⑧ カグヤと成雪
カグヤと成雪は、"照和"の時間軸に戻るために、ミケーネの船に乗せてもらった。
カグヤにとっては、懐かしの船である。
「何だかんだ言って、ミケーネ君には、いつもお世話になってばかりね?」
「気にしないで下さい。僕も好きでやってるんですから。それに貴女はいずれ、アヌンナキの一柱を担う方なのです。そのお役に立てるのは、むしろ名誉な事なのですよ。」
「そう言ってもらえると、気が楽になるわ。ところで成雪。」
「はい?」
「貴方、成雪なのよね?」
「そうですよ。ああ、セト神の事を、気にしているのですね?」
「そうよ。度々あんな変身を見せられたら、安心出来ない方が、普通でしょ?」
「……それもそうですね。実は、あの姿になっている時も、僕の意識は、失われてはいないのですよ。」
「そうなの?」
「飛行機のように、カラダの操縦席に二つ操縦桿があって、それを交代で握る感じなんです。彼が喋っている間は、僕は隣で見ているような……。」
「……ふ〜ん、成る程ね。で、いつからなの?」
「えっ?」
「だ・か・ら、いつから彼は、貴方のカラダの中に居たのよ。」
「……それはまあ……最初から。」
成雪は眼を逸した。
「なんですってえ!?」
「べ、別に、秘密にしたかった訳じゃないんです。彼が何者か、知らなかったし、僕は僕で、カグヤさんから色々と学ぶのに、忙しかったから……つい、言いそびれてしまっただけで。」
「そう……だったのね。じゃあ、むしろ貴方が後から入った感じなんだ。」
「どうやら、そのようです。だからあの、河合曾良と一緒に風呂に入ってる時も、もう少しで、彼が出てしまうところでしたよ。」
「ああ、雪子さんが助けてくれた、あの時ね?」
「はい、色々な意味で、危なかったんです。」
(第21巻 参照)
「さあ、お二人さん、到着しましたよ。」
ミケーネが言った。
宇宙船と時空移動機を兼ねたその機体は、照和の時間軸の、真田研究所の中庭に着陸したのだった。
「ありがとう、ミケーネ。またお願いするかも。」
カグヤは、済まなさそうに言う。
「お安い御用ですよ。いつでもその、腕のリングで呼び出して下さい。」
ミケーネは、ニッコリ笑ってそう言うと、機内に戻り、元の時空に帰って行った。
「さて。問題の予言の日まで、まだ6年もあるわ。私たちも色々と準備しなくちゃね?」
「そうですね。僕も、ウチなるセト神と相談してみます。出来ればアレを、僕自信のチカラとして使いたい。」
「……私は、あんまり貴方が、バケモノじみた能力者になるのは見たくないけどね。」
「ええっ、そうなんですか?僕はちょっとでも、カグヤのチカラになりたあのになあ……。」
「……その気持ちだけで充分よ。」
そう言って、カグヤ・イシュタルは笑った。




