第八話
sideマガラ
木の枝をぽきぽき折りながら進むこと20分
魔物の気配も、動物の気配も一切しない
アバドンに上空から川の位置を特定してもらうこともできず、
今はクロトから送られてくる調薬の成果物自慢のフレンドチャットを読み
暇を潰している
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スキル「散布」のレベルが上がりました。
Lv5→Lv6
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「おっ、ようやく上がったのか」
散布はアイテムを使用したり、匂いを広めたり
それ以外に、何も使用しなかった場合、
周囲に水分を散布する
移動中は湿度が上がって方向が分からなくならないように使えなかったが、
隠れたり、休憩している時間中ずっと使ってレベル上げしている
しかし...
「スキルの継続使用って、思ってたより集中力使うんだよなぁ」
クロトさんは慣れれば気にならなくなるだろ
って言ってたが、
アレは一種の才能だ
このゲームにおいて、パッシブスキルというのは存在しない
常時発動型の能力は称号効果とアイテム効果、装備効果のみ
スキルの自由度を極限まで高めた弊害だな
ゔゔゔゔ...!ガサガサッ
「森で最初に出会うのは熊さんか...」
がああああっ!!!
立ち上がり、木の枝を巻き添えにしながら右腕が振りかざされる
ゴブリンという矮躯で貧弱な身体であるため、
後ろに飛んだところで距離が取れない
「でかいやつ相手には懐が安地って、相場が決まってんだよ!!」
事実、先ほど立っていた場所から後方1メートル近くにあった木がなぎ倒されるが
体長6メートルを超える巨体の下をくぐり、無傷で避けることには成功した
が...
ゔうぉんっ!
すぐさま振り返り、その遠心力を伴った巨腕は
予想をはるかに超える素早さで迫り、
その生命を絶った
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「ぐうぉっタryあゔぁがny!!」
奇声とともに目を覚まし、
辺りを見回すと、そこは見覚えのある穴の中だった
「ああー、確か最後にログアウトした場所だな」
ゲーム内で1日前、
森から20km以上離れた場所
「くっそ、とりあえず連絡だけはしとくか」
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sideクロト
「よし、次の素材は〜...」
ピロンッ
「おん?」
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キャラクター名:マガラ
メッセージ:すまん(ー人ー)死んだ_(:3ゝ∠)_
6m以上ある大熊だ。そして、川は見つからなかった。
今、最後のログアウト地点にいるから、すぐ向かう。
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「oh Jesus...」
まあ、予想通りではある
強敵しかいない前提で計画を立ててるんだ
問題は無い
「しっかし、熊か」
できれば狼とかの方が嬉しかった
実験をやめ、
穴の拡張を始める
「相手が熊なら、一度復活地点をここに更新しなきゃな」
狼とか、猿とか、
頭がよくて、個々より群れで活動するのなら
死亡を前提の作戦はあまり必要なかったんだ
時間をかければどうとでもできる自信はあったし
地中に伸びた木の根っこを頼りに、
右へ左へ道を拡げる
土を掘るの素手、
根っこの張った地面はスキルで柔らかくなったとしても
固く、混ざっている石は手を傷つけて体力を減らす
土壌生物を発動し、体力を増やし
解除後、再発動
集中力がいるが、リジェネ代わりには十分
「1、2、3、4、5、6、7、8...
2、2、3、4、5、6、7、8...
3、2、3、4、5、6、7、8」
リジェネのリズムをとりながら
アリの巣のように複雑に掘り進む
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掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って掘って
掘り進んで
マガラからの到着メッセージが来るまで掘った
そしてその頃には、
「穴掘り」「泥団子作成」「土壌生物」のレベルは2ずつ上がっていた
「穴掘り」Lv5「泥団子作成」Lv5「土壌生物」Lv6
「...案外、こういう単純作業も悪くないな」
クロトは採取系スキルを「穴掘り」しか持っていないので、適当にむしり取った草花の品質はゴミだし、そもそものレア度も高くない素材なので、
そのおかげもあって呪スキルに対する抵抗は皆無です。
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