深くて面白そう、って思って始めたけど…。


ちなみに攻略はリオン編がトゥルーエンド、イサク編のフレンドエンドを見た。

それでイサク編のトゥルーエンドを見ようと攻略を進めてたんだ。


ユウリ編はやってない。




あの日は…友達と遊んでた。

春休み最後の日だからって中学時代の友達と会ってて、それから…それから?

帰ろうとしたところまでは思い出したけど、家には着いてなかったと思う。


何かあって、この世界に来たんだろうな。


どうやって帰ったらいいんだろう。

ただの異世界だったなら、どこかに地球と繋がっている場所があってそこへたどり着けば帰れるんじゃないか、って思えたけど…。

ここは乙女ゲームっていう、異世界であって空想の世界だ。


寧ろ繋がっているのは学院や騎士団で、それ以外の場所はゲームとしては存在するはずのなかった場所なんだ。

だったら学院内を探すべきなんだろうか。

もう考えたくないな…目が覚めてからでいいかな。




私は、魔獣と戦った。

確か魔獣グノームっていう地属性の魔獣だったと思う。


本来なら、私じゃ勝てるような相手じゃないんだけど、あのとき運よく魔術が発動して私を助けてくれた。

私は風魔術の使い手だったらしい。


なんていうか…風の動きが目で見るのと同じくらいわかるの。

だから、敵がいつどんな攻撃をしてくるかわかる。

敵の攻撃が、どの軌道通ってどの地点に当たっていつ攻撃が当たるのか、そんなことまでわかるようになった。


わかりやすく言うと、音楽に合わせてタップするゲーム、みたいな感じ。

タイミングを合わせて攻撃をかわしたり、隙っていうタイミングで攻撃する、みたいな。

敵の攻撃が早くて、ついていくのがやっとだったけどね。


この感覚は遠征に行く前からあったから、その頃から魔術は発動してたのかも。


それに地属性は風属性の攻撃に弱い。

もちろん逆も然りで、風属性は地属性に弱い。…私の場合は防御の付加が防具にかかっているから、弱点ではないけど。


だから勝てたんだと思う。…勝ったはずだよね?

ほとんど無意識に体を動かしていて、記憶が結構曖昧なんだよね。

敵が動かなくなったと思ったけど、その瞬間私もなんだか疲れちゃったみたいで、糸が切れたみたいに倒れちゃった。



今もまだ眠っているみたい。

眠っている、というよりは意識はあるけど体が動かない状態。

まぶたすら動かないなんて。


私を運んでいるせいか、首都への足取りは重い。

ごめんね、みんな。

私も早く自分で歩きたいよ。みんなだって怪我してるのに。


魔力を使い切ったからなんだよね…。

体力みたいにもっと早く回復してくれればいいのに。



時折みんなが話しかけてくれる声が聞こえるんだ。

なんだかまるで病人みたいにみんな扱うんだから。


特に団長の声が沈みきってて心配。

この世の終わり、みたいな声をしてるんだよね…。

まぶたが開かないからどんな顔してるかわかんないけど、やっぱり沈みきった顔してるんじゃないかな。大丈夫かなぁ。


ウェイロー君もハズキさんも私のことを心配してくれてる。

不安にさせて本当にごめんなさい。

もうすぐ起きるからね。



てかウェイロー君。団長が辞めそうだから早く起きろ、とか言わないで。

超プレッシャーだから。




眠っている間のホムラの話でした。



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