② 情報開示
西暦1993年4月4日の日曜日。
時刻は午前10時ちょうど。
サン・ジェルマン伯爵の呼び出しを受けて、時空調査団のメンバーは、名護屋テレビ塔の亜空間レストランに集合した。
伯爵本人以下、真田雪村、酒井弓子、村田京子、真田由理子、杉浦鷹志、真田香子、カグヤ・イシュタル、成雪・イシュタル、ジャンヌ・ダルクの面々が、それぞれ思い思いのテーブルについて座った。
それに加えて、今日はゲストとして、犬王アヌビス、猫王子ミケーネ、その正妻の黒猫嬢バステト、獅子王レオン、その正妻の王妃セクメトにも来てもらっていた。
「皆様お忙しい中、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。」
各テーブルに囲まれた、部屋の中央に立った伯爵が、珍しく畏まった挨拶をした。
上下タータンチェックの、茶色系のスーツを着ている。グリーンのシャツに、黄色いネクタイを身に着けた彼は、今日もダンディだ。
「実は、雪村君から、重要な話があるそうなので、是非聞いてあげて下さい。それでは早速、雪村君、コチラへどうぞ。」
伯爵はそう言うと、雪村を部屋の中央に呼び出した。
雪村はゆっくりと席を立ち、部屋の中央に向かった。上は水色のマオカラーのシャツ。下はダメージ無しの、ブルージーンズを身に着けている。
カジュアルな中にも、比較的キチンと見える服装を、彼は選んで来たようだった。
そして部屋の中央に立つと、彼はおもむろに、こんな話を始めた。
「皆さん、今日は集まっていただき、ありがとうございます。実は先日、私の身に、ある出来事が有りまして…それが、皆さんに関係するであろうと思われる事だったので、わざわざ来ていただきました。」
「ほう、それは何だね?」
獅子王レオンが言った。
この場は議会ではないので、発言者の妨げにならなければ、不規則発言も構わない。
「私の夢枕に、セト神が立ったのです。」
雪村のその言葉を聞いて、皆が一斉に成雪を見た。
成雪は、困った顔をしていた。
どうやらまだ、彼の中のセト神は、出る気は無いようだった。
「そして私は、夢の中で彼と語らう内に、全てを思い出したのです。」
彼の言葉を受けて、その場に居たアヌビス、バステト、セクメトの3名が、顔色を変えた。
「…全てを…思い出していただけたのですね。我が主君よ。」
そう言ったのは、成雪だった。
このタイミングで彼の姿は、すっかりセト神へと変化していた。
「うむ、待たせたな。セト神よ。」
雪村はそう言うと、ニッコリ笑ったのである。




