㉘ 悪魔vs雪女
「Wait a minute! (待ちなさい!)」
京子が悪魔を呼び止める。
※ 以下の会話は、全て英語でなされています。作者の都合で、日本語表記になる事をお許し下さい。
帰ろうとしていた悪魔が、コチラを振り返った。
近くで見るその顔は、ますます悪魔そのモノだ。
「これは、これは……雪女ではないか。この大雪に誘われて出て来たのかな?後ろに居るのは……サン・ジェルマンか!雪女と結婚したとかいう噂を聞いたが、本当だったんだな?」
悪魔は別に悪びれもせず、気さくにペラペラ喋り出した。
「今、街の住民から奪って来た、精神体のエネルギーを返しなさい。」
構わず京子が言う。
「それは困るな。私にとっては大切な食事だし、もっと美しいカラダを手に入れたいしなあ……。」
悪魔はそんな風に答える。
「ニンゲンの世界では、勝手に他人のモノを盗る事をドロボウというのよ。」
「それはこの三次元の世界で、ニンゲンが勝手に決めたルールだろう?私の知った事ではないなあ。」
「どうしても、返す気は無いのね?」
「……だとしたら、どうするつもりなのかね?」
「こうするのよ!」
京子は何の予備動作も無しに、いきなり空から数十本の氷の槍を降らせた。
そのほとんど全てが、目の前の悪魔のカラダに突き刺さった。
が、一瞬でカラダを霧のように変化させると、悪魔は別の場所に再構築された。
「……酷いなあ。いきなり何をするんだい?カラダを分解・再構築できるとは言え、コレでも痛みは感じるんだよ?」
呟く悪魔。しかし更に京子の攻撃は続く。
彼女が右手を前に突き出すと同時に、一瞬で悪魔のカラダが凍り付いた。
しかしすぐに、悪魔は口から炎を吐き出し、顔の部分の氷を解かすと、辺り一面に火の玉を打ち出し始めた。京子はそれを、右へ左へ跳び退って避け続ける。
真っ白な地面に、悪魔の攻撃が着弾するたびに、派手に雪煙が上がる。
「うはははっ!逃げろ、逃げろ!さもなくば、この凍てついた雪景色の中で、謎の黒焦げ死体になるぞ!」
悪魔は愉快そうにそう言って、京子を炎で追い回した。
「……アナタ、何か大事な事を忘れてないかしら?」
炎を避けながら、京子が静かに呟く。
「何だと?……あっ、サン・ジェルマンはどうした?」
「ここですよ。」
悪魔の首の真後ろから、伯爵が囁いた。
そして次の瞬間、手に持ったオリハルコンの剣を、横真一文字に一閃させた。
大きな角の生えた悪魔の首がコロリと雪原に落ちる。
サン・ジェルマンはすかさず、剣先から炎を出し、ソレを燃やした。
首は、あっという間に炭化した。
どうやら、さしもの口から炎を出す首も、オリハルコンの剣の炎には、敵わなかったようだった。




