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「雪村と古代エジプトの神々」(セーラー服と雪女 第25巻)  作者: サナダムシオ


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⑱ ジャック・ザ・リッパー

 雪子は、川岸の階段を駆け上がる。

 すぐ前方を走って行く、男の姿が見えた。

 逃がすものか!


 とっさに雪子は、チカラを使って跳躍した。

 そして、件の男の行く手に、立ち塞がるように飛び降りたのだ。


 突然、空から舞い降りた少女に、男は驚きを隠せないようだった。

 彼は、この貧民街に似つかわしくない、上等な仕立てのコートを身にまとっていた。


 それに、月明かりに照らされたその顔も、まるで女性のようにほっそりして見える。さては、何処かのお貴族様の放蕩息子か?……とても殺人鬼には見えなかった。


 しかしながら、確かにその右手には、つい今しがた、若い娼婦の喉をかき切ったばかりの、血がヌラヌラと光る、大ぶりのナイフが握られていたのだった。


「So you're Jack the Ripper ? (貴方が"切り裂きジャック"ね?)」

 雪子が静かな口調で尋ねる。もちろん英語だ。

「So, what are you going to do, young lady ? (だったら、どうするつもりかな、お嬢さん?)」

 そのやさ男が、テノールの声で答えた。


「You sold Your soul to the devil, didn't you? (貴方、悪魔に魂を売ったのね?)」

「Actually, now I am the devil himself. (いや、むしろ今や、私が悪魔そのものなのだよ。)」


※ 以下、全て英語による会話です。作者の都合により、日本語表記になる事を、どうかご容赦下さい。


「若い女の心臓と性器を、むさぼり食い続けたのは、そのせいなのね?」

「そうとも。本当は処女のモノが好ましいのだがな……そうだ。オマエのも食ってやろう。」

「それだけは御免だわ。」 


 雪子は、今の会話を踏まえて、そのニンゲンの姿をした悪魔を、今すぐこの場で退治する事を決意した。

 しかし男が先に、雪子に向かって一歩踏み込み、ナイフで横殴りに斬りつけて来る。


 雪子はソレを、後ろへ跳んでかわした……つもりだった。が、気がつくと、セーラー服のスカーフの先端が、スッパリと切り落とされていた。


「惜しいな。今一歩足りなかったか?」

 男はニヤニヤしながら呟いた。


 どうやら彼は、実際に見えるナイフの切っ先よりも、長いリーチで斬りつけるチカラを、使っているようだった。これがウチなる悪魔のチカラという訳か。

 雪子はすぐに理解した。


 

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