第十六話
sideマガラ (1vs1中)
ガンッ ビュンッ ブンブンブン
初撃でつけた刺し傷以外、まともな攻撃が当たることがないまま
互いに長期戦を余儀なくされている
長剣による大振りの攻撃は距離をとることでかわし、
勢いのない攻撃には、
およそ毛皮とは思えない衝突音を出しながら、逸らす
白猿の毛皮、それは黒猪には及ばないが
金属並の硬さを有している
なら、ガンガン距離を詰められると困るかと言われると、
そうではない
あまりに至近距離に近づくと、
マガラの手が届いてしまうからだ
新たに習得したスキル「水魔法」「水食」
これにより、
水刃、体表10cmまで伸びる金属も切断する
超高速の水の刃を生成することが可能となった
凱たちが身を挺して守り、確実に首をはねればそれで勝利が確定する...はずだった
しかし、白猿は同じく水魔法を覚えている魔物だった
縄張り内に生えている果樹のほとんどは、
彼が毎日水やりをし、虫から守り、育ててきた
ゆえに、一目でその危険性に気づき、攻めあぐねていたのだ
「おらおら!かかってこいよ」
予想と違う展開
徐々に薄れていくアバドンの壁
有り体に言うと、焦っていた
だからだろう
繰り返し同じような攻防が繰り返される中、
突如変わった白猿の行動に対応出来なかったのは...
ウキー〜!! ピカッ!!!
水でできた鏡
それによって反射された光に視界を奪われる
「クソッ!」
闇雲に剣を振るうが見えてても当たらなかったものが
見えないのに当たるわけがない
視界が回復するより早く、白猿の攻撃が命中する
水球による質量の攻撃
凱たちが身代わりになることで耐えるが、
これで残りの盾は3枚
続けざまに迫る水球を視認し、避ける避ける
「これがスキルのレベル差かよッ?!」
魔法系スキルは、操作可能とされているものは大抵の場合操作可能...
つまり、他人が操る魔法でも、自分のスキルレベルの方が高ければ干渉可能
まあ、魔法で生成したものは別だが
これはあくまでも、生成過程を定め、それに付随しているという判定
生成終了判定になれば、再び重量制限や他者からの干渉を受けることになる
水を生み出し、相殺
そして相殺に使用した分水が相手の支配下におかれる
物理戦の膠着した状況とはうって変わり、
魔法戦は一方的...
そう、あまりに一方的だったため、
この決断を下させてしまった
「クロトさん!!助けてくれー〜!!」
激しい戦闘音、
それでもその声は、届いてほしい相手に届いた
ズッドーン!
岩と共に紫色の肌をした男が飛来する
「呼ぶのが遅い!作戦通りにいかなかったのなら、さっさと助けを求めろ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
sideクロト
泥岩のストックをばら撒き、地面、周囲の木々に小さくても大量にトゲを生やす
足場を制限した後は毒を投げつけ
マガラを回収して木の陰に隠れる
「馬鹿が...おい、水魔法を覚えたんだな?」
「ああ、だけど、アイツは俺より高レベルで水魔法を覚えているから
発動しても制御を奪われちまう...」
「なるほど...」
まあ、スキル説明的に可能ではあるな
操作する対象を相手と被せれば、操作可能な重量の差、
つまり、力の差で奪い取る
...なら
「あくまでアイツが、水魔法のみを覚えている前提で話すぞ」
「おう」
「魔法はそれぞれの属性にあった対象を操作できる、そう書いてあるはずだ。
だから、複数属性が融合したものなら、同じ属性を持っていない限り奪われることは無いだろう」
「複数属性ってことは、水と土で泥を操るってことか?でも、
土単体でも泥のような動きはさせられるだろ?」
そういえば、大熊のときにそういう使い方を見せたか
「ああ、確かに可能だ。
だが、土単体の属性だと、水に流されて押し負ける、現に...」
ゴボゴボッ
水のレーンが伸びてきて、その上には白猿が乗っていた
ウキーー〜!!!
レーンが通った跡は、そこだけキレイに泥岩のトゲが消えており、
押し負けたことがわかる
しかし、それにより濁った水が放置されていることから
やはり複数属性は持っていないのだろう
「マガラ、目印のついた水たまりの水を操れ!」
泥団子を水たまりに投げ、目印を作ると同時に水と土の比率を調整し
俺はマガラの操作に合わせるよう、泥の中の土を操作する
すると、泥が動き始めた
本来、水と土は相克、土は水をせき止め、汚す存在であり
スキルレベルの高い白猿でもその制御を失う
だが、土のほうが水に合わせるなら、
二人のスキル分、操作出来る知る量も増え
木の上にいる白猿をその木ごと飲み込む土石流になる!
ゴゴゴゴゴッ!
バキッバキバキッ
ウギャッ?!
キー!ウギーーー......
「即興だけど、結構うまく言ったな?俺って天才か!」
「馬鹿が、俺が合わせてやったからだろ?」
そして、泥に埋まり、
顔だけ飛び出ている白猿の方へ向き直る
「さて、このままマガラの経験値にしてやってもいいんだが...
おい!俺のおかげで倒せたわけだし、コイツをどうするかは俺が決めるぞ」
「うん?ああ、いいぜ。というか、もう15レベになってるから
今進化しちまうか」
「ならさっさとなっとけよ...はあ、まあそういうことで、
提案をしよう、お前、俺の下につけ
そうすればこれ以上お前の群れのやつがこの戦いで死ぬことは無いし、
お前も生き残れる」
そう、コイツを従魔にしたい
「肯定するなら首を縦に振れ、否定なら横だ」
マガラにアバドンの壁を解かせ、群れの状況を見せてやる
すると、
そこには撤退を始める黒猪とその群れ、
いまだ戦い、白猿を救出しようと向かってくる猿たちが見える
しばらくの沈黙の後...
ウキー......
首を縦に振った
「お前の名前は清天、せ・い・て・ん、だ
テイム!!」
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白猿の清天がクロトの従魔になりました。
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白猿も水魔法もってるなら、水刃使えば確殺だったのではって?
まあ、水刃を使えば凱が身代わりになる可能性とかもあるけど、それを貫通して殺せる
でも、白猿は攻撃を無効化するメカニズムを知らないし、まずまず水刃は使えない
なぜなら、水食の効果は削りたいものを削るというもので、自分を保護する事もできる
刃の厚さを調整することも出来る。だからそれを持っていない白煙には再現できない。
ゴブリンが使っていた「バブルショック」、これは水刃の強化版というか、参考にしたもの
単純に水魔法のスキルレベルが足りなくて再現は出来なかった
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