66 皆でクッションを投げたよ!
雪二郎君が私と虎太郎君に小学校の事を教えてくれた。
お昼は食堂があるんだって。カフェテリアもあるらしい。初等科と中等科は同じ敷地内で運動会も合同でやったりするみたいだ。
「愛梨花ちゃんはお洋服とかは誰と買い物に行くの?」
虎太郎君のお母様に聞かれてちょっと困った。知らないのでね。
「お家にあるのを着てます」
「あら、ごめんなさい。もし良かったら明日お買い物に行きましょう」
「ふふ……良いわね、女の子のお洋服選んでみたかったのよ!」
龍一郎君達のお母様も嬉しそうに笑っている。
あ~~~、わかるけれど……先立つものが無い。お祖父様にお金もらわないと。
「あの、お祖父様に聞かないと・・・・」
「そうよね、後で聞いて見るわね」
龍一郎君達のお母様と虎太郎君のお母様が嬉しそうに顔を見合わせていた。これは決定事項だわ。お二人に勝てる人が思い浮かばなかった。
虎太郎君も入学にあたり色々購入するし龍一郎君雪二郎君も背が伸びたからお洋服が必要なんだそう。”いつもは買い物なんてイヤがるけれど私の服を選ぶと言ったら龍一郎も来ると思うの”と東郷寺のお母様に言われてしまった。
私はダシに使われただけだね、きっと。
龍一郎君の帰宅を待って皆で東郷寺グループのホテルへ移動した。龍一郎君のお誕生会に使われたホテルだ。お祖父様達は現地集合するらしかった。
この前に来たときはひどく場違いな気がしたけれど、二度目ともなると少しなれてきて最上階の窓から広がる街並みを見ても気後れしなかった。
私も少しは成長したのかな?そんな事を考えながら夕焼けに染まる空を見ているといつの間にか龍一郎君が隣に来ていた。
「この間はごめんね」
へっ?謝られるような事があったかしら?わたしが怪訝な顔をしていると
「ほら、誕生会の時。先に帰ろうとした」
あ、あれはさすがに場違いかと思うよ。幼稚園生だったし。
「黙って飛び出してごめんなさい」
龍一郎君は困ったように笑った。
「愛梨花ちゃんは、なんて言うか巻き込まれ体質だから一人で行動を取らないで欲しいな」
そう言うと私の頭に手を置いた。先日も思ったんだけど、龍一郎君は急に背が伸びたみたいで私は龍一郎君のお腹ぐらいまでしか背が無い。まだ小学生なのにお母様達と同じくらいだ。
もしかして私縮んだ?見上げているから首が痛い。
「あの、背が伸びました?」
「うん、背長期だからね。雪二郎も伸びたんじゃ無いかな?」
雪二郎君は向こうで虎太郎君とカードゲームをしている。やんちゃな虎太郎君に穏やかな雪二郎君はいい遊び相手になっていた。二人はとても仲が良い。
男の子達が遊んでいるのを見るのは楽しい。走ったりするのはあまり得意では無かった。もともと入院したりして身体を鍛える機会が無かったし、お祖父様を始め、お父様や高島も直ぐに抱き上げてくれるから楽ばかりしていた。
少し運動しないといけないよね。前世でも運動は苦手で逆上がりに苦労した覚えがあった。
「愛梨花ちゃんどうしたのかな?」
私が俯いて何も言わないので龍一郎君が心配そうに効いてきた。
「背も虎太郎君より小さいし、体力も少ないからダメだなって思って……」
龍一郎君は屈むと私と目を合わせてきた。
「虎太郎はもうすぐ7歳だ。小さい頃の1年は成長のさが大きいんだよ。それに愛梨花ちゃんは女の子だ。そのままで可愛いから、体力も少しずつ付けて行けば良いんだよ」
背中をポンポンしてくれた。龍一郎君も優しい。私の周りの人は皆優しいんだ。少しでも役に立てるように頑張っていこう。それに今、可愛いって聞こえた。気のせいじゃ無いよね。
「うん」
大きく頷くとニッコリと微笑んだ。
夕方にお祖父様達が合流して和気藹々と食卓を囲んだ。
食事をして、皆で同じ家に帰るのは嬉しい。別れるときがいつも寂しかったから。
東郷寺のお祖父様と我が家のお祖父様は最近ご一緒に飲む機会が増えて凄く楽しそうだと龍一郎君がこっそり教えてくれた。
何故こっそりかというと、東郷寺のお祖父様のグチを時々聞いてあげていたんだそう。お祖母様が亡くなってからは気落ちされていたらしいので。
お祖父様達はすっかり昔の学生時代に戻ったように仲良しだ。お互いに独り身だし、何のしがらみも無くなってきたからだと思う。
それにしても龍一郎君は大人だ。東郷寺のお祖父様も小学生にグチっていたのかぁ~~~
お屋敷に帰ると虎太郎君が今日は皆で寝ると言ってきた。
おお!!!枕投げが出来るよ!私の顔も輝く。
それをお祖父様が苦笑しながら見ていた。”寝るときは部屋に戻るんだよ”と、一応許可はもらった。パジャマに着替えると早速客間に集合。
ツインベッドルームなんだけれど、1つのベッドがもの凄く大きい。キングサイズって言うのかな?雪二郎君龍一郎君がクッションをたくさん持ち込んだ。
私と龍一郎君、虎太郎君と雪二郎君に別れてクッションを投げ合った。それぞれのベッドが基地になっていて、相手のクマのぬいぐるみ取ったら勝ち。
龍一郎君は私をかばいながら、クッションを投げていて、私は落ちたクッションを拾っては龍一郎君に渡した。
はっきり言って、私は戦力にはならなかった。最後は虎太郎君が私が守っていたクマさんを強引に奪っていった。
くやしぃ~~~
龍一郎君にごめんねと言われたけれど、ゲームですから。
自分に言い聞かせています。




