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「雪村と古代エジプトの神々」(セーラー服と雪女 第25巻)  作者: サナダムシオ


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㉖ 黄色いビートル

「たまには私の運転で、調査に出かけましょう?」

 村田京子が、そんな風にサン・ジェルマンを誘うのは、珍しい事だった。


 先日の、杉浦鷹志と由理子の調査報告が、刺激になったのか。伯爵自身も、自分の研究が、一段落したタイミングだったので、彼女のお誘いに乗る事にしたのだ。


「……で、どこに行きますか?」

「確か今回のメインテーマは、"悪魔を探せ"、だったわよね?それなら過去に、ちょうど私向きの、悪魔がらみの事件が有ったのよ。」


「ほう、ソレは興味を惹かれますねえ。」

「じゃあ決まりね。早速行きましょう!あっ、冬物の服装を準備してね。」

「了解しました。」


 それから30分後に、冬物のコートを着込んだ二人は、地下駐車場の、黄色いビートルに乗り込んだ。

 そして運転席から京子が、センターコンソールパネルに、以下のように座標を入力したのだ。


 西暦1855年2月9日

 時刻00時00分

 北緯50度41分

 西経03度27分


「じゃあ、行くわよ。」

 京子は、いつもみんながやっている手順で、ビートルに光学迷彩を掛けると、上空に出てから、時空転移装置のスイッチを入れた。


 目指すは英国のデポン州、トップシャムの街だ。


 時空転移装が終わると、薄暗い街の上空に出た。

 クルマ越しにでも分かる程、とても寒い。

 それもそのはず。

 この年は、イギリスの歴史上、記録的な寒さだったそうだ。

 深夜という時間帯が、その寒さに、より拍車をかけていた。


 上空から凍てついた街を見下ろすと、それは月明かりの中で、何処もかしこも真っ白な雪に覆い尽くされている。

 そして当たり前だが、皆すっかり寝静まっているようだった。


 その深夜の雪景色の中を、歩幅25cm程の小刻みな駆け足で、音も無く動く黒い影が見えた。

 頭から羊のような角を生やし、背中にはコウモリのような翼を持ち、つま先が二つに割れた蹄をした……ソレはまるで、悪魔のような姿をした謎の生き物だった。


 ソレは家々の玄関前まで行くと、そこで少しだけ立ち止まり、ヒラリと屋根の上に跳び上がる。そんな動きを、次から次へと繰り返していた。

 確かに怪しいヤツだが、別に無断で、人様の家の中に侵入するでも無い。


 そんな事をしながら、一通り街中を廻った後、ソレは街の外へ出て行った。

 隣街に行ってしまったのだろうか?

 京子たちは、ビートルで、上空からソレの行方を追ってみる事にした。


 


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